大手からベンチャー企業に転職。注意点やメリットについて解説

「大手からベンチャーに転職を考えているが、どのような注意点があるのだろうか」

「大手からベンチャーに行くメリットを具体的に知りたい。どのような点が大企業よりも優れているのだろうか」

と気になりませんか。

大手企業には給与や賞与が安定して支給される安定性があり、ベンチャーは裁量権の大きな仕事に挑戦できるというメリットがあります。

本記事では、大手からベンチャー企業に転職するにあたって知っておくべきそれぞれの特徴や、メリット、注意点、評価ポイントなどについて解説します。

大手からベンチャーへの転職で悩んでいる方はぜひ、最後まで読んでいって下さい。

大手企業からベンチャー企業に転職するにあたっては動機が大切

大手からベンチャー企業に転職するにあたっては、動機が大切です。なぜなら、動機が明確でなければ、転職後に後悔する可能性があるからです。主に、以下の2つをよく考えましょう。

  • なぜ大手からベンチャー企業に行きたいのか
  • 大手で得た経験をどのようにベンチャーで活かすのか

それぞれについて解説します。

なぜ大手からベンチャー企業に行きたいのか

なぜ大手企業を辞めてベンチャー企業に転職したいのかの理由を整理しましょう。ベンチャー企業は、大手企業よりも経済的に不安定な状況であることが多い傾向にあるためです。転職希望者がなぜベンチャーに興味を持ち、そこで働きたいのかを理解することは、ベンチャー企業の採用担当者や経営陣にとって重要となります。動機が明確であれば、ベンチャー特有の不安定さに前向きに対応できると判断される可能性があります。また、採用担当者サイドの心理だけではなく、自分自身もベンチャー企業で何をしたいのかを整理しておかなければ、入社後に環境の変化によってモチベーションを失う可能性があるのです。

大手で得た経験をどのようにベンチャーで活かすのか

大手からベンチャーに転職する場合、大手で得た経験をどのように活かすのかをよく考えておきましょう。なぜなら、最初から大企業の経験をそのままベンチャーに当てはめることはむずかしいからです。たとえば、大手企業での経験は、複雑な組織運営や効率的なプロセスの確立に関する点にあります。これは、ベンチャー企業が急速な成長や変化に対応する際に貴重な資産となります。ただし、転職していきなりその利点を活かせるとは限りません。往々にして、ベンチャー企業は小規模であり、大企業と違って最初から大手企業のノウハウが通用することは稀です。どのように具体的にスキルを活かすのか、という部分を自分の中で詰めておく必要性があります。そしてそのスキルが通用しなかった場合には、どのように挽回するのかも考えておきましょう。

大手企業とベンチャー企業それぞれの魅力

大手企業とベンチャー企業には、それぞれ異なった魅力があります。ここでは、それぞれの魅力について解説します。

大手企業の魅力

大手企業の魅力は、安定した経済基盤や確立されたビジネスモデル、多様なキャリアパス、充実した福利厚生にあります。これらは雇用の安心感や長期的なキャリアの成長、生活のバランスを提供し、従業員にとって魅力的な就労環境を構築しています。たとえば、大企業であれば毎年安定的に支給される賞与や、定期的な昇給など、生活していく上での安心感が得られる点が大きな魅力と言えるでしょう。

ベンチャー企業の魅力

ベンチャー企業の魅力は、その挑戦する文化と柔軟性にあります。小規模な組織で働くことで、個々の貢献が大きな影響を持ち、新しいアイディアやプロジェクトに挑戦できるのです。急速な成長と変化に対応する環境で働くことで、柔軟性や創造性が重要視され、従業員は自らの持ち味を発揮することができます。また、仕事における自己裁量権も大きく、組織全体が一体となって共に成長する魅力があります。挑戦的な環境での経験は、個人の成長やキャリアの展望を広げ、新しいビジョンに共感することで仕事への情熱を高めるのです。

