レジリエンスは、精神面における「回復力」や「耐久力」を意味する言葉です。
ビジネスシーンにおいても、困難をうまく乗り越える力として注目を浴びています。
しかし、レジリエンスの概要・高め方・重要性まで理解している人は、それほど多くはないでしょう。そこで当記事では、レジリエンスの意味や重要性をはじめ、高め方などについて解説します。
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レジリエンスとは
まずは、レジリエンスの概要や注目される背景について解説します。
レジリエンスの概要
レジリエンスとは、精神面における回復力を示す概念です。仕事などでストレスがかかったとしても、心の健康を維持できる力を指します。
元々レジリエンスは、物理学において「外部からの力によって歪んだ物質の跳ね返す力」として使用される言葉でした。昨今では心理学でも使われるようになり、ストレスを受けたあとに「PTSDになる人・ならない人」の違いには、レジリエンスが関係していると言われています。
またレジリエンスは、ビジネスパーソンが「日常業務を円滑にこなす」ために欠かせない力だと言えます。なぜなら、業種・業界を問わず、仕事では一定のストレスがかかるからです。レジリエンスが高い人は、ストレスがかかっても自ら乗り越えることが可能です。
レジリエンスが注目を集める背景
レジリエンスが注目を集める背景には、近年の「絶えず変化する環境」が関係しています。
目まぐるしく変化する社会情勢・働き方の多様化・新型コロナウイルスの流行などにより、ビジネスシーンは常に変化しています。環境が変われば、自身の立ち位置や担当業務が変化することもあるでしょう。
加えて昨今では、ビジネスシーンでも多様化が叫ばれています。国籍・年齢・障害の有無など、多様なバックグラウンドをもつ人が働くなかで、互いを認める努力が必要です。
とり巻く環境が変化し、多様化による容認が必要とされる現代において、ストレスを避けることはできません。そのため、ストレス社会を生き抜く従業員の精神面への配慮として、レジリエンスに注目が集まっています。
メンタルヘルスとの違い
レジリエンスと似た言葉として、メンタルヘルスが挙げられます。
メンタルヘルスは、心の健康を指します。メンタルヘルスをキープするには、第三者による「精神的プレッシャーの軽減」や「環境改善」などが不可欠です。職場におけるメンタルヘルスのサポートは、保健師や産業医が行うことが多いでしょう。
一方でレジリエンスは、困難やストレスに対し、自分自身でどれだけうまく対応・適応できるかを意味します。第三者によるサポートは含まれません。
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レジリエンスが高い人の特徴
レジリエンスが高い人には、どういった特徴があるのでしょうか?
主な特徴は以下の通りです。
感情のコントロールが上手
喜怒哀楽のうち、特に怒りや悲しみ(不安)といった感情をコントロールできないと、自身の「負の感情」に支配されます。仕事中に負の感情に支配されると、ネガティブな考えを抱えながら作業をするため、生産性が低下しがちです。同時にミスも発生しやすくなるでしょう。ミスが発生すると、「周囲のせいだ」や「自分はダメだ」と考え、さらなる負の感情に苛まれます。
一方でレジリエンスが高い人は、負の感情が発生したとしても「今、自分は怒っている」と自身を俯瞰的に見ることが可能です。さらに「怒っているときの行動は人間関係に支障をきたす」などと想像力が働くため、怒りをしずめる方向に自身を調整できます。
感情をうまくコントロールできることから、相手にマイナス感情をぶつけずに済み、悩む機会が少なくなります。
自尊心が高い
レジリエンスが高い人は、自尊心が高い点が特徴です。
自尊心は「自己肯定感」とも呼ばれ、自分を大切にする気持ちを意味します。自尊心が高いほど自分を尊重できるため、ストレスを受けたとしても、自分をいたわることができます。
そのため、「ミスをしたけれど、成長にミスは欠かせない」などと、物事を前向きに考えられるでしょう。根底には「自分を信じる・信頼する気持ち」があります。
