新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令により、3密回避やリモートワークへの転換を余儀なくされるなど、働き方に変化が求められています。新しい働き方では、セキュリティ、ネット・PCなどの環境整備に加え、「コミュニケーションの稀薄化」を大きな課題として捉えている企業も少なくありません。
コミュニケーション課題の中でも注目度が高いのが「オンボーディング(on-boarding)の手法」です。オンボーディングは、採用者の今後のパフォーマンスを左右する非常に重要なプロセスであり、コロナ禍での対応に悩む声が弊社の取引先企業さまからも多く挙がっています。
BNGパートナーズでは、「コロナ禍でもスタートダッシュをきるための最適なオンボーディングの手法」について、解を得るべく、2020年11月11日にオンラインセミナー「withコロナ時代のオンボーディング2.0」を開催いたしました。
登壇者としてSansan株式会社(以下、Sansan)の取締役CHROである大間祐太さん、株式会社BONX(以下、BONX)の取締役兼Team Growth Scientistである楢崎雄太さん、株式会社Sun Asterisk(以下、Sun*)のビジネスインキュベーター兼ビジネスプロデューサーである中野崇さんをお迎えしました。
これらの登壇者のみなさんから、いま注目の成長企業がどのようにオンボーディングに取り組んでいるのかを語っていただきました。モデレーターはBNGの岡本が務めました。
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登壇者紹介
大間 祐太
取締役/CHRO
人材系ベンチャー企業へ入社し、営業担当として採用コンサルティング事業の立ち上げを経験し独立。その後、取締役として採用メディアや採用コンサルティング領域のベンチャー企業の立ち上げに携わる。2010年にSansan株式会社へ入社。営業部門でマネジャーを務めた後、人事部門へ異動。採用全体を統括し、2016年には人事部長に就任。現在はCHROとして、人材価値を高めるための人事戦略を指揮する。
楢崎 雄太
取締役/Team Growth Scientist
東京大学大学院学際情報学府卒業。2012年、ボストン・コンサルティング・グループに入社、中期経営計画の立案やデジタル化推進など幅広いプロジェクトに参画。2014年同僚だった宮坂と共に株式会社BONXを共同創業。CTOとしてハードウェア・ソフトウェア双方のプロダクト開発をリード。2020年からはTeam Growth Scientistとしてチームワークやチーム内コミュニケーションを通じたチームの成長を分析・研究し、対外的に発信する活動を行っている。大手企業とのアライアンス・資本提携等の担当も兼務。
中野 崇
ビジネスインキュベーター/ビジネスプロデューサー
早稲田大学教育心理学専修卒業。2005年にマクロミルへ入社。営業・営業企画を経て、中国支社立ち上げ、韓国支社の経営再建・組織改革、SaaS型の新規事業開発責任者、統合マーティング(PR、イベント、デジタル、CRM)部門の責任者、電通マクロミルインサイトの代表取締役を歴任。現在はSun*のビジネスプロデューサー・ビジネスインキュベーターとして、顧客の事業開発やDXプロジェクトに伴走し、事業開発・事業推進に必要なエグゼキューションサポートを多面的に提供。
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イベントレポート
オンボーディングでは何を重視すべきか
まずは、最適なオンボーディング手法について成長企業の取り組みからヒントを得るべく、各社がオンボーディングの中で「重要視していること」と「コロナ禍にどう対応したか」の2つのポイントについてお話を伺いました。
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楢崎:オンボーディング施策の一つとして、「社長との個別面談」があり、入社初日に行います。この面談では、ビジョンやバリューの共有と理解、また、一緒に働く上での違和感や不安の解消を目的としています。そして翌日からは一緒に現場で働いていきます。
緊急事態宣言発令時は全社フルリモートに移行し、OJTもリモート環境下で行っていましたが、その際にルールとして決めていたのが、「常に音声で繋がっておく」ことでした。
オフライン環境だと、主体的に参加していない近くの会話が聞こえてきて、そこから気づきを得ることはよくあることだと思いますが、オンライン環境で打ち合わせの時にだけビデオやチャットでコミュニケーションを取るという方法の場合はそのような機会を逃しがちです。
