手取りがわかる早見表付き!年収から手取りを計算する方法をご紹介

日本では、年収に応じた課税制度があり、手取り額の割合が変動します。この記事では、額面と手取りの違いや節税できるポイントをはじめ、転職時に給与面でチェックしておきたい点をご紹介します。



目次[非表示]

  1. そもそも年収とは?
  2. 年収から差し引かれるものは?
  3. 手取り額の計算方法とは?
  4. 節税をしたいときにチェックするものは?
  5. 転職時に給与面で失敗しないためのチェックポイント
  6. まとめ

そもそも年収とは?

ふだん何気なく耳にする「年収」という言葉。しかし年収の正確な定義について、しっかり理解している人は意外と少ないものです。ここでは年収と関係のある「額面」や「手取額」、さらには日本の平均年収について説明します。

額面と手取り額の違い

年収とは、一般に「額面=総支給額」のことです。総支給額は文字通り「支給される給与等の総額」で、そこには基本給をはじめ、残業手当や通勤手当などの各種手当てが含まれます。

一方、会社から毎月実際に振り込まれるお金は「手取り額」です。手取り額は額面(総支給額)そのものではなく、額面から各種税金や社会保険料などを差し引いた金額を指します。具体的に差し引かれる金額は会社ごとに、あるいは個人ごとに異なりますが、おおむね額面の15〜25%程度というケースが多いようです。

知っておきたい日本の平均年収

ちなみに「自分の年収は他の人と比べて多い?それとも少ない?」と考えてみたことはあるでしょうか?もし転職を考えるなら、転職後の年収も気になるところです。

国税庁がまとめた「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、調査対象となった給与所得者5,270万人の平均給与は「443万円」となっています。男女別だと、男性(3,061万人)が「545万円」、女性(2,209万人)が「302万円」です。ぜひ参考にしてみてください。

年収から差し引かれるものは?

手取り額は、年収(額面=総支給額)から各種税金や社会保険料などを差し引いた金額、と説明しました。では実際にどのようなものが引かれているのか、見ていきましょう。

所得税

年収から差し引かれる税金には2種類あります。そのうちのひとつ「所得税」は、給与などの所得(※)にかかる税金です。
※年収から「所得控除」を差し引いたもの。詳しくは『No.1100 所得控除のあらまし|国税庁』をご覧ください。

所得税の金額や、所得に占める割合は一律ではありません。実際には「累進課税」といって、所得金額が増えるほど税額(税率)も上がります。また、所得税の計算では所得金額の一部が課税対象から控除されますが、所得控除の控除額も、所得金額に応じて変わります。

所得税の税率と控除額は次の通りです。

所得金額

税率

控除額(所得控除)

1,950,000円以下

5%

0円

1,950,001円〜3,300,000円

10%

97,500円

3,300,001円〜6,950,000円

20%

427,500円

6,950,001円〜9,000,000円

23%

636,000円

9,000,001円〜18,000,000円

33%

1,536,000円

18,000,001円〜40,000,000円

40%

2,796,000円

40,000,001円〜

45%

4,796,000円

なお上記の所得税のほかに、東日本大震災からの復興資金として「復興所得税」も徴収されます。税率は一律で、「源泉徴収される所得税の2.1%相当額」です。

住民税

年収から差し引かれる税金のもうひとつは「住民税」です。住民税は所得税とは違い、累進課税ではありません。具体的には以下の①と②の合計が住民税として徴収されます。

①所得金額の10%

②均等割(5,000円)

ただし上記はあくまで原則で、実際には自治体ごとに独自の税率や税額が設定されています。自分の住民税がいくらになるかは、所属する自治体のホームページ等で確認してください。

厚生年金保険料

年収からは4種類の社会保険料も差し引かれます。そのうちの1つ目が「厚生年金保険料」です。厚生年金とは会社員が加入する公的年金のことで、保険料を本人と会社が半分ずつ負担します。

厚生年金保険料は、賞与(ボーナス)と毎月の給与から計算する「標準賞与額」「標準報酬月額」の合計にそれぞれ9.15%をかけた金額です。ただし賞与の上限は1,500,000円(1か月あたり)、月額給与の上限は59,475円で、それを超える部分は保険料計算の対象になりません。

健康保険料

社会保険料の2つ目は「健康保険料」です。健康保険は医療費の負担を軽減するための保険制度で、やはり本人と会社が半分ずつ保険料を負担します。

健康保険料の金額は加入する健康保険組合によって多少違いますが、おおむね標準賞与額の1.5%、標準報酬月額の10%程度です。健康保険料の計算にも上限が設定されていて、賞与は573万円(年間累計額)、月額給与は139万円(協会けんぽの場合)です。

介護保険料

社会保険の3つ目は「介護保険料」です。これは介護保険制度の財源となるもので、40歳以上64歳以下の人から徴収されます(本人と会社の折半)。

介護保険料の金額も加入する健康保険組合によって変わります。ちなみに協会けんぽの場合、令和5年度の保険料率は1.82%です。

雇用保険料

社会保険料の4つ目は「雇用保険料」です。雇用保険は離職時に失業手当を支給してもらうための保険で、やはり本人と会社が共同で保険料を負担します。

雇用保険の保険料率は事業の種類によって違いますが、1.55%、1.75%、1.85%のいずれかです(本人の負担分はそれぞれ0.6%、0.7%、0.7%)。業種ごとの保険料率については、『令和5年度雇用保険料率のご案内』を確認してみてください。

手取り額の計算方法とは?

