バックテック・満沢将孝 × BNGパートナーズ・岡田丈広|世の中をより良くするために。VUCAの時代に求められる組織力強化の方法論【前編】

企業の健康経営を支援するサービス「ポケットセラピスト」を提供し、多くのクライアントから支持されるばかりか、誰もが知る大企業とも業務提携を結ぶ、株式会社バックテック。2023年6月、そのバックテック社に取締役COOとしてジョインしたのが満沢将孝氏です。

満沢氏は新卒入社した不動産会社で取締役となり、その後名古屋を拠点とするHRtechのスタートアップ、スタメン社に転職。取締役として事業責任者からCHROまで経験し、事業の成長と組織基盤の強化を牽引してきた人物です。

では、“強い組織”とはどのように定義づけられ、どうして今、組織の強さが求められているのか。BNGパートナーズのエグゼクティブサーチ事業部に所属し、チームリーダーとして企業の幹部採用を支援する岡田丈広との対談からひも解きます。

このサービスを広められたなら、世の中はもっと良くなる

岡田:満沢さんは2023年6月、バックテック社に取締役COOとしてジョイン。また、前職のスタメン社では取締役として新規上場を牽引しただけでなく、CHROとして人事戦略にも従事されています。現職でも、前職においても組織をリードし、強化する役割を担われていますが、改めて、満沢さんのご経歴をお聞かせください。

満沢:ご紹介、ありがとうございます。時系列に沿ってお話ししますと、大学卒業後に新卒として不動産会社に入社しました。営業部に配属されましたが、ものすごく体育会系の風土でしたね。「名刺100枚交換しきるまでは会社に戻ってくるな!」というような。離職率は4割ほどの会社でしたが、その会社に身を置き、入社から6年後に人事部へ異動。その後、転職するまでの2年間は取締役として経営参画していました。

役員を経験した後、2018年3月にHRtechのスタートアップ企業、スタメンにジョイン。岡田さんがご紹介くださったように、会社の核となるSaaS事業の責任者として新規上場を経験し、CHROに就任してからは人事戦略や組織開発に従事しました。そこから2023年3月にスタメンの取締役を退任し、バックテックに転職したわけですが、今は取締役COOとして、経営体制の強化と事業の拡大がメインの役割です。

岡田:満沢さんがCOOを務めるバックテックは、2016年に創業されたスタートアップ。健康経営に関わるサービスを提供されていますが、バックテックに活躍の場を移された理由は何だったのでしょう?

満沢:まず、前職であるスタメンは本当に素晴らしい会社ですし、思い出もたくさんありますし、辞める理由はなく、今でも応援している会社です。一方で、自身の年齢を考えると、ビジネスにフルコミットできる時間も永遠にあるわけではなく、感覚的にはもう折り返し地点だなと。新卒入社した不動産会社では自身の実力をつけるためにひた走り、二社目のスタメンでは形のない事業を世に広めていくことにコミットしてきました。その中で、ビジネス人生の後半に、自分は何をすべきなのかを考えたときに、今ある産業の構造や常識を変え、世の中を良くすることにフルコミットしたい、と。

バックテックは、代表の福谷が京都大学大学院の医学研究科で博士号を取得した後に立ち上げた企業であり、エビデンスなどを元にした確かな知見をもとに、健康という視点から企業の生産性やパフォーマンス向上を支援すべく、「ポケットセラピスト」というサービスを提供しています。具体的には、心身の不調を抱えている従業員の方に「ポケットセラピスト」を通して面談やプログラムを実践してもらいます。従業員の方々のデータを集約し、「どれだけ企業の生産性が向上したか」「それを金額に換算するといくらになるのか」などの解析も行っています。

世の中を良くすることにフルコミットすべく、特に領域を絞ることなく、さまざまなキャリアを模索しましたが、バックテックが切り込む健康という領域は、誰しも重要なことでありながら、特に産業分野や企業における解はまだ見つかっていないと考えています。その中でも代表の福谷は正しい情報やサービスを世の中に広めることを大事にしており、バックテックが生み出すサービスを広められれば、世の中はもっと良くなる。これがバックテックに転職した理由です。

成長には変化を伴うからこそ、一定の離職は起こり得る

岡田:ありがとうございます。私自身、BNGに転職する前は組織と人のエンゲージメントを可視化するような事業に従事していたため、自分のキャリアとの親和性を感じながら、御社の取り組みを拝見しています。そして、組織も事業もベースは人。働く人の健康にフォーカスしながらパフォーマンスの向上を支援する御社は、今後さらに社会から求められていくはずです。

