会社の目標値や予算管理を行うための元となる予算策定。この記事では、予算管理の基礎知識から、実際に策定するときの手順、コツなどをご紹介します。
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予算策定とは?
予算策定とは、企業の年間目標から逆算して売上予算と経費予算を決めることです。
まずは予算策定とよく混同されがちな「予算管理」との違いについて見ていきましょう。
予算管理との違い
予算管理とは、利益を出すために予算を管理することです。会社経営における利益とは、売上から経費を差し引いたものになります。
効率的に利益を出すためには、日々の売り上げと経費を記録して管理しなければなりません。
つまり予算策定とは、予算管理をするために必要な一番最初のステップです。予算策定が行われていなければ、予算管理をすることもできません。
予算策定が必要な理由
企業が円滑に経営を行い成長していくためには、予算策定を明確に行うことが必要不可欠です。
なぜ予算策定を行わなければならないのか、その理由について以下で詳しく解説していきます。
目標が視覚化でき、経営が安定する
予算策定が企業の円滑な経営のために必要な最大の理由は、目標が視覚化でき経営が安定することです。
予算策定をして達成しなければならない目標が視覚化されれば、目標に向かって企業全体で取り組むべきことが定まります。企業全体の目標が明確になればなるほど、それを達成するための意思決定のスピードが向上して効率的に業務を進めることが可能です。
また無駄な予算を使いすぎることも防げるため、経営を安定させることができます。
目標がずれた場合に改善施策を実行できる
予算策定が行われていれば、企業として目標からずれてしまった場合でもすぐに改善施策を実行できるようになります。
特に資本力が弱い中小企業においては、予算策定をせずに行き当たりばったりで経営を進めていると倒産リスクが高まってしまいます。
予算策定で目標をしっかりと決めていれば、それに基づいて企業としてやるべきことを年間を通じて計画することが可能です。事前の計画と実際の結果を比較して、目標からずれてしまっていたらすぐに改善施策を実行すれば、経営不振に陥ることも防ぐことができるでしょう。
予算策定の種類
具体的な予算策定の方法としては「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」の2種類が挙げられます。
以下ではそれぞれの方式の特徴、メリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
トップダウン方式
トップダウン方式とは、企業の経営者もしくは全体管理を行っている管理部門が予算を設定して、その予算を現場に伝え遂行させるという方法です。
トップダウン方式を主に採用しているのは、規模の小さな会社や営業力が売り上げを左右している会社などになります。
予算策定の方法としてトップダウン方式を採用した場合、意思決定から実行まで迅速に判断を行えるのがメリットです。特にビジネスプロセスが単純で計画通りに実行すれば成果が見込めるビジネスモデルや、組織やビジネス全体をトップが俯瞰できる小規模ベンチャーなどに適しているのがトップダウン方式となります。
一方でトップダウン方式のデメリットとしては、従業員の判断スキルが低下してしまうことが挙げられます。企業のトップが独断で重要な判断を下すことになるので、部下は指示された通りしか動かなくなってしまう可能性が高いです。
また経営者の資質によって、経営方針にブレが生じてしまうこともトップダウン方式のデメリットです。現場の現状なども無視されてしまいがちなので、よほど現場の理解が高くなければ、予算策定において経営者は偏った決定をしてしまう可能性があります。
ボトムアップ方式
ボトムアップ方式とは、現場からの予算に関する提案を企業の経営陣にまで集約させて、それをベースに予算策定を行うという方法です。
ボトムアップ方式のメリットとしては、社員が主体的に動いてくれる環境を作れることが挙げられます。自分の意思や提案が企業の経営陣に汲み取ってもらえるので、多くの社員は自ら考えて動くようになるのです。自分が経営に貢献しているという実感を得ることができるので、社員のやる気向上にもつながるでしょう。
またボトムアップ方式では、現場に密着した経営ができるというのもメリットです。現場からの提案を汲み取って予算を策定するので、現場の人々に寄り添った意見が経営に活かされやすく、顧客や得意先に気になる変化が起きたとしても柔軟に対応することができます。
一方でボトムアップ方式は、意思決定の方向性をまとめるのに時間がかかるというデメリットがあります。また現場の意見を集めるので、ありきたりの意見や結論が集まりがちです。
そのためボトムアップ方式を予算策定において採用する際には、現場の正直な意見を迅速に集めることができるように一定の工夫が必要になるでしょう。