一方でレジリエンスが低い人は、自尊心が低いため、自分をないがしろにしがちです。ミスをした場合にも「ミスをするなんてダメな奴だ」などと自分で自分を責めてしまい、ストレスを溜め込んでしまいます。
柔軟な思考をもつ
レジリエンスが高い人は、さまざまなストレスがふりかかった際に、状況に応じた「ストレス脱却への考え」ができます。つまり、柔軟な思考をもっています。
多様な考えができるため、たとえ苦手な人と同じ部署になった場合にも「自分との共通点を探してみよう」や「優しい一面もある」などと、考えを巡らせることができるでしょう。
大きな壁が目前にあらわれても、壁をこえる方法を模索できることから、突破口の早期発見も可能です。また柔軟な思考を駆使し、業務上の危険因子を想定できるため、早い段階で危険を回避できるでしょう。
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レジリエンスを向上させるメリット
レジリエンスを向上させると、日々の生活におけるストレスから回復しやすくなります。ビジネスシーンにおいては、以下のようなメリットがあります。
ストレスへの対処がうまくなる
レジリエンスが高い従業員は、仕事においてストレスを感じていても、感情のコントロールが可能です。たとえば納期に追われていたとしても、周囲に助けを求めながら、納期に間に合うための方法を模索できます。ときには気分を落ち着かせるために、作業を中断することもあるでしょう。間違っても周囲に八つ当たりをしたり、嫌になって突然出勤しなくなるといった事態にはなりません。
ストレスへの対処がうまくなると、そのときに応じたベストな対処方法を見出せるようになります。ストレスを逆手にとり、自身の成長につなげる人もいるでしょう。また人によっては、ストレスを楽しむ余裕さえあります。
従業員のレジリエンスを向上させ、ストレスへの対処がうまい人が増えれば、人間関係で職場環境が悪化する事態も防げます。
業務パフォーマンスの向上
適度なストレスは緊張感となり、作業効率を上げることがあるでしょう。
しかし、多くのストレスがかかった状態で仕事をすると、集中力がなくなり「優れた仕事」はできません。
注意散漫な状態で業務を行えば、通常よりも作業速度が遅くなり、業務パフォーマンスが下がってしまいます。ミスが多発する可能性も考えられるでしょう。
一方で従業員のレジリエンスを向上させれば、多くのストレスがかかったとしても、作業ができる状態までストレスを軽減することが可能です。ミスが発生したら作業効率が悪くなることも想像できるため、ミスが発生しにくい状況を意識しながら業務を遂行できます。「失敗したらどうしよう」などとネガティブに考えることも少なく、目の前の仕事を真剣に行うため、業務パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
社内の人間関係が良好になる
レジリエンスが高い人は、「気が合わない」と感じる人がいても、ストレスを感じないように当たり障りなく接することができます。
たとえ相手から嫌な言動をとられても、「〇〇さんは疲れているから、言動が冷たくなっているのだな」などと考え、相手の負の感情に巻き込まれにくくなります。そのため、人間関係でのストレスを抱えにくい傾向にあります。
レジリエンスが高い従業員が増えれば、人間関係を上手に立ち回れる人が集まる組織になり、社内の人間関係を良好に保てるでしょう。
人間関係が良好な環境を築ければ、チームの一体感が出て業務効率化につながり、業績アップも期待できます。
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従業員のレジリエンスを高める方法
ここでは、従業員のレジリエンスを高める方法を紹介します。
従業員のレジリエンス向上を目指す場合には、以下のような方法を試すとよいでしょう。
ABCDE理論への理解を促進
