年俸制とは?特徴から月給制との違いやメリット・デメリット、注意点を解説

求人票を見ていると見かける年俸制。日本の企業の多くでは、給与形態として「月給制」を採用していますが、近年はグローバル化の影響により「年俸制」の企業も増加傾向にあります。この記事では、年俸制の概要から、月給制との違いや年俸制になるメリットやデメリット、注意すべきポイントなど、年俸制の特徴をご紹介します。

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年俸制とは?

年俸制は、従業員の年間の成果・業績を評価し、翌年の給与総額を決定する賃金制度のことです。年俸制は成果主義の企業に採用されることが多い賃金制度であり、固定給や年功給はありません。

年俸制度は、主に次の2つの種類に分けられます。

単一型年俸制
複合型年俸制

それぞれの違いについて以下で詳しく見ていきましょう。

単一型年俸制

単一型年俸制とは、過去の業績を中心に1年間の給与を決定する方法です。

主にプロ野球選手などでは単一型年俸制が採用されており、毎年行われる契約更新の場で年間の業績をもとに給与を決定します。

また欧米の企業でも採用されている制度ですが、日本で導入している企業は数少ないです。

複合型年俸制

複合型年俸制とは「基本年俸」と「業績年俸」の2つをもとに1年間の給与を決定する方法です。
基本年報は、一般的な基本給と同じようなものであり、会社のポジションや年功によって決定されます。

一方で業績年俸とは、その人の業績に応じて支給されるものであり、いわゆる「ボーナス」や「賞与」に近いものです。
単一型年俸制度とは異なり、基本年俸で一定水準の収入が保証されることから、複合型年俸制度は日本企業でも取り入れられています。

特にデザイナーやエンジニアなどの専門職や、企業のマネジメントに関わる管理職に適用されることが多いです。

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年俸制と月給制の違い

月給制とは、1ヶ月を単位として支払われる賃金が決められている給与形態です。
年俸制度は1年間という単位であるのに対して、月給制度は月ごとという単位で給与が決められているという点で異なりますがそれ以外に大きな違いはありません。

ただし年俸制度はプロ野球を代表するように、成果を基準として給与が決められているのに対して、月給制は勤続年数や年功序列なども考慮します。

なお厚生労働省による「就労条件総合調査」の「賃金形態別企業割合(複数回答あり)」によると、月給制を採用している企業が約94%であるのに対して、年俸制は約9.5%と圧倒的に少ないことが判明しています。
参考:平成26年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要(3 賃金制度)|厚生労働省

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企業が年俸制を取り入れる目的

成果主義となる年俸制は、前述の通り外資系企業で多く採用されています。終身雇用制度が浸透していない海外では、個人の成果で給与額が変わるため、新入社員が先輩よりも早く出世することもあります。

ここでは、年俸制を取り入れる目的をご紹介いたします。

【企業が年俸制を取り入れる目的】

・コスト管理がしやすい
・個人の成果次第で給与額を決められる
・優秀な外部人材を獲得できる

それぞれについて以下で詳しく見ていきましょう。

コスト管理がしやすい

企業は年俸制を取り入れることによって、年間のコスト管理がしやすいというメリットがあります。

月給制の場合、成果や業績によって支給する給与の金額が毎月変わってしまう可能性があるので、より人件費がかさみ経営計画に影響を与えてしまう可能性があります。

一方で年俸制であれば、あらかじめ従業員の1年間の給与を決めることができるので、人件費が明確になり、コスト管理がしやすく企業としてもブレのない経営計画を立てることが可能となるのです。

個人の成果次第で給与額を決められる

年俸制度を取り入れる目的として、個人の成果次第で給与額を決められることも挙げられます。

年功序列ではなく達成した成果によって給与額を決めれば、従業員のモチベーションも上がりやすくなるでしょう。従業員のモチベーションが高くなれば高くなるほど、業績や生産性という面で向上を期待できます。

優秀な外部人材を獲得できる

成果に応じて給与が上がる年俸制であれば、優秀な外部人材も獲得しやすくなります。
年俸制を採用している代表的な例として挙げられるプロ野球であれば、成果に応じて高い給与を支払っている球団に優秀な人材が数多く集まっています。

一般企業も同じように、自分の働きが正当に評価されて、成果を出せば出すほど給与が上がる会社であれば、それを魅力に感じて優秀な外部の人材も集まってくる可能性が高いです。

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年俸制のメリット

年俸制・月給制には給与面の違いはありますが、保険や税金に違いはありません。 では、企業と年俸制で契約することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、 年俸制の会社で働くメリットをご紹介します。

【年俸制のメリット】

・高い報酬が得られる可能性がある
・業績等に応じた急な減給がない
・成果が給与に反映されやすい

それぞれのメリットについて以下で詳しく見ていきましょう。

高い報酬が得られる可能性がある

年俸制は過去の実績をもとに1年間の給与が決められるので、成果を出せば出すほど高い報酬が得られる可能性があります。

そのため年功序列や勤続年数に関係なく、自分自身の能力や頑張りによって給与を大幅アップさせることが可能です。

また頑張りが直接給与として反映されるので、モチベーションが維持しやすいのも年俸制のメリットと言えるでしょう。

業績等に応じた急な減給がない

年俸制では年間の給与の金額があらかじめ決まっています。そのため業績に応じた急な減給はありません。

業績が悪化したことによる突然の減給が起きにくいので、長期のローンを組む際にも計画が立てやすいです。よって1年間を通じて計画をスムーズに決めやすいのも、年俸制を採用している会社で働くメリットと言えます。

