スタートアップの「イグジット(exit)」とは?種類や特徴を解説

ベンチャービジネスや企業再生などで、創業者やファンドが株式を売却し利益を手にすることを意味する「イグジット」。この記事では、イグジットの仕組みから種類、それぞれの特徴をご紹介いたします。

目次[非表示]

  1. イグジットとは?
  2. イグジットの種類
  3. イグジットのメリットとデメリット
  4. イグジットを成功させるために大切なポイント
  5. まとめ

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イグジットとは?

イグジット(EXIT)とは、ベンチャーやスタートアップ企業などにおいて、創業者やベンチャーキャピタル・投資家などの出資者が株式を第三者に売却したり、株式公開をしたりすることで利益を得る手法のことです。

企業側があらかじめイグジット戦略を明確に定めておけば、出資者側もその戦略をもとに投資資金を回収できる可能性があるのか、利益を得られる可能性は高いのか判断できます。

企業側も投資を受けられれば、事業の成長スピードを向上させたり、事業拡大に資金を利用したりできます。

このように投資を受ける企業と投資を行う出資者にとっても重要なのがイグジット戦略であり、イグジットすることを企業の目標として掲げているベンチャーやスタートアップ企業も存在します。

イグジットの種類

イグジットは、主に次の4種類に分類されます。

・IPO

・M&A

・MBO

・EBO

それぞれどのような違いがあるのか、以下で詳しく解説していきます。

IPOとは

IPOとは「InitialPublicOffering」の略語で、日本語では「新規公開株」や「新規上場株式」と表します。

具体的には、証券取引所に上場することで、所有している株式を投資家に売り出して、誰もが株式取引をできるようにするのがIPOです。

創業者や出資者からすれば、株式市場で株式を売り出して出資金を回収し利益を得られるのでイグジットになります。

M&Aとは

M&A(エムアンドエー)とは「Mergers(合併)andAcquisitions(買収)」の略語です。一般的にはM&Aというと「企業の合併買収による、会社もしくは経営権の取得」のことを意味します。

創業者や出資者からすれば、会社あるいは事業そのものを売却して、投資資金を回収して利益を得られるのでイグジットになります。

MBOとは

MBOとは「ManagementBuyout」の略語で、会社の経営陣が自社の株式を出資者や創業者から買い取ることを意味しています。

たとえば、企業の所有者と経営者が実質的に異なる場合において、経営陣が自身に経営権を集中させたいときに利用されるのがMBOという手法です。

創業者や出資者からすれば、経営陣に保有する株式を買い取ってもらえるのでイグジットになります。

EBOとは

EBOとは「EmployeeBuyOut」の略語で、従業員が自社を買収するM&A手法のことを意味します。

ある事業部門の責任者が本社から事業を譲り受ける時や、従業員が事業承継を引き受ける際に用いられるのがEBOという手法です。

創業者や出資者からすれば、従業員に株式を買い取ってもらう形になるので、イグジットになります。

イグジットのメリットとデメリット

ここではイグジット4種類について、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか解説していきます。

IPOのメリットとデメリット

IPOのメリットは、証券取引所に上場することで企業の信用度が上がり、それまでよりも資金調達をしやすくなる点が挙げられます。株式を公開することによって、多くの投資家に株式を売却する機会が得られるようになり、公開前よりも多額の資金調達が可能となるのです。

また、創業者が経営権を確保できるだけの株式を保有したまま売却することができるので、経営権を手放さずに資金調達がしたい人にもおすすめの手法です。

一方でIPOのデメリットは、証券取引所に上場するまでの審査がかなり厳しく、上場までにある程度の会社規模に成長しなければならない点が挙げられます。

たとえば、東京証券取引所の市場区分の中にあるグロース市場では、上場する条件を次のように定めています。

・株主数150人以上

・流通株式数千単位以上

・流通株式時価総額5億円以上

上記条件を満たすために、上場を目指す企業は少なくとも約3年前から社内の財務・法務体制を整えて、証券取引所による厳しい上場審査をパスしなければなりません。

M&Aのメリットとデメリット

M&Aのメリットは、IPOよりもはるかに短い期間で事業を売却できる点にあります。IPOの場合、証券取引所の厳しい審査を潜り抜ける必要がありますが、M&Aの場合は買い手側との交渉さえうまくいけば短期間でイグジットが可能です。

