OKRの意味とは?MBOやKPIとの違いも解説!

「Objectives and Key Results」の略称であるOKR。挑戦的な目的を達成するために用いる、目標設定・目標管理のフレームワークを意味します。この記事では、OKRの意味から導入する手順、失敗しないための注意点などをご紹介します。

目次[非表示]

  1. OKRとは
  2. OKRを導入するメリット
  3. OKRを導入する方法
  4. OKRを導入する上で気をつけること
  5. 効果的に運用する際のポイント
  6. まとめ

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OKRとは

OKR(Objectives and Key Results)とは、「Objectives(達成目標)」「Key Results(主要な成果)」を設定することにより、企業、チーム、個人などが同じ重要課題に取り組めるようにするための目標管理方法です。

大手企業が続々と導入したことで日本でも注目されるようになりました。

以下にて、さらに詳しく見ていきましょう。

OKRの仕組み

OKRの目的は、全社一体となって企業における重要目標をスピーディーに達成することです。OKRではまず、企業にとって重要な達成目標と主要な成果を設定します。

次に、企業の目標達成とリンクさせながら「チームのOKR→個人のOKR」の順に細分化しながら設定します。

これにより、企業が求める結果がチーム全体の目標になり、チームが求める結果が個人の目標になるため、企業、チーム、個人の方向性を統一できます。よって、OKRの目的である「企業における重要な目標」をスピーディーに達成することできるのです。

MBOとの違い

MBO(Management by Objectives)とは、個人の自主性を尊重したうえで目標を設定し、業績向上を目指すマネジメント手法で、1954年にピーター・ドラッカーが提唱しました。

MBOは個人にスポットを当てた手法ですが、OKRは企業、チーム、個人すべてを尊重する手法であるため、同じマネジメント手法でも根本が全く異なります。主に「マネジメントの領域」「設定する目標の内容と規模」が違います。

KPIとの違い

KPIとは、”Key Performance Indicaton”の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。KPIは「最終目標を達成するための必須プロセスを適切に実施できているか」をチェックする際に用いられるものです。

OKRは、企業全体で高い目標を掲げ、60〜70%程度の達成率を目指すのに対し、KPI管理ではプロジェクト単位で数値を設定し、100%の達成率を目指します。

よって、KPIとOKRは「マネジメントの規模」「目指すべき達成率」などといった点が違います。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリットは次の通りです。

・個人と企業が目指す目標を連動させやすい

・社内コミュニケーションが濃くなる

・挑戦的な目標を掲げやすい

以下にて解説します。

個人と企業が目指す目標を連動させやすい

OKRを導入することで、個人と企業が目指す目標を連動させやすくなります。

全社で目指すべき方向を一致させることで、企業の成長スピードをより早めることもできるでしょう。

社内コミュニケーションが濃くなる

企業全体の目標や戦略を全社に公開するという点もOKRの特徴です。

全社一致での共通認識をもつことで、部門やチームの垣根をこえてのコミュニケーションが活発になります。

挑戦的な目標を掲げやすい

OKRを導入することで、全社一体となって目標の達成に動けるため、一般的に難しいとされるような挑戦的な目標を掲げやすくなります。

挑戦的な目標を掲げることで従業員のモチベーションも上がるため、一人ひとりのパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

OKRを導入する方法

OKRの導入は、下記の7ステップで完了します。

①会社のミッションとビジョンを明確化

②会社のOKRを設定

③チームのOKRを設定

④個人OKRを設定

⑤OKRを共有

⑥フィードバックの実施

⑦振り返りをしたうえで改善

以下では、ステップごとに分かりやすく解説していきます。

①会社のミッションとビジョンを明確化

まずは会社のミッションとビジョンを明確化する必要があります。

ミッションを設定する際は、簡単に達成できるものではなく「ギリギリ到達できるかできないか分からないライン」で設定するのがポイントです。具体的には、最終達成率が60〜70%になる程度がよいとされています。

また「目標数を3〜5個にする」「期限を明確に設定する」といった点も重要です。メンバーのポテンシャルや会社の現状を考慮して設定を進めましょう。

②会社のOKRを設定

まずは会社のO(Objectives)KR(Key Results)を設定します。

O(Objectives)を設定する際のポイントは下記の通りです。

定性的な内容にする

・挑戦的な目標にする

・具体的でシンプルな到達点を示す

達成率60~70%程度の目標にする

・なるべく1つに絞る(最大で5つ)