そこで、リモート環境下でも同様の状態に近づけるために、音で常に繋がる状態にしておくことでそのチャンスを逃さず拾うことを可能にしました。
弊社では、会社が主導して普段からこのような状態を作っていたので、リモートでのOJTもスムーズに行われました。こういった状態にしておくことで、気づきを得られるだけでなく、ふとした疑問がわいたときに声に出して呟くと、誰かが拾って回答してくれたり、アウトプットさえしていれば自然と解決策が見つかります。
この実現にあたっては、弊社が提供している「BONX for Business」という音声コラボレーションツールを利用しました。このツールでは、一度に複数のトークルームと接続し、自分が今いる場所に関係なくチームメンバー同士で自由に会話することができます。
オフライン環境だと、主体的に参加していない近くの会話が聞こえてきて、そこから気づきを得ることはよくあることだと思いますが、オンラインでも「BONX for Business」を使うことで実現しました。気づきを得られるだけでなく、ふとした疑問がわいたときに声に出して呟くと、誰かが拾って回答してくれたり、アウトプットさえしていれば自然と解決策が見つかります。
会社が主導して普段からこのような状態を作っていたので、リモートでのOJTもスムーズに行われました。
中野:弊社のユニークな取組みとしては、新しく入った社員全員がビジョンについて理解を深め合うために「Vision理解のための半日ワークショップ」を実施しています。
ワークショップの中では「そもそも価値創造とは何か?」などの問いを考えることで、弊社のビジョン「誰もが価値創造に夢中になれる世界をつくる」を多面的にとらえつつ、コアの共通認識を作っていきます。共同作業をすることで同期の距離感が一気に近くなるというメリットも得られます。
また、オンボーディングは、時間軸と基準を持って、対象によって使い分けています。例えば、弊社は日本での従業員数が100名ほど(ベトナムは1,300名)のスタートアップ企業ですが、新卒でスタートアップ企業に入るのは、かなり覚悟がいる決断ですよね。そのため新卒社員に対しては、入社してくれた感謝がひときわ大きく、入社して3年間は伴走するなどして自立を助けます。
一方で、中途採用者には即戦力を期待しているので、新卒よりも伴走度合いは少なくなります。もちろん伴走期間は全力でサポートしています!
コロナ禍においては、リモートワークを導入したことでメンバー間での情報欠損が起きやすい状態になっていたため、そのあたりのサポートは以前よりも厚く対応しています。
大間:弊社では「入社後、最初の5営業日は全職種の社員を人事部が預かり、そのすべての時間をオフラインで研修を行う」施策を行っています。
この研修については、専任講師に対応してもらっていますが、彼は元々営業社員でした。古参で、Sansanの歴史を見てきたので、弊社のミッションが創業からどう変遷していったのかを語ることができます。
そして、一般的に、人事が研修を行った場合、現場の文化醸成までは行うことは難しいので、人事から現場に配属した際に再スタート感がぬぐえません。しかし、彼は営業経験者で、営業のオンボーディングも担当してもらっているので、繋がりを保ちながらスムーズに移行でき、配属後も違和感なく業務に携わることができます。ここは結構メリットが大きかったですね。
5日間の研修では、各種入社手続きや、セキュリティ意識の強化も対象ではありますが、やはり一番の目的は、BONXさん、Sun*さんと同じで「MissionやValuesを浸透させ、業務を行う上でのベースを固める」ことです。弊社は採用人数も多く、その職種もさまざまですが、彼、彼女らの業務を推進する根底にあるのがMissionであり、Values。ここで他のメンバーと繋がることができたり、会社に自分の思いを重ねたりすることができる。弊社もビジネスを推進していくために文化醸成を非常に大事にしていますし、それらが組織を底上げしていくと信じています。
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各社のやり方は様々ですが、どの企業でもいかにして「ビジョン・ミッション・バリューの理解や浸透」を徹底するかに重きを置いていました。
また、「コミュニケーション」を配属前後、同期の間で、チームメンバー間でどう繋げていくか、ひいては「人間関係」をどう構築していくかを重要視していることが3社の共通項として見られました。
コロナ禍におけるオンボーディングのやり方は?オフライン、オンラインどちらで行うべきか
