MBO(目標管理制度)とは? 実装手順から運用するメリットまでご紹介!

目標管理制度を意味するManagement by Objectives(MBO)。自分自身で目標を設定してその達成度合いに応じて評価を受けるものです。MBOには「Management Buyout」というM&Aの手法のひとつとしての略称でもありますが、この記事では「Management by Objectives」としてのMBOの概要から、導入方法、運用するメリットなどをご紹介します。

目次[非表示]

  1. MBO(目標管理制度)とは
  2. MBOの種類
  3. MBOの運用手順
  4. MBOを実装するメリット
  5. MBOを実装する注意点
  6. まとめ

MBO(目標管理制度)とは

MBO(目標管理制度)とは、従業員に個人の目標を設定してもらい、その達成度合いや進捗をもとに人事評価を決定するマネジメント手法の一種です。

現代経営学者のドラッカーの著書「現代の経営」内で発表された”Management By Objectives”を略してMBOと呼ばれるようになりました。「目標による管理」とも呼ばれています。

MBOを実施するうえで重要になるのが「従業員が立てる目標と企業の組織目標がリンクしていること」です。MBOには、従業員に「組織の一員である」という自覚をもってもらい、個人と企業の成長を同時に図るという狙いがあるためです。

MBOを決める際の注意点はいくつかありますので、のちほど詳しく解説します。

MBOが注目される理由

MBOが注目されたのは、バブル経済が崩壊しはじめた1990年代のことです。

当初、日本では職務の遂行力で評価する「職能資格制度」が運用されていました。加えて、「年功序列制度」も同時に運用されていたことが原因となり、多くの企業では個人のパフォーマンスや成果を度外視した評価がされていました。これにより、個人の成果が積み上がらず、人件費だけが膨らむという残念な結果を生み出したのです。

そこで注目されるようになったのが個人の成果を評価するMBOです。「MBOを導入することで人件費を抑えつつ個人と企業の成果を伸ばせる」という風潮から注目が集まり、導入を進める企業が増加しました。

MBOとOKRの違い

OKRとは、”Objectives and Key Results”の略で、定量的な進捗目標と定性的な目標の2軸により、従業員の目標を管理するマネジメント手法の一種です。

MBOとOKRのもっとも大きな違いは「目標に対する達成度合いの見込み方」です。MBOの場合は、目標の達成度合いと給与指標などが紐づいていることもあり100%での達成が望まれます。一方のOKRは給与指標との結びついておらず、挑戦的な目標を掲げる必要があることから、達成度合いが60〜70%程度になるような目標設定が望まれます。

また「MBOよりもOKRのほうが目標を振り返るスパンが短い」「MBOよりもOKRのほうが目標の共有範囲が広い」といった違いもあるでしょう。

OKRについては「OKRの意味とは?MBOやKPIとの違いも解説!」で詳しく解説していますので併せてお読みください。

MBOの種類

MBOは主に、下記の3つに分類されます。

・組織活性型

・人事評価型

・課題達成型

それぞれの種類について解説します。

組織活性型

組織活性型とは、組織の活性化を目的としたMBOです。従業員に自ら目標を設定してもらうことで、一人ひとりに自発的な行動を促し、組織自体の活性化につなげます。

また、組織活性型を推進することで、従業員一人ひとりが組織の一員であるという認識を強くもつようになるため、離職率を低下させる効果にも期待できます。

人事評価型

人事評価型とは、人事評価を効率化することを目的としたMBOです。目標の達成度合いや達成のプロセスなどを人事評価に反映します。これにより、個人の成果に見合った適切な評価ができるようになるため、人件費の無駄を削ることが可能です。

効率的な経営にもなることから、組織活性型と併せて運用している企業も多くあります。

課題達成型

課題達成型とは、企業が掲げる目標の達成や課題の解決などを目的としたMBOです。たとえば「企業が掲げる売上目標と従業員の売上目標を紐づける」「企業が抱える上場への課題と個人の成果を紐づける」といった方法があります。

売上目標の場合における具体的な手順は次の通りです。

①企業の目標年間売上を設定する

②企業の目標を部門の目標に分ける

③チーム目標に細分化する

④個人の目標に落とし込む

この手順を踏むことで、企業と個人の目標が紐づきます。

MBOの運用手順

MBOを運用する際の手順は次の通りです。

①組織目標を決め、現場に共有する

②従業員が目標・具体的な行動プランを立てる

③上司が進捗を管理し、適宜軌道を修正する

④上司が評価し、本人にフィードバックする

手順ごとに解説していきます。

①組織目標を決め、現場に共有する

まずは組織目標を設定します。この際、個人目標に落とし込みやすい内容であることが大切です。

組織目標を設定したら、各部門の管理職に共有します。管理職から従業員に説明する際は、組織目標の内容と共に意図を明確に伝えるのがポイントです。その後、従業員は意図を汲み取ったうえで個人目標を設定します。