一方でM&Aのデメリットは、事業の買い手がいない可能性がある点にあります。どれだけ事業売却して利益を得たいと思っても、M&Aをしたいと思う買い手がいなければ成り立ちません。

また、仮に買い手が現れたとしても、希望している価格で事業売却ができない可能性もあります。

MBOのメリットとデメリット

MBOは、経営陣が株式を買い取り企業の経営権を握ることになるので、意思決定が迅速かつ自由になり、長期的な経営が可能になる点がメリットです。

経営陣が変わらないので、M&Aよりも従業員から理解が得られやすく、従業員目線からみても安心できる手法のため、従業員のモチベーションアップにも繋がります。

一方でMBOのデメリットは、経営陣が会社の所有者と同じになるので、会社経営の監視体制が弱まってしまう点です。

またMBOによって経営陣が株式を保有することになるため、経営体質が変化しづらくなり、経営変革が起きにくい点もデメリットとして挙げられます。

EBOのメリットとデメリット

EBOのメリットは、これまで勤めていた従業員が事業を引き継ぐことになるので、会社の経営方針や社内環境などが大幅に変化する心配がない点です。また業務の引き継ぎに関しても、他の手法と比較するとスムーズに行うことができます。

一方でEBOのデメリットは、多額の資金調達が必要になる点です。株式を買い取るためには多額の資金を準備しなければならず、一般的な従業員が個人資産から資金を準備することは難しいでしょう。

実際にEBOを行う際には、金融機関などの融資を利用するケースが多いです。

また以前から自社に勤めている従業員が事業承継するため、変革などによる企業の成長が見込みにくい点もデメリットになります。

イグジットを成功させるために大切なポイント

近年では、日本でもM&Aを中心としたベンチャー・スタートアップ企業のイグジットも増えています。国内のM&A件数は、2017年の3,000件から2019年には4,000件を超えており、徐々にイグジットがしやすい環境が整いつつあると言えるでしょう。

しかしそれでもなお企業の創業者がイグジットを達成するのは簡単ではなく、早い段階からしっかりと準備をすることが重要になります。

ここでは、イグジットを成功させるために、起業家や企業の創業者が知っておきたい大切なポイントについて解説していきます。

イグジットを実行する時期を決める

イグジットを成功させるためには、まず実行する時期を決める必要があります。

一般的にイグジットをする際には、企業の経営を円滑に進めながら、イグジットにおける複雑な手続きを進めていかなければなりません。

そのためゴールから逆算して、いつどのタイミングで何をするか、経営に関する決定事項や手続きの進め方などをあらかじめ考えておく必要があります。

もちろん予定通りに経営がうまくいかず、計画がうまくいかない場合もあるでしょう。しかしそういったケースも踏まえて具体的な計画やシミュレーションを行うことによって、自身や自社にとって理想のイグジットを実現することができます。

イグジットに向けて動いているスタートアップ企業で経験を積む

将来的にイグジットを成功させるためには、既にイグジットに向けて動いているスタートアップ企業で経験を積んでおくことが重要です。

イグジットを達成するためには、事業を成長させながら、イグジットの複雑な手続きを進めていく必要があります。

過去にイグジットに向けて動いているスタートアップ企業で経験を積んでいれば、自分自身がイグジットを目指す際にも正しい戦略を立てて動くことが可能です。

イグジットに向けて動いているベンチャーやスタートアップを探しているのであれば、転職エージェントに相談しましょう。

BNGパートナーズでは、多くのハイクラス求人の中から、イグジットに向けて動いているベンチャーやスタートアップ企業を紹介することが可能です。興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

イグジットを成功させるためには、戦略的に動くことが必要で、戦略を練るためには経験を積むことが重要です。

イグジットできるような起業家になりたい」とお考えの方は、まずイグジットに向けて動いている企業で経験を積みましょう。

自分1人ではイグジットに向けて動いている企業を探すのはちょっと難しいかもしれない…」という不安をお持ちの方は、ぜひBNGパートナーズにご相談ください。

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