・従業員のモチベーションアップにつながるワードを入れる

KR(Key Results)を設定する際のポイントは下記の通りです。

・部門の長が従業員の意見を吸い上げる

・経営陣が設定したObjectivesの達成するために部門で達成すべきKey Resultsを設定する

③チームのOKRを設定

次にチームのOKRを設定します。

O(Objectives)を設定する手順は次の通りです。

1.チームの長やメンバーで話し合いながらチームのObjectivesを設定

2.チームのObjectivesは、企業のKey Resultsの達成に直結する内容に設定

3.他部門や他チームのObjectivesを確認して整合性を図る

KR(Key Results)を設定する手順は次の通りです。

1.チームに属するメンバーでコミュニケーションをとりながら話し合う

2.話し合いの場でチームのObjectiveの達成に必要なKey Resultsを設定

④個人OKRを設定

次に個人のOKRを設定します。

O(Objectives)を設定する手順は次の通りです。

1.所属するチームの長と個人で話し合いながら個人のObjectivesを設定

2.個人のObjectivesは、チームのKey Resultsの達成に直結する内容に設定

3.全員共通のObjectives設定とメンバー個人のObjectives設定の2パターンがある前提を理解しておく

KR(Key Results)を設定する手順は次の通りです。

1.メンバー個人がObjectivesに対する自分のKey Resultsを考えて設定

2.個人のポテンシャルや経験などを考慮しつつ、部門の長やメンターが補助する

⑤OKRを共有

設定したOKRは、全従業員がいつでも閲覧できる状態にしておきます。設定したことに満足せず、常にOKRを意識して仕事ができるような環境作りも大切です。

OKRを会社に根付かせるために、経営陣がプレゼンテーションを行うのも効果的な方法になります。

⑥フィードバックの実施

定期的に目標の達成度をチェックし、メンターやチームの長がフィードバックを行います。最低でも月1回はフィードバックができる状態にしておくとよいです。

フィードバックや話し合いの機会を作ることで、会社全体の目標をメンバーに根付かせることができます。また、個人目標の進捗をチーム間で共有し、互いにフィードバックをし合う機会をつくってもよいでしょう。

⑦振り返りをしたうえで改善

目標の達成度合いが60〜70%であった場合は成功それ以外の場合は失敗となります。成功・失敗どちらであっても全社に共有することが大切です。

企業、チーム、個人でそれぞれが振り返り、次のOKRを設定する際は各パートで最適化を図ります。この流れを何度も繰り返すことでOKRそのものを改善していきましょう。

OKRを導入する上で気をつけること

OKRの導入で気を付けることは次の通りです。

・ミッション・ビジョンに基づいたOKRを設定すること

・トップダウン、ボトムアップの両方の意見を取り入れること

・OKRを評価制度と結びつける場合はプロセスを評価すること

以下にて解説します。

ミッション・ビジョンに基づいたOKRを設定すること

ミッションとビジョンに基づいたOKRを設定することが大切です。

また、ミッションとビジョンは、分かりやすく、聞くだけでワクワクするような内容にしましょう。思わずモチベーションが上がるような内容にすることで、達成率の向上につながります。

トップダウン、ボトムアップの両方の意見を取り入れること

OKRには、トップダウンとボトムアップ、両方の意見を反映させることが大切です。

たとえば、前述したミッションやビジョンは経営陣が専制的に設定し、個人のOKRなどに関しては個人に委ねます。これにより、個人のモチベーションをアップさせることが可能です。

OKRを評価制度と結びつける場合はプロセスを評価すること

OKRを評価制度と結びつける場合は、プロセスを評価しましょう。

OKRの結果を評価の対象にしてしまうと達成が難しく、個人のモチベーションを下げてしまうためです。また、成功体験につながらず、個人の成長を阻害してしまうというデメリットもあるため注意しておきましょう。

効果的に運用する際のポイント

OKRを効果的に運営するポイントは次の通りです。

・目標設定から結果までを常に公開する

・目標を高く設定し、社員のモチベーションを高める

・処遇や昇格・昇進への直接の連動・活用は避ける

・定期的にミーティングやフィードバックをする

以下にて見ていきましょう。

目標設定から結果までを常に公開する

目標設定から結果までを常に公開することで、OKRを根付かせることが可能です。

また、1から10までを公開することで、企業、チーム、メンバーに一体感が生まれ、全社のパフォーマンス向上にもつながります。

目標を高く設定し、社員のモチベーションを高める

高い目標を設定することで社員のモチベーションが上がり、個人の成長スピードを早めることが可能です。

また、達成に向けたプロセスを公開するなどして、高い目標に挑むために必要な環境を用意することも重要になります。

処遇や昇格・昇進への直接の連動・活用は避ける

OKRを運用する際は、昇格や昇進と直接的に連動させないようにしましょう。昇格や昇進と連動させてしまうと、達成すべき目標がすり替わってしまう可能性があるためです。

あくまで最初に設定した目標の達成に向かう必要があるため、昇格や昇進は間接的に連動させることが重要になります。

定期的にミーティングやフィードバックをする

定期的に振り返りやフィードバックを行うことで、達成意識の向上を図れます。

また、高い目標に向かうことを習慣化させることもできるため、会社と個人、両方の成長スピードを高めることが可能です。

まとめ

本記事では「OKRの基本情報」「OKRの導入方法」などを紹介しました。

OKRは、先進的で成長速度の速い企業が導入したことで、その後を追う企業が続出しています。そのため、OKRについてしっかり理解しておけば、人材として重宝される機会が多くなるでしょう。

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