会社を繁栄させるには、部下を育て「活躍できる段階」まで到達させる必要があります。部下が育たなければ、いつまでも上司の右腕が存在せず、なかなか次のステージにすすめないでしょう。
部下の育成は、上司の使命です。とはいえ、部下を「どのように育てたら良いかわからない」と悩む人が多いことも事実です。
そこで当記事では「部下の育て方に詳しいプロ」へのインタビューを通じ、正しく部下を育成すべく、最適な方法やポイント・コツを紹介します。
インタビューに答えてくださったのは、株式会社リブ・コンサルティングの現役CEOである関厳様です。
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部下の育成で感じる課題とは?
部下の育成に、課題はつきものだといえます。なぜなら、育成は人間同士の関わりであり、人によって適した指導内容も変化するからです。また上司は、営業や販促といった特定分野のプロであるものの、大多数が人材育成のプロではありません。そのため、育成に課題を感じて当然です。
しかし、育成の課題をこえなければ、次の段階にはすすめないでしょう。
また、上司が「部下の育成で感じる課題」について、以下のような意見が多く見受けられます。
育成に苦手意識がある
関:上司は「事業が好き」「人が好き」のいずれかに大別できます。「人が好き」なタイプは、メンバーの育成を行なうこと自体が苦ではありません。
一方僕は「事業が好き」なタイプなので、部下との時間があれば、その時間を事業やビジネスに充当したいと考えていました。人を育てることにも苦手意識がありましたね。
そこで弱点を克服すべく、部下の育成と称し「事業ゲーム」を開始しました。部下の育成が「事業をすすめるゲーム」と考えれば、育成が楽しくなりやる気が出ると考えたからです。
具体的にいうと、メンバーの名前を縦軸に書き、横軸に「10/1、10/2」のように日付を記入します。そして、メンバーとコミュニケーションをとった日に「〇」を、とれなければ「×」をつける。「×」が3回連続でアウトなので、「×」が2回つづけば、用がなくても自ら声をかけます。実際に、事業感覚だったので、楽しく行動を継続できました。
育成時間を確保しにくい
関:多くの上司は多忙なため、「育成時間をなかなか確保できない」と悩んでいます。
とはいえ、部下の育成をしなければ思うように成長しません。上司にとっても、苦しい状態がつづくでしょう。
そのため、「時間ができたら実践する」ではなく、あらかじめ「育成時間を確保する」方法をオススメします。前もって育成時間を確保しなければ、気づいたら、「部下への育成時間を設けず1年が過ぎていた」なんてこともザラです。とくに、僕のような育成に苦手意識をもつ人の場合は「前もって育成時間を確保する」と良いでしょう。
僕は、前述の「(自称)事業ゲーム」と同時に、月2回ペースを目標とし、関係社員と会食の機会を設けています。
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部下の育成でつまずきやすいポイントと解決方法
部下の育成をすすめていくうえで、ときには失敗し、うまくいかないこともあるでしょう。
ここでは、部下の育成で多くの人が「つまずきやすいポイント」と、その解決方法を紹介します。多くの上司がつまずきやすい点は、以下の通りです。
部下に主体性がない
関:創業期であれば、とくに指示をしなくても、仲間内の雰囲気で「今、自分は何をすべきか」を自然と理解できます。詳細を伝えなくとも、メンバーの業務も片付くでしょう。一方で従業員が30人近くになると、経営者がすべてを監督するのは困難です。
部下の主体性が重要になりますが、コミュニケーション不足から主体的に動いてくれません。たとえば、相手が日頃からコミュニケーションをとり、気遣う人であれば、その人が困っているときに手伝いますよね。一方、コミュニケーションの希薄な相手が困っても、知らぬふりをするかもしれません。
部下に主体性を求める場合には、日々の積極的なコミュニケーションが必要です。
部下を伸ばす方法がわからない
関:部下といっても、個性は多様です。個性が違う部下を相手にし、どのように能力を伸ばすかがわからない人も多いでしょう。
まず、部下の「得意・不得意」「好き・嫌い」を把握していますか?
