最高マーケティング責任者を意味するCMO（Chief Marketing Officer）。インターネットの普及により今まで以上に企業活動に不可欠となったマーケティング領域を統括する役割を担います。この記事では、CMOの役割や他の役職者との定義の違いから、求められる資質までをご紹介します。
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CMOとは？
CMOとは”Chief Marketing Officer”の略で、日本語では「最高マーケティング責任者」となります。まずはその定義について見ていきましょう。
CMOの基本的な定義
CMOの主な役割は、マーケティングに関する業務を統括すること。市場や顧客の調査はもちろん、分析結果に基づいたマーケティング戦略の立案・実行を中心となって行います。
近年ではインターネットの急速な拡大に伴い、顧客が商品を認知して購入するまでのプロセスが多様化しています。そのため、CMOには幅広い知識と、購買プロセスを構築するスキルや知見が求められます。
また購買行動の変化に伴い、顧客の価値観や生活様式なども大きく変化しているため、企業全体で市場を意識し、マーケティング戦略を作り上げていくスキルも求められるでしょう。
CMOと役職者の違い
CMOとよく似た役職にCSO（最高戦略責任者）があります。CSOの役割は、経営陣とともに企業の戦略立案を行うことです。経営戦略の立案に伴い、部署に関わらず横断的に動くことからCMOと混同されがちですが、CMOとCSOは役割の面で異なります。
CMOの役割は、経営陣やCSOが立案した事業や事業戦略を受けてマーケティング調査を行ったり、マーケティング戦略を立案したりします。
その他にも、事業部長と混同されることがありますが、CSOと同様に役割の面で異なります。日本では事業部長がCMOと名乗るケースもありますが、詳細な意味としては異なる点に留意しておくとよいでしょう。
CMOが重要な理由
デジタル化やグローバル化の進展、そして競争の激化により、マーケティングの重要性はますます高まっています。マーケティングの力で企業の成長戦略実現を目指すCMOの役割は、今後さらに重要なものとなっていくでしょう。
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CMOの仕事内容
CMOの主な仕事は以下の通りです。
・マーケティング戦略の立案と推進
・PR戦略やブランディング戦略の立案
・社外協力先とのコミュニケーション戦略
・デジタルマーケティングの統括
・予算やROIの管理
以下では、それぞれの仕事内容について解説します。
マーケティング戦略の立案と推進
CMOのメイン業務となるのがマーケティング戦略の立案と推進です。CMOは、経営陣の一角であるため、経営戦略の立案から携わることもあります。
経営陣によって策定された経営戦略をマーケティングに落とし込み、人、予算、ブランドといったリソースを用いて経営戦略を成功へと導くのがCMOの仕事です。
また、マーケティング活動は、各部門のマネージャーや従業員が同じ方向を向いて仕事をする必要があるため、ときには現場の指揮をとることもあります。
現場の指揮をとる際は、経営戦略を嚙み砕いて経営戦略を伝える場面もあるでしょう。そのため、CMOは経営戦略の本質を捉え、誰よりも詳しく理解しておくことが重要になります。
PR戦略やブランディング戦略の立案
PR戦略やブランディング戦略の立案もCMOの仕事です。PR戦略では、自社の予算や各種リソースに合った媒体やツールを選定・運用を行います。
一方のブランディング戦略では、各部署を横断しながら戦略を立案します。たとえば、顧客の口コミから吸い上げたニーズから商品を開発し、ブランドイメージに合った広報戦略を策定します。ブランドイメージの構築は、全社一体となって取り組む必要があるため、CMOが中心となって取り組む必要があるでしょう。
社外協力先とのコミュニケーション戦略
CMOは、マーケティング部の顔として、社外協業先、パートナー会社、株主などといったステークホルダー（利害関係者）とコミュニケーションをとることも仕事の一つです。
また、自社のリソースにマッチした協業先やパートナー会社を選定することもCMOの役割となります。協業先を選定する際は、各担当者とコミュニケーションを図り、ときには交渉しながら自社に有利な契約をしてもらうことも求められます。交渉を成功させるためには、専門性の高い知識を要するケースが多いため、日々マーケティングに関する情報をアップデートしておく必要があります。