オンボーディング施策の実施方法がオフラインとオンラインでそれぞれスタンスが分かれたため、なぜそれを選択したのか掘り下げてお聞きしました。
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中野:これから一緒に働くメンバーと、スタート段階でビジョンに向かえる状態を作ることが重要だと考えているので、3密回避が前提ですが、オフラインで実施しています。もちろん関係性はデジタル上でも作れるかもしれませんが、ワークショップを通じて、共同で何か1つのことを生み出すときの空気感はオンラインでは味わうことができません。この一体感や空気感を感じてもらうことを大事にしています。
大間:弊社も同じで、4人1組で研修を実施しています。このようなご時世にオフラインで実施することに賛否両論ありますが、参加者の満足度もオフラインの方が高かったこともあって、リスクヘッジした上でオフラインに振り切っています。
楢崎:弊社は真逆ですね。オンボーディングも全てオンラインで実施しています。
「オフラインだからこそできるコミュニケーションがある」ということは間違いないですが、弊社としてはオフラインとオンラインに生じている情報格差を小さくしていくことが重要だと考えています。
これはまさにBONXというプロダクトのミッションでもあり、まず自分たちが体現するために、非常事態宣言が明けるまでの丸7ヶ月間、フルリモートで仕事をしていました。
最近のオフィス出社解禁が解禁され、コロナ期間中に入社した新メンバーと顔を合わせましたが、初めて対面したはずなのに、お互い初めての気がしない不思議な感覚を覚えました。
弊社はまだ20人ちょっとの会社なので、お二人の会社とはフェーズも違いますし、新卒や同期がほとんどいないので、このようなやり方ができるのかもしれませんね。
弊社はオンラインのオンボーディングを選択しましたが、決して人間関係の構築を疎かにしているわけではありません。むしろ、重要視しているからこそ、前述した「音で常に繋がっておく」という”コミュニケーションの総量”を担保する取り組みを行っているのです。オンラインオンボーディングはそれが担保された場合に限って可能になると考えています。
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重要なのはどう行うかではなく、何を目的とするか。オフライン/オンラインで行うことは、手段のひとつにすぎず、前述したように、
・会社への共感と目的意識を高めるために「ビジョン・ミッション・バリューの理解や浸透」を徹底する。
・「人間関係の構築」に価値を置き、コミュニケーション総量を担保するために、会社が力をいれて文化や仕組みを作り上げる。
これらがパフォーマンス向上のために重要であるということが各社の見解でした。
オンボーディングの効果はどのように計るべきか
「ビジョン・ミッション・バリューズの理解や浸透」と「人間関係の構築」に重点を置いている各社のオンボーディングの全体像をさらにつかむべく、成功の定義や効果測定について伺いました。
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楢崎:オンボーディングの究極の成功は「施策を実施した翌日から、既存メンバーと同じ成果を挙げられるようになること」だと考えています。が、完璧に再現することは難しいので、何かのプログラムで完結させようとするのではなく、徐々に変遷する職種や立場に応じて、その時々でサポートすることが重要なのかと。
ただ、「対象者が何で困っているのか」が明確でないとサポートしづらいので、自分の考えをしっかりと発信できる仕組みを作ることが、オンボーディングが成功する要因だと考えます。
この仕組みを作る上で、重要な役割を担うのが、弊社の場合は”Talk easy”という価値観。これは「困りごとや不明点があったらすぐ口にだし、それを誰かが必ず拾う」というものです。とにかく全部喋ろう、ということですね。
先輩や上司に話しかけるのは心理的なハードルが高いと言われていますが、それができずにいると、不明点や困りごとは解消されないままです。
そこで弊社はまず、”Talk easy”という価値観を浸透させアウトプットしやすい文化を作り、「BONXで常に繋がっておく」というルールを策定することで、オンライン環境下でのオンボーディングを成功に近づけられると考えたのです。
今日のイベントが開催されるにあたり、新しくジョインしたメンバーにオンボーディングについて聞いてみると、「困ったことはない。口に出したら誰かが教えてくれるから。何かあったらすぐに話すことを意識していた。」と返ってきました。
