Terra Charge・徳重徹×BNGパートナーズ・岡本勇一&美濃輪翔太|世界で勝てる事業の創出に挑むTerra Charge代表が語る、無限大の成長が見込まれる新たな市場と人材の見極め方【前編】

「すべての人にEVとエネルギーを。」をミッションとして、“日本発、世界一”のEV充電インフラの構築を目指す「Terra Charge(テラチャージ)」。2022年の事業立ち上げとあって、この分野では当時最後発であったものの、すでにEV充電インフラで導入実績No.1を達成。EV社会拡大のブレーキとなっている充電インフラの不足解消に取り組んでいくために、世界で勝てる事業を創り上げていこうとしています。

その代表として自ら先頭に立っているのが徳重氏です。1970年山口県で生まれ、九州大学工学部を卒業。新卒で住友海上火災保険株式会社(当時)に入社し、商品企画や経営企画などの業務に従事。その後、米国に留学しMBAを取得。シリコンバレーにてインキュベーション事業に関わりました。帰国後、「日本発のベンチャー企業が世界で通用することをもう一度証明したい」と宣言して会社を設立した型破りな起業家であるだけに、視座も世界トップレベルの高さ。しかも、熱量も溢れています。「EV充電インフラを革新し、世界を驚愕させるという事業はTerra Chargeでなければできない」と断言しているほどです。その徳重氏と、BNGパートナーズエグゼクティブサーチ事業部長として、あらゆる採用の最前線に精通した岡本勇一、コンサルタントチームのリーダーである美濃輪翔太との対談を通じて、前編ではグローバル市場でいかに闘っていくか、そのエッセンスをクローズアップしていきます。

「日本発、世界一」を自らの手で。そのミッションに突き進む

岡本:御社はこれまでどのような志や野望を持って、歩んでこられたのですか。お聞かせください。

徳重:日本発、世界で勝つメガベンチャーになりたい。その一心です。それにトライし続けています。

僕自身、30代前半の時に米国・シリコンバレーにいたことがあります。もう25年も前です。その後、日本の大企業のプレゼンスがどんどん落ちていきました。一方では、GAFAを中心とするシリコンバレーだけでなく、中国やインド、東南アジアなどの企業が急激に伸びています。本当なら、日本の大企業も世界に向けてインパクトを出し、世界を変えることができれば良いのですが、正直言って僕は今のままでは無理だと思っています。

ならば、ベンチャーがメガにならなければいけないのに、今は上場があたかもゴールであるかのように言われてしまっています。それには納得できません。

岡本:日本の大手企業がイノベーションを実現できない理由は、どこにあるとお考えですか。

徳重:理由は二つあります。経営者の意志の問題とイノベーション実現に向けた進め方の問題です。経営者の意志問題については、経営者が本当に勝とうと思っているのか、本気でイノベーションを起こそうとしているのかということです。イノベーションとは、わかりやすく言えば、無茶や無理なことを成し遂げることです。ほぼ上手くはいきません。なのに、「失敗してはいけない」という発想がある。僕に言わせたら、それ自体がイノベーションを否定しているようなものです。

しかも、コンプライアンスやガバナンスが強すぎるので、「チャレンジをしよう」「大きく変えてやるんだ」という思考に行きにくいわけです。意志がない限り、誰もやろうとしないじゃないですか。その点、僕らには意志があります。

イノベーション実現に向けた進め方については、やり方を理解しているかです。新規事業の作り方とKPIの世界は、まるで違います。やった人でないとわかりません。残念ながら、大企業にはそうした人がいないんです。だから、まさに今絶滅の危機に瀕しているわけです。僕も新規事業を手掛けているし、社内でもそういうメンバーを育てようとしています。

僕なんかは、何回も失敗を繰り返しました。だけど、本当にやろうという気持ちが強いので、諦めずにとにかくやり続けます。ターミネーターだって、倒れても立ち上がってくるじゃないですか。そのプロセスの中でノウハウややり方を会得できるわけです。

闘う市場を選択するためにも哲学と歴史から心得を学ぶ

岡本:といっても、御社には日本企業が世界を跋扈(ばっこ)していた時代を生き抜いてきた人がいるわけではないですよね。

徳重:実はそれが、僕の一番の強みです。偉大な経営者と呼ばれた人々のスピリットを勝手に継承しています。実は大学時代からさまざまな実業家の伝記を読み漁りました。例えば、ホンダの本田宗一郎や藤沢武夫、ソニーの盛田昭夫、もっと遡ると明治に浅野財閥を一代で築いた浅野総一郎など、もう切りがないくらいです。彼らは哲学が違います。しかも、リスクを積極的に取ってガンガン攻めまくっていました。だから、勝てたわけです。

岡本:事業を成長させていく上では、哲学が大切なのは理解できます。しかし、社内に落とし込めていない企業が多かったりします。どう落とし込んでいるのですか。また、自社独自の哲学を維持するためにも事業の選択が大事になってきます。どの市場を選択するのかがすべてを決めてしまう気もします。いかがですか。

徳重:良い質問ですね。これも、ポイントが二つあります。まず第一に、僕は組織が大きくなってきて、リーダーの考え方も理解できたら放っておくようにしています。これが、重要です。その際に大事なのが、哲学とプロトコル、すなわち仕事のやり方です。それらが合わないと方向がぶれてしまいます。

第二のポイントは、現場で闘うことです。闘わせて失敗を経験させます。Terra Chargeの取締役である鈴木剛は今タイに行っているのですが、現地で日本の大企業の人々が次々と没落していく姿を垣間見ています。同じ日本人として、それこそ悔しい気持ちになるわけです。だからこそ、「俺たちがやらなくては」という意識を持てます。