大手からベンチャーに転職する5つのメリット

大手からベンチャーに転職するメリットは、以下の5つです。

  • 裁量権が大きい
  • 起業家精神を知ることができる
  • さまざまな仕事に挑戦することができる
  • スピード感のある仕事ができる
  • 創造性の高い仕事ができる

それぞれについて解説します。

裁量権が大きい

大手企業からベンチャー企業への転職には、裁量権の大きさというメリットがあります。ベンチャー企業では、人員が揃っていないこともあるため、社員一人ひとりが仕事に関する裁量を大きくもつことができます。自分ひとりの力で成し遂げた仕事が積み重なることで、大きな自信を身につけることができるのです。

起業家精神を知ることができる

大手企業からベンチャー企業への転職には、起業家精神を学べるというメリットがあります。なぜなら、ベンチャー企業はスタートアップ時から成長を目指す中で起業家精神が根付いているからです。大手企業では慣習や既存のビジネスモデルに縛られることがあり、変化への適応が比較的ゆっくりとした場合があります。しかし、ベンチャー企業は市場の変化に敏感であり、新しいアイディアやアプローチに対する柔軟性が求められます。こうした環境で働くことで、起業家精神を身につける機会が増えるのです。

さまざまな仕事に挑戦することができる

大手からベンチャー企業へ転職するメリットは、さまざまな仕事に挑戦できる点にあります。なぜなら、ベンチャー企業は、成長段階にあることも多く、従業員には柔軟性と多様性が求められるからです。まず、ベンチャー企業は規模が小さく、組織がフラットな傾向があります。これにより、従業員は単一の役割や業務に留まらず、異なる部門やプロジェクトに参加することが期待されます。新しいアイディアやスキルを積極的に発揮し、自分の興味や強みに応じてさまざまな仕事に挑戦できる環境が整っているのです。

スピード感のある仕事ができる

大手からベンチャー企業に転職するメリットは、スピード感のある仕事ができる点にあります。ベンチャー企業は大手企業に比べて組織が小さく、意思決定のプロセスが迅速です。これにより、新しいアイディアやプロジェクトが素早く実行に移され、市場の変化に素早く対応できます。また、さまざまな人と一緒に仕事をすることにより、価値観の広がりを感じることもあります。変化に迅速に対応し、新しい状況に適応するスキルが重要とされる中で、ベンチャー企業での経験はこれらのスキルを向上させる一助となるのです。大企業からベンチャー企業に転職するメリットに関して、インタビュー記事を掲載しております。こちらもぜひ、ご参照ください。

創造性の高い仕事ができる

大手企業からベンチャー企業への転職の魅力は、創造性に溢れる仕事ができることです。なぜなら、ベンチャー企業は成長や市場の獲得を目指す中で、新しいアイディアや発想が重要視されているからです。たとえば、大手企業が手を出していないようなニッチな市場で独自の商品を販売する方法などがあります。従業員は既存の枠にとらわれず、自らの創造性を活かして新たなソリューションやビジネスモデルを提案することができます。

大手からベンチャーに転職する場合の注意点

大手からベンチャーに転職する場合の注意点は、以下の通りです。

  • 企業文化の違いに慣れることができるかどうか
  • 仕事量が増える可能性が高い
  • 倒産などのリスクがある

それぞれについて解説します。

企業文化の違いに慣れることができるかどうか

大手企業からベンチャー企業への転職時に留意すべき点は、企業文化の違いに適応できるかどうかです。なぜなら、大手企業とベンチャー企業は、異なる価値観や働き方を持っており、その違いに順応することが重要だからです。たとえば、大手企業では大規模な部署や複数のチームが存在し、連携が必要ですが、ベンチャー企業ではチームが小規模であり、各メンバーが幅広い業務に携わることが一般的となります。これにより、個々の責任も大きくなります。

仕事量が増える可能性が高い

大手企業からベンチャー企業への転職に際して、注意すべき点として、仕事量が増加する可能性があることが挙げられます。なぜなら、ベンチャー企業は成長段階にあり、限られた社内資源で急速な発展を目指しているためです。従業員には柔軟性や効率性が求められ、仕事の範囲が広がることが一般的です。たとえば、ベンチャー企業では急成長を目指しているため、業務の変化や新しいプロジェクトが頻繁に発生します。大手企業のように一定のルーチンワークや仕事のルールが定まっていないため、仕事量は増える傾向にあります。

