「誰と組むのか」を重視するセーフィーのパートナービジネス戦略 その最先端の取り組みをフォーカス

2014年の創業ながら、今やクラウド録画サービスシェアでは国内No.1(テクノ・システム・リサーチ社調べ)を誇るセーフィー株式会社(以下、セーフィー)。同社が提供する映像データは、防犯用途だけでなく建設・飲食・小売・医療・製造・物流など多様な業界で活用されており、社会的な課題解決に大きく貢献しています。

経営戦略の中で重視しているのが、パートナービジネスです。
日本を代表する企業とパートナーシップを構築し、ビジネスをスケールアップさせています。その中核となるパートナービジネス事業部の部長が鈴木氏です。また、パートナー連携の成功事例として昨今クローズアップされている仙台市の遠隔医療プロジェクトを支援するのが、空間ソリューショングループの岡本氏です。同社のパートナービジネス戦略に対する基本的なスタンスや遠隔医療プロジェクトの経緯・その成功要因などを、BNGパートナーズのCOO 大山 洋介が対談を通じて説き明かしていきます。

お話を伺った方
セーフィー株式会社
パートナービジネス事業部 部長 鈴木 敦久氏

空間ソリューショングループ 岡本 夕氏

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顧客とのタッチポイントを増やすことで、セーフィーが選ばれる世界を作る

大山:御社のご紹介とパートナービジネス戦略についてご紹介いただけますか。

鈴木:セーフィーは、『映像から未来をつくる』というビジョンを掲げ、誰もが活用できるクラウド型の映像プラットフォームを提供しています。それを通じて、人々が意思決定をスムーズに、そして効果的に行える世界を作っていきたいと思っています。

パートナービジネス戦略に関しては、当社では創業以来、経営戦略の一部として重要視してきました。売上ベースを見ても、現在では全社の6割ほどを占めています。
具体的には、日本を代表するインフラ事業者、通信会社、カメラメーカー、警備会社、設備会社などのパートナー様とビジネスモデルを構築し、一緒になって映像プラットフォームの構築・拡大に向けて、取り組みを進めています。

鈴木:良いものを作れば売れるという世界ではなくて、市場・顧客とのタッチポイントに強いパートナー様と組むことで、お客様に選んでいただける世界を目指してきました。
それが結果的に、セーフィーのサービスをいち早く立ち上げることにつながっていると思っています。まずは、「何を作るか」も大事ですが、それよりも、「誰と組むのか」を重視してきたということです。

次のステップとして、「何を作るのか」「どうやって提供していくのか」というフェーズに入って来ます。セーフィーが作ったものを、パートナー様にただ単に売ってもらうという世界ではなく、セーフィーの強みとパートナー様の強みを掛け合わせて、その中でしか作れないオリジナリティを提供していけるようにチャレンジしています。それが、四隅戦略(ステークホルダーをオセロの四隅に見立てていく商流戦略)の次に向けた取り組みになっていきます。

今回のMUSVI社との新たな取り組みもその一つとして位置づけられます。
セーフィーの強みだけでなく、セーフィーが出資しているパートナー様の強みも繋げていこうという取り組みです。

大山:パートナー戦略を徹底的に伸ばしていこうとされている意図と展望をお聞きできますか。

鈴木:シェアをいかに早く拡大していくかを考えると、自社での販売に加えてパートナー様と組んでいった方が実現可能性は高くなると考えています。 セーフィーが創り出したサービスを自社の力でスピード力を持って拡散していこうと思っても限界があります。我々は映像プラットフォームの構築・拡大を目指しており、このプラットフォームに連携するサービスが多産されていく世界を作り出していきたいのです。そういう意味では、それぞれのパートナー様がセーフィーと連携するサービスをどんどん作り、売っていただければ、お客様とのタッチポイントが増えていき、結果的にセーフィーが選ばれる世界ができ上がると思っています。そこをゴールにしていく考えです。

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パートナーとのつながりが生んだ仙台市の遠隔医療プロジェクト

大山:そんな中で、今回のMUSVI社と仙台市での遠隔医療の事例が出て来たと捉えています。まずは、取り組みの概要をご紹介いただけますか。

岡本:2023年2月から実施した実証実験を踏まえて、同年11月から仙台市医師会や仙台市、NTT東日本、東北大学などによる遠隔医療の取り組みが仙台市を舞台にスタートしました。
具体的には、セーフィーの投資先であるMUSVI社が開発した次世代型コミュニケーション装置であるテレプレゼンスシステム「窓」を活用した診療カーによるオンライン診療サービス事業です。これによって、医師が距離の制約を越えて診察ができることとなり、地域医療に新たな可能性がもたらされようとしています。

大山:今回の取り組みに至った背景やきっかけをお聞かせいただけますか。

岡本:私はスタートアップへの出資やその後の経営支援をミッションとしています。中でも出資先サービスの営業や事業開発が最も重要な活動であり、担当するMUSVIが展開する「窓」も日々営業しています。MUSVI社は、セーフィーと同様にソニーに在籍していたメンバーがスピンアウトした会社です。セーフィー代表の佐渡島がMUSVI社が構想していたテレプレゼンスシステム「窓」の将来的な価値に共感しソニーグループと共に出資し会社が設立されたという経緯があります。

