企業の発展を目指すうえで、組織力の強化に対する取り組みは欠かせません。一定のレベルまで組織が成長すると、個人プレーでは越えられない壁が存在するからです。高い壁に立ち向かうには、組織が一致団結する必要があるでしょう。
また組織力を強化すれば、目標に向かってチーム一丸でとり組めるため、早くゴールにたどり着けます。
しかし「組織力を強化する方法について、よくわからない」と思う企業担当者様も、多いのではないでしょうか。
そこで当記事では「会社の組織力に詳しいプロ」へのインタビューを通じ、組織力強化に向けた具体的な方法・コツなどを解説します。
インタビューに答えてくださったのは、株式会社リブ・コンサルティングの現役CEOである関厳様です。
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そもそも組織力とは?
組織力とは、チームメンバーの能力を最大限に活かしながら、ゴールに向かうために必要な力です。組織力強化によって、目標の達成度合いが変わりやすくなります。
組織力の定義とは
組織力とは、組織の団結によって発揮できる能力です。チームワークと呼ばれることもあるでしょう。会社で言えば、経営戦略や企業ビジョンなどの目標実現に向かい、社員が一丸となって達成を目指す力を指します。
組織力の強化が必要な理由
組織力強化が必要な理由を一言で表現すると、会社の持続的発展に不可欠だからです。
能力の高い社員同士が集まっても、それぞれがバラバラに動くと、会社としてのゴールはなかなか達成できません。人には得意・不得意があり、個々で行う作業範囲や量にも限界があるからです。一方でひとり一人が同じ方向を見据え、個々が持つパフォーマンスを最大限に発揮できれば、個人では乗り越えられないような大きな壁も乗り越えられます。
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組織力が弱い企業_3つの特徴
組織力が弱い企業は、一体感に欠けており、問題が発生しても乗り越えられない可能性があります。上司と部下との信頼関係も、薄い傾向にあるでしょう。組織力が弱いままでは、企業の持続的発展は難しいといえます。
組織力が弱い企業の特徴は、以下の通りです。
人材育成を軽視している
組織力が弱い企業には、どういった特徴がありますか?組織力が高い企業と弱い企業の差についても教えてください。
関:組織力が弱い企業の典型として、「経営者が組織を見ていない」点が挙げられます。経営者が、組織のマネジメントや育成を軽視していると言い換えられます。
経営者には事業を伸ばす責任があるため、事業を重視するのは当然でしょう。しかし、経営者が事業にばかり時間をかけた結果、組織づくりを軽視し組織が機能しなくなった事例は多く存在します。
組織が疎かでも経営が成功するケースは、他社が太刀打ちできないプロダクトを構築するか、プラットフォームビジネスのようなネットワーク効果があるものくらいでしょう。
最終的に、事業をすすめるのは従業員ひとり一人であるため「事業経営」は「人を見ること」とイコールになります。
社員間の交流が乏しい
関:組織力が弱い企業は、それぞれの個人プレーで成り立つケースが多いでしょう。個人で仕事をするため、職場間の交流自体が乏しいです。つまり、コミュニケーションが不足しています。
コミュニケーションが不足していれば、組織の現状や社内で取り組むべき問題もわかりません。社員がそれぞれの側面から「企業や自身の課題」を捉えていても、コミュニケーションをとらなければ、課題は点在するにとどまります。企業の課題をクリアするには、点で存在する課題を「線」で結ぶ必要があるでしょう。社員間の交流が乏しく、課題を線でつなげられない企業は、次のステップである「組織力強化」の次元までなかなかすすめません。
助け合いの精神に欠ける
関:先述のとおり、組織力が弱い企業は経営者が組織を見ておらず、人材育成の風土がありません。人材育成の風土がないと、他人をフォローする意識が欠如する傾向にあります。ひどいケースでは、自分の成果のために、チームメンバーを蹴落とす人さえ出てくるでしょう。すると、組織力は弱体化する一方です。また助け合いの精神が欠けている会社は、人間関係もよくない傾向にあります。人間関係がよくない状態では、組織力強化をうたっても、なかなか効果が出ないでしょう。
助け合いの精神をもつことで助けた側の成長にもつながり、お互いに成長できる「助け合い」の機会は、組織力強化に直結します。
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組織力を強化する方法
組織力を強化するには、適切な方法を実施する必要があるでしょう。
ここでは、組織力の強化に向けたポイントを解説します。
関様は現在の会社を成長させる過程で、組織力強化に向けてどういった方法を実践しましたか?