ABCDE理論とは、感情のコントロールに役立つ考え方です。Aという出来事が発生した際に「B→C→D→E」とプロセスを踏むことで、否定的な感情を肯定的に変化させる仕組みです。
従業員に対し、ABCDE理論の概要をはじめ、理論への当てはめ方をレクチャーすると「レジリエンス向上」に役立ちます。
A:Activating Event/出来事、事象 B:Belief/Aに対する考え方、受けとり方 C:Consequence/Bに対する行動 D:Dispute/不適切なB・Cに対する反論 E:Effect/Dを選ぶメリット |
たとえば営業成績がふるわず、後輩に成績を抜かれた人がいた(A)としましょう。
その際に、「後輩はコミュニケーション力が高いが、自分は人と話したり関わったりすることが苦手なので、営業は向かない(B)」と考えると、自己否定や妬みといった感情にとらわれ、ストレスから逃れられません。(C)
そこで、自己否定や妬みから脱却すべく「後輩はすごいけれど、後輩と自分の強みは異なる。自分の強みを活かした営業戦略が必要だ」(D)と考えたとします。
すると、「新たな可能性の発見」や「良好な人間関係を維持する」といったメリット(E)につながります。
これは自分自身にも適用できる手法ですが、ストレスをため込んでいたり、仕事について悩んでいる後輩や部下に対するコミュニケーションの取り方にも活かすことが出来ます。
特に上司や先輩としてできることは、起きた事象(A)に対して、部下にフィードバックをする際に、部下が(B)に至る思考がネガティブにならないような内容にすることを心がけてみましょう。
自尊心を高めるサポート
自尊心が高いと、あるがままの自分に価値を感じるようになるでしょう。
そのため、仕事内容や職場の人間関係でプレッシャーがかかるようなケースがあっても、自分を尊重しながら問題解決につなげられます。
すると、ストレスに流されることが少なくなるでしょう。
具体的に「従業員の自尊心を高める方法」として、以下のような方法が挙げられます。
・小さなことでも称賛する(例:資料作成がスピーディー、電話応対の丁寧さ) ・定期的な1on1の実施 ・自尊心を高めるセミナーの開催 ・評価制度に「称賛」の項目をとり入れる |
自尊心が高い従業員が増えれば、レジリエンス向上はもちろんのこと、生産性向上や離職率改善などにも役立つでしょう。
挑戦を称賛する文化を醸成
「失敗してもよい。挑戦をすることが大切だ」といった、挑戦を称賛する文化を醸成すると、従業員のレジリエンス向上が期待できます。
なぜなら、レジリエンスが低い人は「自分はダメだ」や「ステップアップなんてできない」などと、ネガティブな考えをする傾向にあるからです。同時に、挑戦を怖がり失敗を恐れる人も多いでしょう。
企業が「挑戦を称賛する文化」を醸成すれば、失敗しても否定されないことがわかるため、自己肯定感アップや思考力の強化につながります。
具体的には、以下のような方法が挙げられるでしょう。
・発言を否定しない ・失敗を責めない ・上司自らの失敗を公表する ・挑戦者に特典を支給 ・ミスが発生したら、チーム一丸となって解決する |
挑戦を称賛する文化が醸成できれば、レジリエンス向上はもちろんのこと、新たなアイデアの創出なども期待できます。
スタートアップのCxO/幹部になって責任に見合う報酬を!
登録者数40,000人突破したBNGエグゼクティブサーチでは、スタートアップのCxO/幹部になって責任と成果に見合った報酬を獲得したキャリアアップ事例をご紹介しています。コンサルタントへ...
まとめ
従業員のレジリエンスを高めると、困難にうまく立ち向かいやすくなり、業績アップや職場環境の改善に役立ちます。
しかし、レジリエンスなどの「近年注目された内容」を、すぐに社内へ反映するのは難しい側面があるのも事実です。自分のやりたいことができない場合には、転職をするのも1つの方法です。
スタートアップやベンチャー企業のような比較的、新陳代謝の高い会社であれば、レジリエンスなどの「近年注目された内容」をすぐに実現しやすいでしょう。
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