ただ、出資した当初はどのようにビジネスを拡大していくべきか、「窓」が誰の課題を解決するのか見出せずにいました。そんな中、NTT東日本様の上層部の方に「窓」のお話しをしてみたところ、とても良い反応が返ってきてすごく驚いたのを覚えています。同社が目指している将来構想の実現に向けて、近しいものを感じていただけたのかもしれません。

一方で、現場レベルではほとんど「窓」のことは知られていなかったので、1年半ほど前にまずはNTT東日本様の中で「窓」が広がる起爆剤となるようなシンボリックな案件を作ろうという方針を立てました。そこから、NTT東日本様の各事業部へアプローチをする中で出会ったのが、同社も参画していた仙台市の遠隔医療プロジェクトでした。宮城事業部の担当部長の方が「窓」の説明を聞いて、即座に強い関心を示してくれたんです。
なぜなら、遠隔医療を進める上で、仙台市医師会長様が直面していた「一般的なテレビ会議ツールだとリアルな問診が困難」という課題を「窓」が解決できるかもしれないと思っていただけたからでした。

大山:まさに、誰と組んでどのように展開していくかという話が体現された事例だと思います。
もともと、御社がNTT東日本様にアプローチされた時点から「遠隔医療の活用」を見込んでおられたのですか。

岡本:正直に言うと私自身、遠隔医療を意識した営業展開はできておらず、「こんなに面白いサービスがあります!何かに使えませんか?」という相談を繰り返していました。どの分野で最も「窓」の性能を発揮できるのかと試行錯誤を続けていましたが、医療はまさに「窓」の価値を最大限に活かせることがNTT東日本様との連携を通じて発見できたのです。

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パートナービジネスを通じて、より視座の高い提案をしていきたい

大山:わずか1年でオンライン診療サービスに「窓」が参画されました。奇跡と言っても良いほどのスピード感です。短期間でここまで進めるのは、相当大変であったのではないですか。

岡本:NTT東日本様がいなければここまで早く進むことはなかったと思います。そもそもMUSVI社やセーフィーだけで仙台市医師会長や仙台市に「窓」を提案すること自体が困難です。今回は結果的に二つのハブがあったと思っています。一つは、地域の有力者やキーマンと強固なリレーションを誇るNTT東日本様の「地域力」というハブ。もう一つが、NTT東日本様やMUSVIといったセーフィーが有するパートナーリレーションというハブです。これらが線としてつながったからこそ、今回の事業に参画することができたと思っています。

大山:御社がパートナー戦略を積極的に推進されているからこその結果だとお見受けします。

岡本:おっしゃる通りだと思います。セーフィーのパートナービジネス事業部のメンバーは、パートナー様と中長期的に関係を築くためにはどのような情報が必要か?という目線を常に持っています。「窓」のような短期的には営業数字になりにくいプロダクトを1年以上かけて一緒に動いてくれたのはこのマインドセットがあったからこそだと思います。加えて、新しい情報を即座にパートナー様に聞いてもらえる関係性もこれまでセーフィーが培ってきたパートナー戦略の賜物だと実感しました。

大山:この取り組みを進める上では、さまざまな課題もあったのではないですか。

岡本:当たり前の話ですが、社内の営業の方にとって最も重要なことは自社のサービスを売ることです。本業のサービスを販売することをミッションに持ちながらこうした「窓」のようなプロダクトに興味を持って、お客様にその先進性を伝えていただける方を多く作るにはどうしたらよいのか最初のころは本当に苦労しました。

大山:その課題をどう解決されていかれたのですか。

岡本:仙台の事例が創出されてからは、興味を持ってくれる人がかなり増えました。
佐渡島が社内の朝会等で、遠隔医療プロジェクトや「自治体・公共Weak2024」のセッションで「窓」が取り上げられたトピックに触れながら、「窓」がどう活用されているのかを伝えてくれているのも大きいです。医療だけでなく、建設を担当する部門でも「窓」の認知は広がっています。もともと建設領域を担当している部長は出資した直後から「窓」の価値を信じて旗振り役をしてくれていました。ただ、組織的に動くところまで私の力不足で至っていませんでしたが、ここに来て鹿島建設様や清水建設様など業界トップ企業の導入事例が出たことで「窓」を戦略商品にする議論が動き出しています。
実は今回の仙台市の遠隔医療PJではセーフィーのサービスは1つも導入されていません。自社サービスだけに囚われずより「視座の高い提案やお客様のビジョンに刺さる話をしなければいけない」という意識を持つ社内のメンバーを探し、一緒に動くことがとても重要だと感じています。

大山:今後の取り組みについて、お聞きできる点がございますか。

岡本:医療分野に関しては、仙台市医師会長様からは「窓」によって対面と遜色ない問診ができ「診療の基本」体制の構築ができるとおっしゃっていただきました。今後は「窓」が遠隔医療のデファクトスタンダードとなるために認知と事例を広げ、官公庁にその旨を提言をして地域の医療格差や医師不足などの社会課題を解決していけるように働きかけていきたいと考えています。
医療現場の規制緩和を広げていく取り組みをセーフィーだけでなく協業先のNTT東日本様、各自治体、出資先のMUSVIを巻き込み、様々なステークホルダーと協力しながら実現していきたいです。

大山:貴重なお話をありがとうございました。今後の取り組みも期待しています。


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