最高顧客責任者の意味をもつCCO(Chief Customer Officer)。顧客基盤からの収益最大化に向けた戦略の策定を担うポジションです。この記事では、CCOの役割や他の役職者との定義の違いから、求められる資質までをご紹介します。
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CCOとは?
CCOとは、”Chief Customer Officer”の略で、日本語では「最高顧客責任者」となります。
CCOの役割は、「収益性の高い理想の顧客選定と維持」「マーケティング知見を基にした経営戦略策定」など、顧客満足度の最大化を図る業務全般を統括し、その責任を負うことです。日本ではまだあまり認知度の高くない役職ですが、カスタマーサクセスの重要度の変化から、導入するベンチャー、スタートアップが増加しています。
また、本来CCOは「Chief Customer Officer」と訳されることが多いですが、企業によっては「Chief Contents Officer」と訳す場合もあります。メイン事業がマーケティングやコンテンツ制作である企業は「Chief Contents Officer」と訳すことが多いです。
その他にもCCOは「Chief Compliance Officer」と訳される場合もあり、「社内でコンプライアンスが遵守されているかどうかをチェックする役職」という意味をもちます。上場を目指す企業が監査をクリアするために設置し、コンプライアンス遵守の仕組み作りなどを行います。
このように、複数の意味合いをもつCCOですが、本記事では「Chief Customer Officer(最高顧客責任者)」の仕事内容や求められるスキルなどについて解説します。
CCOと役職者の違い
CCOとよく似た役職にCOO(最高経営責任者)があります。つづりも似ており混同されがちですが、この2つは役割や領域が異なります
CCOが「商品やサービスの品質を改善して顧客満足度の向上を図る」という役割をもつのに対し、COOは「経営による利益最大化を図る」という役割をもっています。商品やサービスの改善は経営に包括されるため、COOはCCOよりも管轄する領域が広いのです。
とはいえ、CCOとCOOに上下関係があるわけではありません。COOが主体となって立案した経営戦略に対し、CCOが専門的な顧客分析や戦術を用いて最大化を促すといった横並びの関係にあります。CCOは、顧客体験の価値を向上させる役割を担います。CCOを配置することで、自社内のカスタマーサポートを重要視する文化を生み出すことはもちろん、カスタマーサポートを重視している会社であることを世の中にアピールすることもできる重要な職であることは間違いありません。
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CCOの仕事内容
CCOの主な仕事は次の通りです。
・顧客に提供する自社サービスの価値最大化 ・顧客獲得のため分析・戦略立案 ・顧客満足度を上げるための社内の体制作り |
以下では、それぞれの仕事内容について解説していきます。
顧客に提供する自社サービスの価値最大化
CCOのもっとも大きな役割は、顧客に提供する自社サービスの価値を最大化することです。サービスの価値を最大化することができれば、自社製品を選択してくれる可能性が高くなることに加え、リピーターの獲得につながります。リピーターが増えて顧客満足度が上がればLTV(ライフタイムバリュー)も向上するため、持続的な利益拡大にもつながるでしょう。
たとえば、CCOは自社サービスの価値を最大化するために下記のようなことを検討します。
・顧客は何に対して価値を感じるのか ・顧客満足度をどのようにして上げていくか ・継続的な購入やリピーター獲得のためにできる施策はあるか ・顧客に愛着心や信頼感をもってもらうために何をするべきか ・購入前から購入後までにどういった顧客体験をデザインするか |
以前は、良い商品やサービスを作ることが価値の大部分を占めていました。しかし現在は、商品だけでなく、購入前・購入後の顧客体験が重要視されるようになっています。
またSNSの普及によりその体験がシェアされるようにもなっているため、顧客目線でのものづくりがより一層、重要な立ち位置になりました。そんな背景もあり、CCOを投与する企業は少しずつ増加しています。
顧客獲得のため分析・戦略立案
顧客獲得のための分析や戦略立案もCCOが中心となって取り組みます。持続的な顧客獲得を実現するためには、部署間の垣根を超えて作り上げる戦略が必要不可欠です。
たとえば、顧客を収益性の違いでセグメント化したうえで、収益性の高い顧客を分析をしたり、各階層の顧客にとって適切なアプローチ方法を模索したりします。
また、ロイヤルカスタマーのデータを分析して、施策を検討・立案するのもCCOの仕事です。ロイヤルカスタマーを増やすことで集客にかかるコストを削減できるため、利益増加が見込めます。とくに、一度売り切りのビジネスモデルを採用している企業は、ロイヤルカスタマーが売上の大部分を占める場合があるため、施策の検討・立案が重視されます。
「自社にとってのロイヤルカスタマーをどう定義づけるか」「一般顧客とロイヤルカスタマーの違い」などを分析により明確化して経営戦略に取り入れる場合もあるため、経営に関する知見や経験も求められます。
顧客満足度を上げるための社内の体制作り
顧客満足度を上げるための社内体制作りもCCOの仕事です。
良い商品・サービスを作り上げるだけでは顧客満足度は向上しません。顧客に対する接客やサポートといったユーザー体験も満足度向上につながるためです。ですから、顧客対応する従業員の教育制度を見直したり、サポートの質を上げたりなど、社内の体制作りが重要になります。必要であれば、カスタマー部門のKPI(重要業績評価指標)設定もCCOが行います。CEOが立案した長期的な数値目標に基づき、CCOが目標とするべきKPIを設定します。
また、精度の高いKPIを設定するためにCCOが自ら顧客とコミュニケーションをとることもあるでしょう。数字の上だけでなくリアルな顧客と接触することで、データからは見えてこない満足度向上のヒントを得られる可能性があるためです。
このように、CCOはあらゆる角度から顧客満足度の向上を図ります。では、これらの役割や仕事をこなすためには、どういった資質やスキルが求められるのでしょうか。
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「自社は採用すべき?」CCOが必要となる企業か判断する基準は?
