クラウドソーシングとは?企業と個人それぞれのメリット・デメリットについて解説

インターネットを通して、不特定多数の個人に仕事を依頼するクラウドソーシング。過去10年ほどで急速に普及してきたクラウドソーシングにはどのようなメリットやデメリットがあるか、また世の中にどのように貢献しているのか。株式会社クラウドワークスの代表取締役社長 兼 CEO 吉田 浩一郎様のコメントを交えて紹介します。

クラウドソーシングとは?

クラウドソーシングは、インターネットを利用して、さまざまな仕事やプロジェクトを不特定多数の人々に委託する手法です。このシステムを活用することで、企業は全世界の人々に簡単に業務を委託できるようになり、個人は自分のスキルや経験を活かして仕事を受注できるようになります。

日本におけるクラウドソーシングは2000年代以降、インターネットの発展とともに急速に普及してきました。

では具体的に、クラウドソーシングがどのような仕事に活用されているのでしょうか。またクラウドソーシングという仕組みは、仕事を発注する企業や受注する個人にどのようなメリットをもたらしているのでしょうか。

クラウドソーシングで依頼できる仕事内容・活用事例

一般に、クラウドソーシングは以下のような分野で活用されています。

専門性の高い作業

専門性の高い作業とは、特定のスキルセットや専門知識が必要な作業です。例としては、ウェブ開発、グラフィックデザイン、専門的な翻訳、プログラミング、法的文書の作成などが挙げられます。仕事を受注するフリーランスの中には高度な専門性を持つ人も少なくないため、それぞれの個性や専門性に合った仕事を依頼することで、質の高い成果物を期待できます。

単純作業

単純作業とは、特別なスキルや知識を必要としない作業、たとえばデータ入力、簡単な画像加工、アンケート調査の回答などです。世界中の不特定多数に仕事を発注できるクラウドソーシングは、大量のタスクを迅速に処理するのに適しています。多くの人に同時に作業を分散させることで、短時間でのプロジェクト完了を目指せるでしょう。

コンサルティング

専門的な知見の活用、つまりコンサルティングもクラウドソーシングが利用される分野のひとつです。コンサルティングの分野はさまざまで、ビジネス戦略、マーケティング、ITコンサルティング、人事管理など多岐に渡ります。

企業がクラウドソーシングを利用するメリット

企業がクラウドソーシングを利用するメリットについて、日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」の代表取締役社長 兼 CEO 吉田 浩一郎様にお伺いしました。

スピードの向上

発注側が期待するメリットのひとつとして挙げられるのが「スピードの向上」です。働き方が自由なフリーランスに依頼することで、企業側の業務時間や営業日に関係なくプロジェクトを進めてもらうことができます。また仕事の量が膨大でも、分散して依頼すれば並行して仕事を進めることが可能です。

コストの削減

仕事にかかる「コストの削減」も大きなメリットです。専門スキルを持つ人材を常時雇用する代わりに、必要なときにのみフリーランスや外部の専門家に依頼することで、人件費や運営コストを削減できます。またクラウドソーシングで仕事を受注する個人は世界中に広がっているため、競争の原理が働いて「良い品を、より安く」発注できる場合もあります。

優秀な人材との出会い

特に最近の傾向として、吉田様が挙げるメリットが「優秀な人材との出会い」です。

吉田:今は人が貴重な時代です。多くの企業がスピードやコストだけでなく「いい人に気軽に会いたい」というニーズを抱えています。コンサルティングなどが良い例です。他にもクラウドワークスで募集される仕事では、CxOのアウトソーシングとか、プロジェクトマネージャーに業務委託で入ってほしいとか、プロダクトサービスを作るときの設計を手伝ってほしいなど、上流工程の仕事が増えてきています。合わせて、クラウドソーシングの報酬も全体的に上がってきている印象です。

もちろん従来のメリットを求める企業は依然として多いものの、企業のニーズをピンポイントで満たせる優秀な人材と出会うことを目的に、クラウドワークスを利用する企業が増えているといいます。

企業がクラウドソーシングを利用するデメリット

クラウドソーシングのデメリットとしては、主に以下のものが挙げられます。

  • 作業品質のばらつき
  • セキュリティリスク
  • コミュニケーションの課題

フリーランスの能力やバックボーンはさまざまです。このため同一内容の仕事を複数の個人に依頼した場合、成果物のクオリティに格差が生じることは少なくありません。このリスクを最小限に抑えるためには、あらかじめサンプルとなる成果物の提出を求めたり、過去の受注記録(特に評価)などを参考にすると良いでしょう。

情報流出などのセキュリティリスクについては、NDA(秘密保持契約)を結ぶなどの対策が有効です。またコミュニケーションの課題については、クラウドソーシングサービスのチャット機能などを十分に活用して見極める必要があります。