成果が給与に反映されやすい

一般企業で採用されている月給制の場合、どれだけ成果を残したとしても年功序列などを理由として、見合った給与をもらえないという人も多いです。

しかし年俸制を採用している企業の場合、会社が定めている基準をクリアして成果を出すことができれば正当に評価して給与に反映してもらえます。

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年俸制のデメリット

年俸制を採用している企業で働く場合、次のようなデメリットがあります。

【年俸制のデメリット】

・年収に残業代が含まれている可能性がある
・成果が出せなければ翌年に給与が下がることがある

メリットとデメリットを比較して、自分は年俸制度を採用している企業に合っているか検討してみましょう。

年収に残業代が含まれている可能性がある

年俸制を採用している企業の場合、年収に残業代が含まれている可能性があるので注意しましょう。
ただし年俸制であったとしても、法定労働時間を超えて残業を行ったのであれば、その分の残業代を企業は支払わなければなりません。

もっとも固定残業代制度やみなし残業制度を採用している企業の場合、労働契約書で年俸のうちどれくらいの金額が残業代か、それが何時間分の残業代に相当しているのか記載されている可能性があります。

仮にこれに同意しているのであれば、取り決めた残業時間を超えない限り残業代は発生しません。
そのため年俸制度を採用している企業で働くのであれば、労働契約書に記載されている残業代の金額や時間をしっかり確認して、それを超えて働いていないかどうか随時確認する必要があります。

成果がだせなければ、翌年に給与が下がることがある

年俸制の場合、個人の能力や過去の実績に応じて給与が決められます。

そのため一定以上の成果を出すことができなければ、翌年に給与が下がってしまう可能性もあるので注意しましょう。

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年俸制の企業で働く際に注意しておくポイント


年俸制度の企業で働く場合、次の3つのポイントに注意する必要があります。

【年俸制の企業で働く際に注意すべきポイント】

・退職時の給与支払い方法
・ボーナスの支給方法
・税金の支払い方法

それぞれの注意点について以下で詳しく見ていきましょう。

退職時の給与支払い方法

年俸制の企業で働いていたとしても、年度の途中で退職してしまったのであればそれ以降の給与は受け取ることができません。

年俸制なので1年間の給与はやめてももらえると勘違いする人も多いですが、働いていない分の給与はもらえないので、退職をする際は注意する必要があります。

ボーナスの支給方法

年俸制を採用している企業の場合、月給制を採用している企業とはボーナスの支給方法が異なります。
基本的には就業規則や雇用契約書に、ボーナスの支払い方法や支払われるタイミングなどが定められています。

よくあるボーナスの支給方法としては、年俸を12分割ではなく14分割や16分割にして、12回分を給与、それ以外をボーナスとするものです。
また企業によっては、12分割した年俸以外に業績に応じてボーナスを支払う場合もあります。

税金の支払い方法

年俸制の税金は、給与の分割方法によって支払い方法が異なります。
これは年俸制の場合、「毎月12分割した給与が支払われるケース」や「12分割した給与に加えてボーナスが支払われるケース」など、給与の支払い方法が企業によって異なるためです。

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年俸制になることが多い業界・職種事例

月給制が一般的な日本では、年俸制の普及率はまだ低いと言えますが、日本国内でも年俸制を採用している業界や職種が存在します。以下で詳しくご紹介します。

外資系企業

海外は日本のように年功序列や終身雇用制度が少ないため、個人の成果を評価して報酬を支払います。とくに労働時間が変動的な証券やコンサルティングなどの外資系企業は、年俸制を導入しているケースが多いと言えます。

個人で高い成果をあげることができれば、月給制の企業で働くよりも高い報酬を得ることができます。ただし成果がないと当然報酬も下がってしまうので、外資系企業の社員は、成果を出すために働く傾向にあります。そのため、社員からの売上や利益の貢献度が高くなるという企業側のメリットもあります。

ITエンジニア・プログラマー

専門的で高いスキルが求められるITエンジニアやプログラマーには、年俸制が導入されることが多い傾向にあります。年俸制を導入して年ごとに報酬を見直すことが、より良いクリエイティブを生み出す向上心にもつながるためです。

また、エンジニアやプログラマーは、裁量労働制が採用されるケースが多く、年俸制と併用することで作業効率の向上も期待できます。

スポーツ選手

スポーツは毎年同じ状態で活躍できるとは限らないため、完全成果主義とされることがほとんどです。
年間で大活躍することもありますが、反対にケガや故障によって満足に活躍できないリスクもあるため、スポーツ選手とは1年単位の年俸制で契約する傾向にあります。

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年俸制が向いている人の特徴とは?

それでは、年俸制はどのような人が向いているのでしょうか?

向いている人の特徴には、以下の2つが挙げられます。

成果主義の世界で自分の価値を高めたい

年俸制の企業は成果主義を採用しているケースが多いため、成果をあげれば評価され、適切に報酬に反映されます。そのため、「年功序列の人事制度に納得がいかない」「出世をしたい」など、向上心の高い人に向いています。

 個人の力で会社に貢献したい

チームメンバーと一緒に目標を達成することで会社や売上に貢献するのではなく、自分自身で組織を率いて売上を作り出したいという個人の成果を重視する人に向いていると言えます。
プレイヤーとして会社に貢献し存在感を示したい人には年俸制が合っているでしょう。

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まとめ

今回は「年俸制の特徴」や「年俸制のメリット・デメリット」について解説してきました。

年俸制を採用している企業は実力主義であることが多く、成果を出せばそれ相応の評価をしてもらえます。

なかなか給与の額が上がらないので転職を考えている」「年功序列ではなく自分の能力や成果を評価してもらいたい」とお考えの方は、年俸制を採用している実力主義の企業で働くことを検討してみてはいかがでしょうか?
特にベンチャーやスタートアップは、実力主義かつ年俸制度を採用している企業も多いです。

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