まだ少ないといわれているCCOですが、カスタマーサクセスの重要性に注目が集まっているため、今後は導入企業も増加傾向になると予測されます。自社でCCOという役職を導入するべきかを判断するための基準をご紹介します。
部署間で顧客に対する認識の違いがある
商品やサービスだけでものが売れる時代は終わり、店舗の内装や世界観から店員の接客態度など、購入前の感情的な価値であるカスタマーエクスペリエンスが求められています。
そのため、部署によって顧客に対する考え方に違いがあると、改革を行いたい場合でも会社全体で動くことができず、失敗に終わる可能性があります。
この場合、CCOを設置することで意識の統率がとれる環境をつくれるようになります。
顧客目線で考える文化を育てたい
商品・サービスの良さや新規ユーザーを獲得することを重要視している企業は、CCOを導入することをおすすめします。
商品やサービスにこだわりを持つことや、新規ユーザーを獲得するのはとても大事です。ただし、新規ユーザーに意識を向けすぎると、リピーターを獲得する機会を失ってしまうリスクがあります。
他社と差別化できるポイントが少ない
顧客が求める商品を開発・販売していると、気になってくるのが競合他社。他社との差別化が難しいと感じているのであれば、購入の重要な指標となるカスタマーエクスペリエンスを高めることで、差別化できる可能性があるため、CCOの導入がおすすめといえます。
収益性の高いロイヤルカスタマーを獲得するためには、顧客に対する深い洞察力はもちろん、営業やマーケティング活動を統括して行えるCCOは、他社との重要な差別化ポイントとなり得ます。
古い営業手法を一新したい
スマートフォンやインターネットの普及などの変化によって、今までは一般的な手法だった「飛び込み営業」や「テレアポ」などの営業活動は、顧客によっては迷惑と捉えられることも増えてきました。
そのため、新たな営業手法として、インサイドセールスやコンテンツマーケティングを導入している企業も増えています。CCOを配置することができれば、カスタマーサクセスの必要性を自社内で広げることができるので、新たな営業手法の導入を検討しているのであれば、CCOは必要な存在と言えるでしょう。
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CCOに求められる資質とは?
CCOに求められる資質は次の通りです。
・資質1:カスタマーに関する包括的なインサイトの洞察 ・資質2:カスタマーセントリックの企業文化を力強く推進する力 ・資質3:カスタマー提供価値の向上に集中できるような社内支援 |
CCOに求められる資質やスキルについて詳しく紹介します。
資質1:カスタマーに関する包括的なインサイトの洞察
CCOには、カスタマーのインサイトを洞察し、適切なアプローチ方法を提案するスキルやセンスが求められます。マーケティングにおけるインサイトとは、顧客すらも気付いていない行動心理です。顧客のインサイトを見つけることができれば、購買行動につなげやすくなるため、大幅な売上向上が見込めます。
ただし、顧客のインサイトはただ数字を見るだけでは発見できないため、カスタマー分析に関する専門性の高い知識と熟練の経験が求められます。
もし顧客のインサイトを的確に見抜く資質があれば、あらゆる業界で重宝されるCCOになることができるでしょう。
資質2:カスタマーセントリックの企業文化を力強く推進する力
CCOには、カスタマーセントリックの企業文化を力強く推進する力が求められます。
カスタマーセントリックとは、顧客中心主義を指し、顧客がもつニーズや思考、感情などを第一に考えることです。
CCOは、このカスタマーセントリックを推進し、企業文化に根付かせる役割もあります。企業文化に変化をもたらすのは簡単なことでないため、全社を導く推進力が求められます。
また、各部門の管理職や従業員などを管理・指導するマネジメントスキルや、コミュニケーションスキルなども求められるでしょう。
資質3:カスタマー提供価値の向上に集中できるような社内支援
CCOには、カスタマー提供価値の向上に集中できるような社内支援・構築などができる資質やスキルも求められます。
たとえば「KPIの設定」「カスタマーに関する情報を閲覧できるツールの導入」などが役割として考えられます。
また、各部門がカスタマー提供価値の向上を業務に落とし込めるように指導・管理することもCCOの仕事です。そのため、CCOには企業を俯瞰して見ることができるスキルや統率力なども求められるでしょう。
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CCOを目指すためのキャリアパスとは?