個人がクラウドソーシングを利用して仕事を受注するメリット

クラウドソーシングは、仕事を受注する個人にとっても魅力的な仕組みです。たとえば以下のようなメリットが挙げられます。

場所や時間の制約を受けずに働ける

クラウドソーシングでは、発注者と受注者がインターネットを介してやりとりを行います。このため場所や時間の制約を受けません。個人の仕事場はもちろん、自宅やカフェ、旅先などあらゆる場所で連絡を取り合い、仕事をして、成果物を納品できます。

自分のスキルや経験を活かして働ける

前述した通り、クラウドソーシングで発注される仕事はさまざまです。自分の得意分野や、経験がある分野の仕事を見つけることも難しくありません。単純作業から高度なスキルを要求される作業、専門知識を使ったコンサルティングまで、自分の強みを生かして働くことができます。

新たな仕事に挑戦できる

あえて未経験の分野に挑戦することもできます。最初は簡単な仕事から始め、スキルや経験を積むことで自分のキャリアを広げることができるでしょう。

フリーランスとして独立できる

クラウドソーシングを上手に活用すればフリーランスとして独立することも可能です。独立すれば、自分の裁量で仕事や働き方を選択できるようになります。

個人がクラウドソーシングを利用して仕事を受注するデメリット

クラウドソーシングで仕事を受注するデメリットとしては、以下のものが挙げられます。

  • 不安定な収入
  • 自己管理
  • 税金や保険の手続き

クラウドソーシングは募集されている仕事に応募する必要があり、また応募した仕事を必ず引き受けられるとは限らないため、、収入が安定するまでに時間がかかりがちです。また、仕事を引き受けられるようになった後も、時には募集される仕事の選別や、発注者との交渉スキルも重要になります。

さらに、仕事の進捗管理をしてくれる上司などはいないため、自律して仕事を進める能力が求められます。税金や保険をはじめ、各種手続きを自分で行う必要がある点も留意すべきでしょう。

もっともこれらは、フリーランスであれば誰しも当たり前に行っていることです。受注者にとっては、将来のステップアップに向けたスキル習得の一環といえます。

クラウドソーシングを利用する際の流れ

個人(仕事を受注する側)がクラウドソーシングを利用する流れは以下の通りです。

サービスを選ぶ

まずは適切なクラウドソーシングサービスを選びます。仕事の選択肢を広げるため、できるだけ利用者の多いプラットフォームを選ぶと良いでしょう。おすすめは、日本最大級の規模を誇る「クラウドワークス」です。

情報を登録する

何ができるのか、どのようなスキルを持っているのかなど、受注者としての情報を登録します。複数の応募者がいる仕事では、登録情報に基づいて発注先が選ばれることもあるため、スキルや得意な分野はは詳細に記載するのがおすすめです。

仕事を探す

募集中の仕事から、自分にできるもの、引き受けたいものを選びます。あらかじめ仕事のカテゴリや報酬などで情報を絞り込んでおけば、効率的に仕事を探せるでしょう。

仕事に応募する

気になる仕事が見つかったら、コメント等を添えて応募します。発注者によって応募条件を設定していることもあるため、募集情報をよく確認することが大切です。

仕事を受注〜納品する

仕事を受注できたら、発注者とやりとりをしながら仕事を進めます。指定の日時までに成果物を納品したら完了です。

報酬を受け取る

発注者が成果物を確認(検収)後、クラウドソーシングサービスを通して報酬が支払われます。

クラウドソーシングで業務を依頼する方法

企業がクラウドソーシングを利用して、業務を依頼する方法は次の通りです。

サービスを選ぶ

適切なクラウドソーシングサービスを選びます。できるだけ多くの人に情報を伝えるため、利用者の多いサービスを選ぶことがポイントです。

情報を登録する

発注者の基本情報を登録します。

仕事を掲載する

依頼したい仕事内容を記載して、仕事の情報を掲載します。

応募を待つ

掲載した仕事に応募が来るのを待ちます。質問や相談を受けた場合は、都度対応します。

依頼相手の決定

応募者がある程度集まったら、その中から依頼したい相手を絞り込みます。

契約・仮払い

双方とも契約条件に同意したら契約手続きに進み、仮払いを行います。

成果物を検収する

受注者から成果物が納品されたら検収を行います。問題がなければ仮払金から報酬が支払われ、契約終了です。

まとめ

吉田:これまでの200年は、一人ひとりの労働が資本家に集約されて「モノがあふれかえっている」時代でした。しかしインターネットが発展したことで企業が情報を集約する必要性はどんどん薄くなっています。これからの時代は「所有」とか「需要」といったものからみんなが解放されて、個人を中心に働き方が再構築される200年になっていくでしょう。

クラウドソーシングというサービスは、個人が国や企業に頼らず、ある意味企業と対等な関係を築くためのツールです。クラウドワークスも個人にフォーカスしたインフラを引き続き構築していくことで、これからの時代を生きる人々を後押ししていきたいと考えています。

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