倒産などのリスクがある

ベンチャー企業は大手企業と比較すると倒産リスクが大きくなります。なぜなら、ベンチャー企業は新しい市場や技術に挑戦することが一般的であり、これには市場の変動や予測不可能な要素が伴うからです。需要の変動や競合他社の動向などが影響しやすく、これが経営に不安定さをもたらします。ただし、昨今はベンチャー企業の中でも従業員数が多い企業が存在していることもあります。ベンチャーの仕事をこの不安定さだけを見て諦めるのではなく、情報収集をすることが大切です。

ベンチャー企業が大手企業出身者を高く評価するポイント

ベンチャー企業が大手企業出身者を高く評価するポイントは、以下の通りです。

  • 専門知識と専門職の経験
  • 大手企業で培った人間関係の構築能力
  • 大手企業に選ばれるにふさわしい能力がある点

それぞれについて解説します。

専門知識と専門職の経験

ベンチャー企業が大手出身者を評価する理由は、専門知識と専門職としての経験です。大手企業では、特定の部署での経験を積み重ね、社内での職歴を築くことがあるからです。そのため、ベンチャー企業では、特定の部署での深い経験を評価し、採用することがあります。ただし、一方で、総合職型のキャリアを重ねる大企業も存在します。たとえば、新卒で営業を3年間経験し、その後に5年間総務や人事、経理などの職種に配属されるケースです。このようなケースでは、専門職としての経験よりも、人間関係の構築力が評価されることがあります。

大手企業で培った人間関係の構築能力

ベンチャー企業が大手出身者を評価する理由として、大手企業で培った人間関係の構築能力に期待している点があります。なぜなら、大手企業には多数の従業員が働いており、協調しなければ仕事が円滑に進まないからです。たとえば、大手企業では多様な部門やプロジェクトで協力し合う必要があります。この経験により、大手出身者は協調性とチームワークのスキルを磨き、異なるバックグラウンドをもつ仲間たちとの協力が得意です。ベンチャー企業では小規模かつ迅速な動きが求められますが協力体制が不可欠です。

大手企業に選ばれるにふさわしい能力がある点

ベンチャー企業が大手企業出身者を評価する理由は、そのポテンシャルの高さにあります。大企業に選ばれるだけの能力をもっているためです。厚生労働省によると、中小企業の求人倍率が3.26倍であるのに対して、従業員数1,000人以上の大企業の求人倍率はなんと0.70倍と1倍を下回っています。

参考:厚生労働省 2)大企業で低く中小企業で高い求人倍率

これだけの難関を突破しているのだから優秀だろう、という点が評価されるポイントになっているということです。ただし、一部のベンチャー企業では、こういった評価を「ハロー効果だろう」と否定している場合もあります。「ハロー効果」は、心理学の用語で、第一印象が全体の評価に与える影響を指します。この効果は、好意的な特徴が一部にあると、人はその他の特徴も好意的に評価しやすいという現象を指しているのです。つまり、大企業出身者だからといってその人の能力値が高く見えるという現象はあるものの、別の評価軸で評価するベンチャー企業も存在するということです。

大手企業出身者に対してベンチャー企業がもつ懸念点

大手企業出身者に対して、ベンチャー企業がもつ懸念点は、以下の通りです。

  • 柔軟性があるかどうか
  • 組織に馴染めるかどうか
  • プライドが高く扱いにくい人材ではないかどうか

それぞれについて解説します。

柔軟性があるかどうか

大手企業出身者に対してベンチャーがもつ懸念点として、柔軟性があるかどうかが心配されることがあります。なぜなら、ベンチャー企業は変化が激しく、新しい状況や課題に迅速に対応する必要があるからです。大手企業での経験がある場合、ある程度の安定感や予測可能性があったかもしれません。これに対して、ベンチャー企業では日々の業務が不確実性を伴うことが一般的です。このような変化に迅速に順応できる柔軟性が求められます。

