【後編】クラダシ・徳山耕平×BNG・岡本勇一&齋藤達彦|CHROが語る「事業戦略と組織戦略を接続させる人事」の大切さ~入社時10人以下からのIPOチャレンジ~

SDGs等の考え方も一般に浸透し、いま改めて見直されるようになった「フードロス問題」。ここ日本で、まだ食べられるのに廃棄される食品は年間523万トンにものぼり、これは世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた食糧支援量(2021年 年間440万トン)の1.2倍に相当します。(消費者庁調べ

その現状にストップをかけようと、2014年に創業されたのが株式会社クラダシ。同社が運営するショッピングサイト「Kuradashi」の利用者数は51万人、パートナー企業数は1,600社を突破し、今もっとも注目を集めるECサイトのひとつと言えます。

クラダシは2023年6月30日にIPO(新規上場)。その立役者となったのがCHROの徳山耕平氏です。今回はBNGパートナーズ 事業部長の岡本勇一と担当コンサルタントの齋藤達彦が、クラダシの現状からIPOに至るまで、そして今後の人事戦略までを伺いました。

後編では、IPOに至るまでの課題と工夫した点についてお聞きします。

IPOに向けた組織づくりにおける課題点

岡本:実際にIPOへのマイルストーンを歩んでみて、当たった壁はありましたか?

徳山:事業計画の再現と、急成長による組織づくりの課題でしょうか。

事業計画の再現については、急成長はしているものの、その急成長の中で「計画通りの伸び」を実現する難しさがありましたね。

組織づくりについては、スタートアップではよくある話ですがメンバー内にバリューが浸透せず、再策定する必要がでてきたり、早期離職が続いてしまったりといったところです。

そんな中、一番大切にしていたのは人事戦略と組織戦略を接続させた人事評価制度ですね。一人当たりの生産性とかは気にしてましたし、もちろん数値として見ていましたが、あまりそれで右往左往しないようにしていました。「How」の部分だけ他社を真似て制度設計がなされることは少なくないと思うのですが、「Why」に立ち返る。なぜここを評価するのかと聞かれたら「クラダシの事業モデルの方向性を考えて育てるべきだから」と、仮にその後に振り替えれば間違っていたとしても、常に答えられるように整理しておく。

中途採用の多い企業にありがちなのですが、メンバー一人ひとりがすでに成功体験を持っているからこそ、評価基準が自分の経験軸になってしまうことが多いんです。だからこそ、評価軸を浸透させ、人事戦略と組織戦略をしっかりと接続させた評価制度は考えていましたね。

岡本:たしかに、自分の成功経験があると個人の判断軸で物事を進めてしまいがちなように思えます。

徳山:そうなんです。クラダシという会社の利益はもちろん大切だし、それを伸ばすためのメンバーの成功体験であることは、もちろんわかっています。が、社会貢献が根本にある会社であることを忘れてはならないし、逆もしかりで、社会へ献身的になりすぎてもそれはクラダシがあるべき姿ではない。

「ソーシャルグッドカンパニー」の実現のためにどうすべきかを考える部分が、IPOのうえで一番大変だったことかもしれませんね。

岡本:2023年6月にIPOを実現されたクラダシですが、小規模組織で一人ひとりのキャパシティに限界がある中、採用や人事は重要な要素のひとつになってきますね。特にクラダシでは、わかりやすい組織づくりも心がけられているのではと思いました。

徳山:そうですね、組織として大きくは管理部門と「Kuradashi」の事業部門に分かれていて、あまり複雑にしすぎないよう気を付けています。機能別組織をしっかりつくることで、階層構造を増やしすぎない組織づくりができていますね。

岡本:今後IPOを考える企業担当者がいたら、徳山さんならばどのような声をかけますか?

徳山:まずは「逆算しておく」こと。私たちの場合、2020年7月頃に2023年6月のIPOを目指すために、3年間の逆算をしっかり立てるということをやりました。絵にかいた餅でしかないですが、たとえば広報の領域では、どの時期にどういう番組に取り上げられたいか、というところまですべてです。ビジョンを共有しておくことで、ほとんど狂いなくIPOの実現ができたと考えています。

また、プロは積極的に巻き込んでおくことも重要だと思います。BNGのような人材エージェントはもちろんですが、IPOの経験が豊富な社労士さんなどを味方に付けておくことで、自分の逆算に狂いがあったときにいち早くアドバイスをいただけましたね。

BNGの「コミット力」なら任せられる

徳山:BNGはもともと私が前職Loco Partnersに在籍していた時からのお付き合いです。

私自身の転職もすぐご報告しましたし、その際に「ではクラダシもぜひ!」と言っていただけたのは心強かったですね。

齋藤:私がクラダシを引き継いだのは徳山さんがクラダシに転職されてからしばらくたった頃でしたね。

徳山:そうですね。当時新卒の齋藤さんを見て、一瞬不安に思いましたが……彼はクラダシのことを深く理解してくれようとするので、すぐに心配はなくなりました。すごく熱意も感じますし、提案も芯を食っているように感じます。結構驚いたのが、BNGさんは面接にも同席してくれるんですよ。

齋藤:一般的な採用エージェントの場合、面接は企業にお任せし、のちほどフィードバックをいただくことが多いと思います。BNGはそこを担当エージェントが同席し、さらなる企業理解と、求職者のフォローに繋げているんです。

徳山:そうそう、すごくびっくりしました。これは齋藤さんだけでなく、BNGのみなさんがやられていること。クライアントである私たちに深くコミットしてくれるエージェントだなと、とても信頼しています。

現在も、採用エージェントはBNGさんをはじめ、ごく数社としかお取引がないんですよ。

齋藤:嬉しいですね。弊社のコアコンピタンスは「コミット力」です。企業の事業理解ができているからこそ、経営課題を根本的に解決できるような人材提案ができると考えています。

「○○みたいな人を紹介して」という要望通りの人材提案や、とにかく数を出す支援方法ではなく、私たちもクライアントとともに組織の未来を考えていく。その姿勢をクラダシのみなさまには評価いただけたのかなと思います。

クラダシの採用戦略とは

岡本:では最後に、クラダシの今後の人材採用戦略があれば教えてください。

徳山:IPOは果たしましたが、これはゴールではなく1つの起点です。先ほどもお伝えしましたが、上場したことでフードロス課題により加速的に取り組めるようになりました。今後がまさに挑戦期のスタートです。

齋藤さんが「安定思考の方は上場済みを選びやすい」とおっしゃられたのは本当にその通りなのですが、今後は新規事業の展開など、急成長を遂げたいと考えています。そのためにも、まだまだチャレンジ思考の強い方にもクラダシの門を叩いていただきたいですね。

また、管理職ポジションの採用も今後さらに課題となっていきます。本来ならば、社内のメンバーレイヤーから管理職が育っていくのが理想ではありますが、急成長フェーズによってはそれが間に合わないことも多々ある。その際に、クラダシのミッション・ビジョンに共感し、メンバーたちを引っ張ってくれる管理職が今後必要になってくるはずです。

その際には、またBNGの力が必要になってきます。そのコミット力があるからこそ、管理職採用のような難しい部分もついつい頼れる存在。今後も期待しています!

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