実際の企業経営においては、トップダウン方式・ボトムアップ方式のいずれか片方だけを採用しているところは少なく、うまく併用しているところがほとんどのようです。
予算策定の手順
実際に予算策定を行う場合、次のような手順で行っていくのが一般的です。
【予算策定の手順】
1.全体の経営計画から目標利益を設定 2.部門ごとの予算を決める 3.全体の予算を決める 4.全体予算と利益目標を比較する 5.予算・目標を全社共有し、実行する |
それぞれどのようなことを行えば良いのか、以下で詳しく見ていきましょう。
1.全体の経営計画から目標利益を設定
予算策定をうまく行うためには、まず企業全体の経営計画から目標利益を設定する必要があります。
そもそも予算策定とは、会社が掲げている目標である「利益」に対して、どの程度の予算を確保するべきか決定することであり「企業としての目標を設定すること」と同義です。
そのため予算策定を行ううえでは、前提となる経営計画が適切に行われていることも重要となります。
基本的には次年度が始まる前に、来年度の経営計画に基づいて目標利益を設定することになります。なお目標利益を設定するためには、それまでの企業の利益・予算データなどが必要です。
2.部門ごとの予算を決める
会社全体として達成するべき目標利益が定まったら、次に各部門ごとの予算を決定する必要があります。
部門によっては売り上げがないところや経費だけが発生するところもあるので、無駄な経費がないか検討することも必要でしょう。
3.全体の予算を決める
各部門ごとの予算が決まったら、次に各部門を統合して全体の予算を決めなければなりません。
全体の予算を決定する段階で目標とのズレが生じてしまった場合、予算策定が破綻してしまいます。
各部門を統合して全体の予算を決める前に、達成可能な戦略と目標をもとにした具体的な予算も決めておく必要があるでしょう。
4.全体予算と利益目標を比較する
全体予算が決まったら、企業全体の利益目標と比較検討する必要があります。
目標から逆算して予算を決めていた場合でも、トップダウン方式で経営陣が強引に進めていると現場から反感や不信感を抱かれてしまう可能性があるので注意が必要です。
逆に現場の意見を汲み取って予算を決めるボトムアップ方式の場合、会社の利益目標に対して各部門や全体の予算が多すぎたり少なすぎたりする可能性もあります。
全体の利益目標を比較しながら検討するのは企業としてかなり重要なポイントなので、それぞれの会社に適した方法で進めていく必要があるでしょう。
5.予算・目標を全社共有し、実行する
各部門は発表された予算や目標に従って、予算管理を行っていかなければなりません。部門ごとに予算管理のズレが生じてしまった場合、企業全体で調整をしなければならないので、ミスが起きないように厳格に管理していく必要があります。
予算策定を成功に導くためのポイント
予算策定を成功に導くためには、次の3つのポイントが重要となります。
【予算策定を成功に導く3つのポイント】
・事業計画や施策が具体的か ・実現可能な目標か ・各部門の目標に整合性があるか |
それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。
事業計画や施策が具体的か
予算策定を成功に導くためには、前提となる事業計画や達成するための施策が具体的でなければなりません。
抽象的で漠然とした事業計画や施策では、企業全体で何をすれば良いのかわからない状態に陥ってしまいます。
具体的かつ達成可能な予算策定や施作を企業として進めることができるように、まずは前提となる事業計画を組むことが何よりも重要です。
実現可能な目標か
予算策定においては実現可能な目標かどうかというのも重要なポイントです。
目標をあまりにも高く設定しすぎてしまうと、達成すれば企業として大きな利益を生むことができますが、無理な計画に対して従業員のモチベーション低下を招いてしまう可能性があります。
一方で目標を低く設定しすぎてしまった場合、仮に全ての目標を達成したとしても利益が出ません。
そのため予算策定は、実現可能な目標であり企業として利益を出せるものであるかどうかを意識して行う必要があります。
各部門の目標に整合性があるか
会社全体の利益目標に対して、各部門の目標に整合性があるかどうかというのも予算策定を成功に導くうえでは重要なポイントです。
仮に予算策定を行い各部門の目標を設定したとしても、それが会社全体の目標達成のために連動していなければ意味がありません。
各部門が連動しており整合性のある目標を設定すれば、企業として効率的に利益を生み出すことができるでしょう。
まとめ
今回は「企業として予算策定が重要な理由」や「予算策定を成功に導くためのポイント」について解説してきました。
予算策定したら終わりではなく、利益目標に対して各部門が適切に動けているのか定期的に確認し、ずれが生じていればそのたびに見直すことが重要となります。
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