加えて、50年前にソニーがヨーロッパに進出し始めたばかりの頃のプロジェクトストーリーが、僕らの会社ではバイブルとして社員に共有されています。当時は、「日本製品をヨーロッパで売るのは、南極で氷を売るよりも大変だ」と言われていた時代。滅茶苦茶アウェーの中で、闘っていたその姿を今の自分たちに重ね合わせています。大事なのは、そういうことに賛同するリーダー候補を最初に集めることです。そうするとその下に繋がるじゃないですか。

2022年に新規で参入した「EV充電インフラ事業」も、元々は僕が無理やり立ち上げたものです。それ以前に、電動二輪・三輪の事業で上場できるようになっていたにも関わらず、僕は「これをやるぞ」と言い出しました。新事業に着手しようと3年ぐらいは任せていたんです。黙って見ていただけではありません。もちろん、僕は僕でリーダーの働き方を審査していました。

結論としては、当時リーダーとして任せた二人の役員は錆びついていましたね。本人にもそれを言いました。ただ、「錆びついているぞ」と指摘されても、本人にしてみれば訳がわからないじゃないですか。それで、僕が何をしたかと言えば、担当した役員相手に毎日欠かさず夕方の6時から日々の仕事を振り返るトレース会を開きました。その場では、「アポイントが1日1件や2件で満足するな。話にもならない」などとアドバイスしていました。

二人ともテラ・マンとして日頃から鍛えられているので、2カ月ぐらいでキャッチアップしていきました。目指しているのが、スーパーレベルであるからこそ、そこまで徹底して取り組んでいます。スタートアップの中では、相当基準値が高いと思っています。

事業の舵取りを担うリーダーと現場の全員で勝ちに行く

美濃輪:錆びついているリーダーを磨き直すと自ずと下まで水が流れるのでしょうか。

徳重:いやあ、流れないですよ。でも、少なくともカルチャーは伝わります。あとは、僕らはリアルなコミュニケーションも大切にしています。例えば、今でも毎月1回は有志を募って懇親会を開催しています。

もう一つ大事なポイントは、市場選びです。僕の責任でもありますが、手掛けている事業が素晴らしいと社員も仕事をしている実感が高まります。あれこれ言わなくても社員に腹落ちしていけます。

さらに言えば、一人ひとりに自分の役割を認識してもらうことです。うちの会社では、司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」に紐づけて仕事に対するヒントを社員に伝えています。僕はよく「明治時代に新興国であった日本が、大国のロシアに勝つことができた理由は、各組織のリーダーだけでなく、現場の全員が当事者意識を持っていたからだ」という話をしています。ベンチャーも同じです。それぞれの部署が一つでも欠けたら勝てません。特に僕たちがやろうとしているのは、日本発のメガベンチャーとなること。そうした理念の下に、今闘っているので尚更です。

「EV充電インフラ事業」を新規市場として選択した決め手とは

岡本:徳重社長は、昔から「市場選びが大事だ」と指摘されておられました。今回選んでいる、「EV充電インフラ事業」は何を根拠に最終的な意思決定をされたのですか。

徳重:僕の場合、新規事業に関する構想の数が半端ではありません。ダメなのがほとんどですがね。チャレンジしてダメなら切ります。先ほども申し上げましたが、EV二輪・三輪事業でもう数十億円の売り上げに到達しています。普通であれば、これで上場してハッピーなわけです。ただ、僕からするとEVの時代が来たのに、これだけなんて許せないんですよ。それで、今回もリスクを取って「EV充電インフラ事業」に挑むことにしました。

実は今の経営陣は、「日本でも何か事業を立ち上げよう」とは誰も言い出しませんでした。僕が「何かをやれ」と口を酸っぱく言い聞かせていたので、段々と彼らから「これを日本で手掛けてみませんか」というアイデアが出てきました。しかし、僕からするといずれも筋が悪いんです。実現できるかもしれませんが、どう考えてもスケールしないわけです。お金の匂いがしないと言った方が良いかもしれませんね。

なので、2年前の年末に僕が過去の資料を全部取り寄せてあれこれ考えを巡らしました。すると、ひらめくものがあったんです。考えたポイントは「EVからは外れない」「大企業と同じやり方はしない」。もう一つ重要視したのが、「勝てる条件が揃っているか」でした。自動車産業は巨大ビジネスです。EV充電インフラの市場規模もかなり大きいと言えます。今後もずっと増えていきます。しかも、プラットフォーム事業ですし、継続して価値を提供していけます。ただし、すぐには利益が出ないので大企業は本気で取り組むことはできません。ベンチャーが手掛けるには資金もノウハウも必要ですから大変です。でも、うちの会社ならできます。ということで、僕はギリギリのところで当たりを見つけたんです。

岡本:大当たりではないですか。

徳重:ベンチャーで売上が100億円を達成したらユニコーンじゃないですか。「EV充電インフラ事業」を本気でやろうと思ったら、来年には100億円の規模です。それで、300ページもの報告書にまとめて役員にこの事業の説明をしたんです。しかし、彼らからの反応は肯定的なものではありませんでした。なんと全員がシーンですよ。もうショックでしたね。1時間くらい動けませんでした。ならば、僕がイチから自分でやることにしました。それでようやく動き出したんです。

岡本:いずれは、プロジェクトXになるような話ですね。

徳重:新規事業は熱量がすべてだと思っています。そもそもリーダーシップとは、強烈な意志なんですよ。何が何でもやる。これは起業家だけでなく、経営者にも大事なことです。

後編では世界で闘うための組織と人材の戦略について迫ります。

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