デジタルマーケティングの統括
CMOは、デジタルマーケティングを統括し、戦略立案、ブランド管理、データ分析、クロスチャネルマーケティング、最新技術の採用、チームとの連携を行います。
こうした施策を通して市場のトレンドを把握し、効果的なアプローチで顧客にアプローチして企業成長に貢献するのがCMOの役割です。
予算やROIの管理
CMOはマーケティング活動全体の予算を策定し、各施策の予算を配分します。また、予算の執行状況をモニタリングすることで、必要に応じて予算の見直しを行います。
ROI管理も、CMOの重要な役割のひとつです。マーケティング活動の成果を定量的に評価して投資対効果を算出し、ROIを把握します。これによりマーケティング活動の成果を客観的に評価し、改善策を検討することができるのです。
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CMOに求められる資質とは？
CMOに求められる資質は次の通りです。
・資質1：データドリブンによる意思決定力
・資質2：最新のテクノロジーへの理解
・資質3：顧客目線での企画立案能力
・資質4：リーダーシップとチームマネジメント
・資質5：クリエイティブな思考力
CMOに求められる資質に加え、必要となるスキル、経験などについても解説していきます。
資質1：データドリブンによる意思決定力
データドリブン（Data Driven）とは、Web解析データや各種マーケティングデータを分析し、適切なアクションをとることです。近年では顧客の購買行動が多様化し、煩雑になっているためデータ分析に基づいたアクションの重要性が高まっています。
データドリブンを行うためにはまず、POSシステムや顧客管理システムなどでデータ収集する必要があります。
また、すでにデータ収集している場合は、データウェアハウスを導入するなどして情報の優先度を明確にしておくことなどが求められます。
資質2：最新のテクノロジーへの理解
CMOは最新テクノロジーへの理解をもっておくことも求められます。マーケティングの世界では常に、新しいツールや戦術が生まれているためです。とくにインターネットの発展が目覚ましい近年では、新しい手法が生まれては消えていくというサイクルが高速で巡っています。
そのため、CMOには常に新しい情報を取り入れるシステム作りや情報感度の高さなども必要となります。
情報量が多いIT業界では情報を取捨選択し、必要な情報だけをインストールすることも大切です。自社の事業や経営戦略を鑑み、取得すべき情報を明確にしておきましょう。
資質3：顧客目線での企画立案能力
CMOには、顧客目線での企画立案能力が求められます。顧客の共感を生むことは購買行動へつなげるために必須となるためです。
インターネットの普及とSNS利用拡大により、消費者行動が多様化している近年においては重要視されています。
たとえば、具体的な行動モデルを表す例として用いられるSIPSモデルでも、共感が購買行動の第一歩となっています。
【SIPSモデル】
・Sympathize（共感）
・Identify（確認）
・Participate（参加）
・Share&Spread（共有・拡散）
このように、マーケティング活動では顧客との共感を生むことが重要とされているため、CMOには顧客目線での企画立案能力が求められるのです。
資質4：リーダーシップとチームマネジメント力
CMOには、リーダーシップとチームマネジメント力も求められます。これには明確なビジョンの設定・伝達、チームのモチベーションとエンゲージメントの促進、迅速な意思決定と問題解決能力、優秀なチームの構築と育成、異なる部門間のコラボレーションと効果的なコミュニケーション、そして変化への柔軟な対応が含まれます。
こうした資質は、チームを統合し、組織のマーケティング戦略を成功に導くために不可欠なものです。
資質5：クリエイティブな思考力
CMOには「クリエイティブな思考力」が不可欠です。これにより、革新的なマーケティング戦略の策定、ユニークなキャンペーンの創出、競合との差別化、顧客エンゲージメントの向上が可能になります。
クリエイティブな思考は、市場の変化に対応し、ブランドの魅力を高める新しいアイデアを生み出す上で重要な役割を果たすものと言えるでしょう。
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CMOを目指すためのキャリアパスとは？
CMOを目指す場合の具体的なキャリアパスは次の通りです。
・成果を出して出世する
・スキルアップや資格取得を通じての昇進
・転職を通じたキャリアアップ