組織に馴染めるかどうか

大手出身者がベンチャー企業という組織に馴染めるかどうかは非常に重要なポイントです。なぜなら、大手企業とベンチャー企業は、異なる組織文化をもっているからです。たとえば、大手企業は往々にして安定性や社内の序列が重視され、標準的な業務プロセスが確立されています。一方で、ベンチャー企業は社内の序列よりも、実力を重視される傾向にあるのです。大手出身者が企業文化の違いを理解し、受け入れることができるかが重要です。

プライドが高く扱いにくい人材ではないかどうか

大手出身者がプライドが高く扱いにくいのではないか、という懸念点をもっているベンチャー企業は少なくありません。なぜなら、プライドが高くて動きが鈍ければ、ベンチャー企業に来ても仕事ができないからです。プライドをもつことは悪いことではありませんが、その一方で過度なプライドは傲慢さを生みます。大企業にいた、というプライドを持ちつつも、周囲と協調できる人材がベンチャー企業では重宝されます。

ベンチャー転職に成功するためのポイント

ベンチャー転職に成功するためのポイントは、以下の通りです。

  • 企業文化を確認する
  • 事業内容を確認する
  • 労働条件を確認する

それぞれについて解説します。

企業文化を確認する

ベンチャー転職を成功させるためには、企業の文化を確認することが非常に重要です。なぜなら、ベンチャー企業の文化と大企業の文化は大きく異なる傾向があるからです。たとえば、ベンチャー企業は大手企業に比べて組織が小規模であり、上下の階層が少ないことが多い傾向にあります。そのため、意思決定が迅速であり、従業員は幅広い業務に携わることが期待されます。特定の社員が全体を支配するような状況は少ない傾向です。ただし、企業によって異なるので、必ず事前に確認するようにしましょう。

事業内容を確認する

ベンチャー企業への転職を考える際には、必ず事業内容を確認してください。なぜなら、自身の興味や価値観と事業内容が一致しているかが重要だからです。ベンチャー企業は、新しいアイディアや技術に注力しているため、自身の関心や専門知識に合致した事業で働くことは、やりがいを感じる一因となります。逆に、全く興味のない事業内容では安定性も低く、なぜ大企業を辞めたのかと後悔する可能性が高いです。

労働条件を確認する

労働条件は入社前にしっかりと確認することが大切です。なぜなら、ベンチャー企業では、経済的な余裕が大手企業ほどない場合があるからです。そのため、給与やボーナス、福利厚生などが大手企業とは異なることがあります。入社前に明確な情報を得ることで、自身の望む給与を得られるかどうかを確認し、合意の上で入社することが重要となります。

まとめ

今回は、大手企業からベンチャー企業への転職のメリットや注意点について解説しました。

転職のメリットとしては、裁量権の拡大やさまざまな仕事に挑戦できる環境があり、これが個人の成長やスキル向上につながる可能性があります。また、ベンチャー企業のスピード感や創造性が仕事の魅力となります。一方で、注意点としては、倒産リスクや急成長に伴う仕事量の増加があり、ベンチャー企業特有の課題に対処する必要があることです。

また、ベンチャー企業で活躍するためには、企業文化や労働条件の違いに対応する能力が求められます。柔軟性とプライドの適切なバランスが重要視されます。大手企業出身者がベンチャー企業で評価される理由は、専門知識や経験だけでなく、人間関係構築能力や柔軟性が求められるからです。一方で、大手企業出身者がベンチャー企業で懸念される点は、柔軟性やプライドの高さが指摘され、これらに対処できるかどうかが重要となります。

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監修者

人事コンサルタント
髙橋弘樹

約10年の人事労務・採用経験を持ち、製造業や自動車メーカーのグループ企業など4社で活躍。キャリアアドバイスや人事・労務・採用の幅広い実績をもつ。現場での第一線の経験を活かし、充実したキャリアの構築を支援している。