CCOを目指す場合の具体的なキャリアパスは次の通りです。
・転職を通じたキャリアアップ ・成果を出して出世する ・取引先などからヘッドハンティング |
CCOになるためには、どういったキャリアや経験が必要なのでしょうか。以下にて見ていきます。
転職を通じたキャリアアップ
CCOになる方法としてもっともポピュラーなのは転職を通じたキャリアアップです。
具体的には、まずマーケターや営業職などの経験を豊富に積み、管理職やプロジェクトマネージャーといったポジションでマネジメントスキルを取得します。さらに新規事業の立ち上げなどに複数回携わり、経営に関する知見やスキルを身に付けることでCCOへのキャリアがひらけます。
ただし、CCOやCMOといったハイキャリア向け求人は、一般的なサイトに掲載されていないことがあるため注意が必要です。
CCOのような役職レベルの求人を探す場合は、ハイキャリア向け求人のみを扱う転職サービスを利用しましょう。
BNGパートナーズは、2,000件を超えるハイキャリア向け求人を保有しており、多くの経営層とつながっているため、自身にマッチした求人を見つけやすいです。
キャリアプランの設計に関する相談などにも対応してくれるため、CCOを目指したい人はぜひ活用してみてください。
参考までにCCOへのキャリアパス事例についてご紹介します。
Aさん 30歳 ITベンチャー 営業マネージャー ↓ 不動産ベンチャー企業 CCO 経歴:営業からキャリアをスタートさせ、新規事業立ち上げやインサイドセールス、カスタマーサクセス部門の立ち上げを経験したあと不動産ベンチャーのCCOへ。 |
Bさん 42歳 大手システム企業 カスタマーサクセスマネージャー ↓ SaaS企業 CCO 経歴:大手システム企業にて営業からキャリアをスタートさせ、新規事業、営業推進プロジェクト推進等を経験した後に、SaaS企業のカスタマーサクセスディレクターを経て同社CCOへ。 |
成果を出して出世する
成果を出して出世することでCCOになることも可能です。ただし、自社の役職にCCOが設置されていない場合は転職を検討するしかありません。
CCOへの出世を目指す場合は、カスタマー分析ができるだけでなく、分析結果をもとに経営戦略を立案するスキルも求められます。加えて、戦略を進めるためのマネジメント力や推進力なども必要になるでしょう。
すでに社内のCCOがいる場合は、経歴や昇進のきっかけなどをリサーチしてみるとよいです。「すぐにでもCCOになりたい」という場合は、BNGパートナーズのような転職サービスを利用して求人をチェックしてみましょう。
取引先などからヘッドハンティング
取引先などからヘッドハンティングを受けてCCOになるケースもあります。
ただし、ヘッドハンティングを受けるためには相応の実績が必要になることに加え、運の要素も大きいため容易ではありません。
また、CCOの普及がまだそれほど進んでいないということもあり、ヘッドハンティングによるキャリアアップは難しいと言えるでしょう。
そのため、CCOになりたい場合はヘッドハンティングを待つだけでなく、出世や転職によるキャリアアップを目指して自ら行動することが大切です。
H3:エグゼクティブクラスの転職に強いエージェントを利用する
CCOを目指すなら、エグゼクティブクラスに特化した転職エージェントを利用するとよいでしょう。そのなかでも「ベンチャー・スタートアップ企業」と「CxO(経営幹部)・ハイクラス人材」に特化したエグゼクティブ専門の「BNGパートナーズ」を利用するのがおすすめ。他では出会えないエグゼクティブ求人案件を多数保有しているので、まずはサービス登録して自身の目指すべき方向性を含めて相談してみてください。
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まとめ
本記事では「CCOの役割と仕事内容」「CCOに求められる資質とキャリアパス」などを紹介しました。
日本ではまだCCOの普及が進んでいないことから、ヘッドハンティングや出世によるキャリアアップは難しいです。そのため、CCOを目指す場合は、ハイキャリア向け求人を専門に扱う転職サービスの利用をおすすめします。
たとえば、CxO人材のみを専門に取り扱うBNGパートナーズでは、非公開のものも含めて約2,000件以上の求人を保有しています。
求人件数が多いと自身にマッチする求人に出会える可能性も格段に高まるため、まずは一度相談してみるとよいでしょう。