・取引先などからのヘッドハンティング
どういったキャリアを積むことでCMOになることができるのでしょうか。以下にて詳しく解説します。
成果を出して出世する
成果を出し出世することでCMOになることができます。
たとえば、広告代理店のような受託企業でマーケターとしての経験を積み、アカウントプランナーやクリエイティブディレクターになったのち、事業会社へ転職してマネージャーになり成果を上げることで、CMOへのキャリアを開ける可能性があるでしょう。
「具体的にどんなキャリアを積めばいいのか分からない」「今のキャリアでCMOになれるのかを知りたい」という人は、CxO人材を専門的に取り扱う転職エージェントに相談してみましょう。
相談のタイミングによっては今のキャリアでCMOになることも可能です。その際は非公開求人（一般に公開されていない求人）を保有する転職エージェントに相談してみましょう。
スキルアップや資格取得を通じての昇進
CMOになるための別の方法は、スキルアップや資格取得を通じて昇進することです。これには、マーケティング関連の専門知識やデジタルマーケティング、データ分析、戦略立案などのスキルを磨くことが含まれます。業界認定資格やMBAなどの高度な学位の取得も有効で、専門性とリーダーシップ能力を高めることで、CMOへの道が開かれます。
転職を通じたキャリアアップ
CMOになる方法としてもっともポピュラーなのが転職を通じたキャリアアップです。
たとえば、マーケティングと密接な関係にある営業職からの転職でCMOになるケースがあります。大手企業や中堅企業などで出世し、営業部門の管理職になったのちにCMOとして他企業に転職するケースもあるでしょう。
とくにBtoB向け企業の場合、営業部門とマーケティング部門で連携をとりながらセールス活動を進めることがあるため、CMOに必要な要素や経験をもち合わせている人材が多いです。そのため、現在営業職として従事している人は、ジョブローテーションなどで他部門を横断しつつ出世を目指していくとよいでしょう。
また、転職によるキャリアアップでCMOになる場合は、一般的な転職サイトでなく、CxO人材や役職者の求人のみを専門に扱う転職サイトを利用する必要があります。
たとえば、BNGパートナーズでは、CxO人材などのハイキャリア向け求人のみを扱っており、求人数も2,000件以上と非常に多いです。CMOへの転職を相談したい人は、積極的に活用してみるのをおすすめします。
参考までにCMOへのキャリアパス事例についてご紹介します。
Aさん 40歳
SNSベンチャー企業
↓
海外発スタートアップ CMO
経歴：広告代理店からキャリアをスタートさせ、海外を含めたクライアント企業のメディアプランニングの経験を経た後、海外発スタートアップのCMOへ。
Bさん 39歳
メガベンチャー企業 経営企画室
↓
事業会社 CMO
経歴：事業会社でのマーケティング経験、メガベンチャーのマーケティング本部の再編や仕組みづくりの経験を経て事業会社のCMOへ。
取引先などからのヘッドハンティング
取引先などからのヘッドハンティングによってCMOになるケースもあります。
ただし、ヘッドハンティングを受けるためには、経営やマーケティングの知識やスキルなどに加え、CMOにふさわしい実績を積んでおかなければなりません。
CMOになるためにはBtoB企業での経験が必須だと思われがちですが、BtoC企業でキャリアを積んでCMOになる人も多いです。
たとえば、BtoC企業で商品やサービスのブランドマネジメントを経験したことがある人はCMOへの転職が有利になります。商品やサービスのブランディングを設計したり、顧客と継続的なコミュニケーションをとって信頼を築いたりした経験は、CMOの業務に活かせるためです。
しかし、ヘッドハンティングによるキャリアアップは運の要素もあるため、事前に自分なりのキャリアプランを設計しておくことが重要になります。
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まとめ
本記事では「CMOの役割と仕事内容」「CMOに求められる資質とキャリアパス」などを紹介しました。
CMOになるためには、経営に関する知見や経験に加え、専門的なマーケティング知識をもっている必要があります。
必要なキャリアパスとしては「営業部門での管理職」「マーケティングマネージャー」などが一般的ですが、決まったルートはありません。どんなキャリアからでもCMOになることは可能であると言えるでしょう。
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