②従業員が目標・具体的な行動プランを立てる

次に、従業員に目標と具体的な行動プランを立ててもらいます。この際、管理職は「内容が具体的かつ定量的になっているか」という点を意識しましょう。加えて、個人のモチベーションを維持させるために「目標が高すぎないか」「達成が簡単すぎないか」といった点も考慮することが大切です。

行動プランでは「日々の業務に落とし込むことができるか」という点をチェックし、一緒になって目標を仕上げます。

③上司が進捗を管理し、適宜軌道を修正する

目標を決めた後はそのまま放置せず、上司が進捗を管理しながら適宜軌道を修正します。目標の達成に向け、従業員に困ったことがあれば相談にのって解決を促しましょう。目標の達成が難しそうな場合は、従業員と相談しながら軌道を修正します。

1週間に1回、もしくは1カ月に1回のペースで面談することで、従業員のモチベーション維持につながるでしょう。

④上司が評価し、本人にフィードバックする

評価期間に入ったら上司が評価をして本人にフィードバックします。その際、ただ評価内容を伝えるだけでは不十分です。従業員に納得してもらったうえで、具体的な次のアクションを決めることが重要になります。

評価内容が悪かった場合は、従業員がモチベーションを落とさないよう、労いの言葉をかけてあげるような気遣いも大切です。

MBOを実装するメリット

MBOを実装するメリットは次の通りです。

・組織の目標と方向性を統一できる

・従業員の自律性を養える

・従業員のモチベーションアップにつながる

以下にて見ていきましょう。

組織の目標と方向性を統一できる

組織が効率的に成長していくうえで、組織と個人が同じ方向を向くことが重要です。その点、MBOは、組織の目標に紐づく形で従業員個人が目標を設定するため、組織と個人の方向性を統一させることができます。

組織と従業員の向く方向が同じになれば、個人の頑張りや成果が直接的に企業の成長につながるでしょう。

従業員の自律性を養える

MBOは、会社や上司からの命令ではなく、従業員が自らが目標を設定する自己統制に基づいた制度です。そのため、従来のやり方よりも従業員の自律性が養われやすくなります。

また、自律性を養うことで、スキル向上や業務効率化を自発的に行おうとする意識が芽生えるため、個人の成長を促す結果にもつながります。

従業員のモチベーションアップにつながる

従業員は、上司の命令や報酬による外発的な動機だけではモチベーションを維持できません。そういった動機はどうしても「やらされ感」があるためです。

その点、MBOは自らで目標を設定するため「自分で目標を立てたからには頑張ろう」という内発的な動機が生まれます。これにより、従業員は高いモチベーションを維持することが可能になるでしょう。

MBOを実装する注意点

MBOを実装する際の注意点は次の通りです。

・モチベーションを高められる目標を設定する

・目標の達成基準を明確にする

・成果だけでなくプロセスも評価の対象にする

以下にて解説していきます。

モチベーションを高められる目標を設定する

従業員がモチベーションを高められるような目標設定を促しましょう。そのためには、上司が個々の成長度合いやポテンシャルを考慮し、適切な目標になるようサポートすることが大切です。

たとえば、挑戦的な性格で上昇志向の高い従業員の場合は、ギリギリ100%を達成しそうな目標設定が望ましいです。あえて達成度80%程度になるような難しい目標を設定してもよいでしょう。

いずれにしても、従業員が高いモチベーションで日々の業務をこなしていけるような目標を設定することが重要になります。

目標の達成基準を明確にする

目標の達成基準は明確にしておきましょう。曖昧な目標では客観的な評価ができないためです。

たとえば、「業務を効率化する」「仕事のミスをなくす」といった目標は曖昧なため評価が難しくなります。そのため「デスクワークにかける時間を2時間から1時間にする」「書類作成のミスを3個から1個にする」などといった具体的な目標設定が望ましいです。

客観的に評価がしやすく、定量的な目標設定を心がけましょう。

成果だけでなくプロセスも評価の対象にする

成果だけでなくプロセスも評価の対象にしましょう。成果だけを評価すると個人プレーが増え、チームワークが乱れてしまう恐れがあるためです。

目標達成に向けてどのような行動をとるか」といった点まで決め、適切な評価を行う意識が重要になります。また、運の要素を含む成果だけでなく、再現性のある行動に着目することで、個人の成長を促すことにもつながるでしょう。

まとめ

MBOは、企業の業績アップだけでなく、個人の成長やモチベーション向上につながる優れたマネジメント手法です。

MBOを導入している企業で働ければ、自分自身と企業の成長を肌で感じられるため、自己肯定感が上がり、成長速度を早めることができます。

MBOなどのマネジメント手法を用いて自身のキャリアアップを実現したいと考えている人は、多くの経営層とのつながりをもつBNGパートナーズの転職サービスをご利用してみてはいかがでしょうか?

MBOを導入している企業で働いて自己成長を促し、今後のキャリアアップへとつなげましょう。