まだであれば、各自の具体的な内容を調査してみましょう。能力を伸ばしたければ、従業員の「得意・好き」を意識し、仕事を任せることが大切です。人間は、自分の「得意・好き」な分野であれば、指示をしなくても積極的に取り組むので、結果として能力も伸びます。
部下の「不得意・嫌い」を伸ばす際にも、相手の「得意・好き」を意識して取り組みましょう。たとえば、上司が僕に対し、苦手な育成分野を伸ばしたいとします。その場合に、僕の好きな「事業分野」に絡め「主力事業の成長が鈍っているから、育成分野でなにか改善できない?」と質問すれば、積極的に育成をすると思います。
コミュニケーション方法がわからない
関:上司はコミュニケーションのプロではないため、部下とのコミュニケーション方法がわからない人も多いでしょう。
結論をいうと、コミュニケーション能力の向上には、練習を重ねることが重要です。場数を重ねれば、おのずと上手になっていきます。コミュニケーションが苦手であれば、ほかの上司以上に積極的なコミュニケーションを意識し、回数をこなすしかないでしょう。
「業務で悩むことはないか?」や「最近どう?」など、なにげない言葉からはじめても良いです。しかし根底にあるのは、「現状把握・課題発見・ゴールのすり合わせ」です。3つを意識したうえで、コミュニケーションをとります。
また、コミュニケーションの時間を定期的に設け、ルール化することもオススメです。定期的に「現状把握・課題発見・ゴールのすり合わせ」ができるので、組織力の底上げも期待できます。
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良い上司と悪い上司の違い
世間では、良い上司・悪い上司という言葉が使われます。良い上司と悪い上司の違いは、どこにあるのでしょうか?
良い上司・悪い上司の特徴を教えてください。
良い上司とは?
関:昨今でいう「良い上司」とは、組織と人を管理できる上司です。
ひと昔前は、「事業ができ、数字を出せる者が良い上司」という風潮でした。しかし今は、さまざまな業界が人手不足で悩んでいます。上司には、人を適切にマネジメントし、エンゲージメント・モチベーションの高い人材育成が求められます。
具体的にいうと、業務と従業員のキャリアにおける架け橋づくりです。会社は実績を出すため、従業員に「やってもらわないといけない仕事」があります。一方従業員も、自分が実現したいキャリアや、身につけたい能力があるわけです。「必要な業務」と「従業員の希望」の共通項を発見し、従業員に理由を明確に伝える姿勢が必要になります。「必要な業務」と「従業員の希望」の架け橋として行動できれば、良い上司として評価されるでしょう。
【例】 受電のフォローを頼みたい企業と、電話をうけたくない新人営業。上司が「電話を積極的にとろう」といっても、新人営業は拒否反応を示します。営業のキャリアに、電話対応は無関係と考えるからです。そこで上司が「電話」と「営業キャリア」の共通点を見出し、以下のように伝えました。 「顧客や部下をリードする営業になりたければ、リーダーとしてのスキル磨きが必要だ。質の高いリーダーに共感力は必須。営業のスキル磨きで大変な今こそ、電話フォローをすれば、その共感がリーダーのスキル磨きに役立つ。」 すると、新人営業は、積極的に電話をとるようになりました。 |
悪い上司とは?
関:今回の趣旨の場合の悪い上司とは、組織と人を見られない上司です。しかしそれぞれ自分の業務を抱えつつ、日々模索しながら部下の育成を頑張っています。セミナー・研修への出席や本を参考にするなど、自分なりにさまざまな努力をし、良い上司を目指す人もいるでしょう。
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育成計画について
部下の育成を目指し、育成計画を設定・構築する人もいるでしょう。育成計画では、新人・中堅・ベテラン社員などに応じて、各自が成長するために必要な教育を実施します。
育成計画は、どのように立てたら良いのでしょうか?
関:結論からいうと、個々のマネージャーが、個別に育成計画を立てる必要はありません。しかし、企業全体としての育成計画は必要です。
そこで一番簡単かつオススメな方法は、評価制度の導入です。評価制度は「(企業として)従業員にこのように育ってほしい」という思いを参考にしたうえで、評価項目を作ります。
つまり、評価制度と「従業員の理想像」は連動しています。
たとえばAさんの評価が2であれば、「次回の評価で3にするには、どういった育成計画が必要か?」といった話に自然となるでしょう。その際に、先述で紹介した「必要業務と本人のキャリアの架け橋」を意識し、明確なフィードバックを実施していれば、適切な人材育成ができます。
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まとめ
会社の繁栄を目指すには、部下の育成が不可欠です。育成をすすめるには、適切なコミュニケーションをとり、部下の主体性アップ・能力の底上げを意識すると良いでしょう。
とはいえ、部下の育成には一定時間がかかるのも事実です。会社の持続的発展を目指す場合には、部下の育成と同時に、優秀な人材を採り入れると良いでしょう。
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