関:僕が実践した取り組みは、シンプルです。常に社員たちと「現状・課題・ゴール」をすり合わせていました。
具体的に言うと、半期に1度ペースでの経営合宿やマネージャー合宿の開催です。合宿では【採用】【人材育成】【人事評価】【組織文化】の4つに関し、現状の確認として「今どのステージにいるか?」を話し合います。
次に、「現段階でこのステージなので、〇〇な部分を□□に変更しないといけない」や「△△な部分は現状維持でOK」などと、お互いが情報を共有し課題のすり合わせを実施します。
最後に、「自社の1年後・2年後・3年後」といったゴールの認識をすり合わせる流れです。
特にマネージャークラス以上で「現状・課題・ゴール」を共有すれば、自然に「今こそCxO採用の時期です」といった具体性のある意見が出ます。
組織全体に企業ビジョンを浸透させる
組織力を強化したい企業に対し、アドバイスをするとしたら、どのようにお声がけされますか?
関:組織力を高めるには、全員が「共通のゴールにすすむ」必要があります。会社で言う共通のゴールは企業ビジョンだと言えます。企業ビジョンは、企業がつくりたい未来を示しています。そもそもの企業ビジョンを社員が理解していなければ、ゴールが不明なまま仕事をするので、従業員は目的もなくさまよったまま結局どこに行けばよいかわかりません。それぞれが個人プレーのままですし、組織に一体感も出ないでしょう。
そのため、組織力強化によって変化を求める企業は、社員に対して企業ビジョンの浸透を意識すべきだと言えます。
コミュニケーションがとれる仕組みをつくる
関:組織力が弱い企業は、総じてコミュニケーションが足りていません。コミュニケーションが不足すれば、企業ビジョン・現状における課題の共有など、組織力強化に必要な要素を満たすことができないでしょう。
現状においてコミュニケーションが不足しているのであれば、コミュニケーションがとりやすい環境や制度を、率先して導入する必要があります。
僕の場合は、月2回のペースで社員と食事に行くと決めています。それだけで、組織の状況がおおよそわかると考えています。
外部のお客さんとの会食は頻繁に行くのに、社員とは行かない企業も多いと思いますが、組織の状況確認にもつながるため、社員との会食もおすすめします。
点在する課題を線で結ぶ
関:組織力が弱い会社は、コミュニケーション不足から課題が点在する傾向にあります。それぞれの課題を線でつなぎ関連づけ、俯瞰的に考えることで、根本的な面から解決できます。
線でつなぐには、チームでとり組むことが重要です。「点と点を線でつなごう」とチームで考えているうちに、自然と組織力も高まっていき、同時に意見も活発に交わされるようになります。加えて、現状の課題を可視化したうえで、チーム全体で共有するとよいでしょう。共有することで、どの点とどの点を結べばよいかが見えてきます。
わかりやすい共通言語を使用する
関:組織力強化を意識するには、組織でつかう共通言語に対し、わかりやすさを意識することが大切です。わかりにくく、人によって解釈が異なるような言葉は認識相違を生じさせるので、避けたほうがよいでしょう。
近年の言葉で例えると「パーパス」のような横文字ですね。パーパスは「企業の存在意義」を意味しますが実際に聞いても意味がわからない人は多いと思います。
組織力を高めるには「人の認識を高めることが必須」なので、認識がぶれるような言葉を共通言語で使用するのは危険です。
基本的な環境整備が必須
関:組織力の向上を意識する前に、基本的な環境の整備は重要です。基本的な環境がなければ、従業員のモチベーションやエンゲージメントが下がり、組織力強化云々の話ではなくなってしまいます。
基本的な環境として、たとえば給与や労働時間が挙げられます。給与が同業他社と比較し、相場を下回っていないかをチェックしてください。また、残業や休日出勤が多ければ、業務効率化に向けてできることがないかを探しましょう。
もちろん、給与や労働時間を改善するだけでは組織力強化は期待できません。とは言え、ベースに基本的な環境がなければ、次の段階の話である「組織力強化」の話ができないでしょう。
意味もなく流行に左右されない
関:組織人事には一定の流行があります。たとえば「ダイバーシティがはやっている」などです。明確な意志をもち、「3年後に海外進出するから、外国の人材をとり入れたうえで組織力強化をはかろう」などの考えがあればよいでしょう。しかし「今ダイバーシティがはやっているから、多様な人材を採用して組織を高めよう」などと、何の意味もなく流行に飛びつくのはよくありません。
「流行という点」と「会社のビジョンという点」がつながり、組織活性化の役割が期待できるのであれば、結果的に流行にのってもよいでしょう。
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まとめ
会社が持続的発展を目指すには、組織力の強化が欠かせません。組織力を高めれば、個人では乗り越えられなかった壁も、越えられるようになるでしょう。
会社の組織力を高めたい場合には、企業経営の視点をもちつつ、事業もしっかりと任せられるようなハイクラス人材も必要です。組織が大きくなり、経営者だけでは組織を見られない場合には、ハイクラス人材をCxOとして採用する方法もアリでしょう。
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組織状況を把握したうえで、適切な人材紹介が可能なため、組織力強化に大いに役立ちます。
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