ここからは、年収から手取り額を計算する方法を紹介します。

年収の75%~85%で計算する

この記事の冒頭で、手取り額は年収(額面)から15〜25%程度引いたもの、と説明しました。このことから手取り額の計算方法は「年収×75%~85%」となります。

たとえば「年収400万円」の場合、手取り額はおおむね「300万円〜340万円」です。

年収レンジ別の早見表

年収200万円から2,000万円まで、100万円ごとの早見表を作成しました。ぜひ参考にしてください。

年収

75%〜85%

200万円

1,500,000円〜1,700,000円

300万円

2,250,000円〜2,550,000円

400万円

3,000,000円〜3,400,000円

500万円

3,750,000円〜4,250,000円

600万円

4,500,000円〜5,100,000円

700万円

5,250,000円〜5,950,000円

800万円

6,000,000円〜6,800,000円

900万円

6,750,000円〜7,650,000円

1,000万円

7,500,000円〜8,500,000円

1,100万円

8,250,000円〜9,350,000円

1,200万円

9,000,000円〜10,200,000円

1,300万円

9,750,000円〜11,050,000円

1,400万円

10,500,000円〜11,900,000円

1,500万円

11,250,000円〜12,750,000円

1,600万円

12,000,000円〜13,600,000円

1,700万円

12,750,000円〜14,450,000円

1,800万円

13,500,000円〜15,300,000円

1,900万円

14,250,000円〜16,150,000円

2,000万円

15,000,000円〜17,000,000円

節税をしたいときにチェックするものは?

所得税の支払いをできるだけ少なくするには、各種控除を利用して所得金額を抑えることが効果的です。以下の項目から、自分に当てはまるものがないかどうか確認してみましょう。

社会保険料控除

厚生年金や健康保険などの社会保険料を支払った場合、支払い金額のすべてが「社会保険料控除」となり、所得控除を受けられます。

生命保険・地震保険控除

生命保険や地震保険などで支払った保険料も、所得控除の対象です。ちなみに火災保険は控除対象とならないため、注意してください。

個人型確定拠出年金

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、公的年金に上乗せする任意の年金制度です。個人型確定拠出年金で支払った保険料も所得控除の対象です。

医療費控除

医療費控除とは、自分や自分と一緒に暮らす家族のために支払った医療費のうち、一定額を超える金額を所得控除の対象とするものです。具体的には、支払った医療費の合計から「保険金などで補填される金額」と「10万円(年収200万円未満の人は年収の5%)」を引いた金額が控除額となります。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は、自宅の新築や増改築に利用した住宅ローンの残高から計算した金額を、一定の条件を満たす場合に所得から控除するというものです。ちなみに、条件にはさまざまな種類があります。自分が条件を満たしているかは『住宅ローン控除を受ける方へ』で確認してみてください。

ふるさと納税

ふるさと納税をした方は、納税額から2,000円を引いた金額を基準に所得税や住民税からの控除を受けられます。ただし控除できる金額には上限(所得税からの控除は年収の40%、住民税からの控除は年収の30%)があるため、注意してください。

転職時に給与面で失敗しないためのチェックポイント

最後に、転職活動で年収を上げる(落とさない)ためのコツを紹介します。

現職の給与額は額面=総支給額を伝える

転職希望先の会社から「現在の給与はいくらですか?」と聞かれた場合は額面=総支給額、つまり年収を伝えましょう。すでに説明してきた通り手取り額は年収の75%〜85%なので、うっかり手取り額を答えてしまうと転職後の年収が下がってしまう可能性があります。

希望給与額も額面=総支給額で伝える

転職希望先から希望する給与額を聞かれた場合も、同じ理由で額面=総支給額で伝えてください。

求人情報やオファー時の給与から手取り額を計算する

転職後の手取り額を予測する場合は、求人情報に掲載されている月収(年収)やオファー時に提示された年収に75%〜85%をかけてみましょう。おおまかな目安になるはずです。

まとめ

ここまで、年収と下取り額の関係について説明してきました。転職で年収アップを目指すには、自分の能力を最大限に発揮できる職場を見つけることや、仕事内容に合わせてキャリアアップすることが大切です。ぜひBNGパートナーズのサービスを利用して、理想の職場を見つけてください。