すでに多くの従業員を抱える企業から注目を集め、直近ではキリンビバレッジやインテックとも業務提携を結ばれていますよね。このことが御社の成長を物語っていますが、急成長するスタートアップ企業はどうしても業務量が多く、離職率の高さが話題になることがあります。しかし、バックテックは新たな人材を招き入れる一方、出ていく方は非常に少ない。これも御社が成長している一つの理由なのかな、と。

満沢:確かに離職率は低いかもしれませんが、うちはまだ、従業員十数名の規模なので。それに私自身は離職率の数字そのものにそこまで重きを置いておらず、誤解を恐れずにいうと変化が速いスタートアップという環境下においては、一定の離職は発生してしまうものだと考えています。もちろん発生しないようにする前提ではありますか、どうしても組織のスピードと個人のスピードにギャップが生まれ、そのギャップを埋めることができないこともあるからです。

しかし、そもそもカルチャーフィットしていない人材を採用してしまうような、ボタンの掛け違いによる離職は防ぐべきです。離職率そのものより、目を向けるべきは離職の背景であり、今いるメンバーの成長と組織の成長のベクトルが同じ方向であれば、そこで発生する離職は適切な新陳代謝と捉えられると思っています。バックテックは確かに離職者が少なく、成長の自負もあります。その理由はボタンの掛け違いを未然に防ぎ、新たなメンバーが活躍してくれているからなのかな、と。

強い組織は、事業や自社の成長を“主語”に議論する

岡田:いや、おっしゃるとおりですね。今回、満沢さんには「強い組織を作るには?」といったテーマでお話を伺いたいと考えていましたが、今、お話しいただいた「今いるメンバーが共に成長へと向かう」といった企業の姿勢は、強い組織の必須条件のように感じます。とは言え、組織の強さを測る基準はさまざま。そこで聞かせてください、満沢さんの考える“強い組織”とは、どのような組織を指すのか。

満沢:組織の強さ、あるいは弱さは平常時ではなく、緊急時に現れるものではないでしょうか。事業が伸び悩んでいるな、厳しいな、というときにも、誰もが逃げずに戦える組織は強い。すると、必要なのは一体感の強さや信頼関係の強さ、つまりはエンゲージメントの高さです。エンゲージメントの高い組織は強い組織だと考えますが、ここで気をつけるべきが、馴れ合いの関係にならないことです。

一体感や信頼関係は仲の良さを意味するのではなく、それこそ、メンバーが共に成長へと向かえているか。岡田さんが触れてくださったように、その姿勢が組織の強さに直結します。また、メンバー全員が同じ方向に向かえている組織は、事業や自社の成長が主語なんです。主語、つまり目的はあくまでも事業の成長や組織の成長であり、それを主語に議論ができる組織は極めて強いイメージですね。

いかに勝ちきるか、情報が民主化した今に求められる強さ

岡田:ありがとうございます、私も同じように考えています。一方、昨今は組織力の強化に取り組み、そこでお悩みになる企業が少なくありません。それはやはり、不確定要素の多い世の中だからではないでしょうか。実は私も満沢さんと同様に、名刺を100枚交換するような営業を経験しています。きつかったものの、かつて、あの戦い方が正しかった。しかし、そうした戦い方が通用しなくなってきていますよね。

“名刺100枚”という数字が象徴するように、一昔前はより多くの人を雇い、より多くの行動量を有する会社が勝てた。それが今はインターネットの普及による情報社会に変化し、大量の情報をいかに早く精査し、勝ち筋を見つけられるかが、組織の強さを測る一つの指針になっていると感じます。人海戦術で戦えていた時代は、とにかく頭数をそろえればいい。これは非常に単純な、システマチックな組織構成です。

しかし、今の時代は数だけでは勝てない。数は少なくとも、頭を使った戦い方のできる組織が勝つ時代です。その反面、少数精鋭とはいっても、個の力に限界があるのも事実です。現代のあらゆる変化に対応するには、あらゆる人材が必要になります。こうした数だけでは勝てず、個の力だけでも勝ちきれないといったジレンマがあるからこそ、組織の強化を課題として挙げ、取り組む企業が増えているのではないか、と。

満沢さん:岡田さんのおっしゃる不確定要素の多い時代だからこそ、メンバー全員が同じ方向を向くことの重要性が増しているように感じますね。また、インターネットの普及は情報の民主化とも言われます。これは言葉を選ばずに言うと、似た事業やサービスが出現しやすくなった、とも表現できると思うんです。

誰もが大量の情報に触れられ、知識を得られるからこそ、誰もが事業やサービスを作れる。素晴らしいことである反面、どこか似通った事業やサービスが氾濫する世の中では、それこそ、どこでいかに勝つのか、見極めるための戦略が欠かせません。その戦略性を高めるために重要なのが、組織力ではないでしょうか。

後編へ続く

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