振り返りという観点で見れば、弊社のオンボーディングは成功していたと言えるかもしれませんね。
リモート下では、リモート社員と出社社員の間でコミュニケーションによる情報格差が発生しがちです。リモートワークは「空気を読む」という日本人の性格にあまり適していないようにも感じていますが、コロナ禍の現状を鑑みると実施せざるを得ません。この働き方が一般的になっていくことに抗うのではなく、上手く活かすためにも、弊社が行ったように、会社が責任を持って情報格差を埋めていく努力をする必要があるでしょう。
大間:弊社では、オンボーディングの成功は、「メンバーがパフォーマンス高く、ハッピーに働けていること」と「メンバーが会社に貢献できていること」が重なっている状態になることだと考えています。
しかし、オンボーディングは、というより、これは人事評価全般に言えることですが、定性的な評価になりがちなので、弊社では、その振り返りとして「NPSを活用したアンケート」と「定点観測」を実施することで、定量的に評価ができる仕組みを構築しています。
NPSのアンケートは、「各コンテンツはどうだったか」「研修全体はどうだったか」「これから入社する社員に勧めたいと思うか」などについて、スコアを11段階に分けて細かく測定しています。
定点観測は、部長やマネージャーが新入社員に対して実施する評価システムです。半年ある試用期間のうち、1ヶ月、3ヶ月、4.5ヶ月の3回に渡って実施します。定性評価も含みますが、定量評価を行うことで、数値に陰りが見えた際には人事と現場マネージャーで協力してフォローする体制になっています。
また、wevoxというツールを利用して社内全体のエンゲージメントも測定しています。もちろん、数字が全てではありませんが、定性評価になりがちな人事評価を少しでも定量化するために必要な施策だと考えています。
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オンボーディングの成功の定義や効果測定においては下記が重要なトピックでした。
・オンボーディングの目的を明確にする(オンボーディングに成功した状態を明確に定義する)ことが重要。
・少なくとも半年スパンで見る。
・効果測定は定量評価も組み合わせることで、より実態を把握しやすい。
オンボーディング完了後に起こりがちなエンゲージメント低下のフォロー策
オンボーディングにおいて「入社半年後」はひとつの壁となるケースが多いといわれています。実際はどうなのか、何か対策を行っているのかを伺いました。
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大間:過去のNPSアンケートでも、大半の社員は入社して半年以内にその壁を経験していることが分かっているので、弊社の場合は研修の中でその旨を予め伝えています。壁を乗り越えられた人たちはなぜ突破できたのか、その理由の多くは「周りのメンバーや上司に対して助けを求めたから」というものですが、これらの情報を研修の段階で伝えることで、近いうちに来るべき壁や課題に備えておくことができ、対処が可能になると考えています。
中野:「全マネージャーによる、新卒社員のモニタリング」を検討しています。
これは「新卒の志向性、目標設定や達成状況、育成方針、モチベーション、スキルアップイメージ」などを、管理職全員で理解・議論するもので、前職で実施していました。
新卒は将来の経営幹部候補への期待や伸びしろが大きい。Sun*は、クライアントに対してエンジニア・デザイナー・コンサルタントが専門性を発揮することで対価を得ています。
新卒でも早い段階からしっかりとパフォーマンスを上げるには、社として立ち上がりのバックアップをする必要があると考えています。
「全マネージャーが参加する」というのはコスパの悪い施策に見えますが、早期立ち上げやモチベーションアップを実現するためにも、しっかりと時間を投資することが重要だと考えています
withコロナ時代、リモートで失われがちなコミュニケーション、非言語コミュニケーション欠損による影響をどのように担保すべきか
オフライン環境において得られ易かった、何気なく聞こえてくる他者の会話や、表情や身振りなどの非言語コミュニケーションなどの、無意識に得ていた情報の欠損に課題を感じている企業も多いようです。
withコロナ時代、リモート環境下でもこれらの情報を得るために、どのような対応をすべきか、リスナーからも質問が挙がったので答えていただきました。
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オンラインでのチームビルディングはどう行うべきか?
Q:オンラインでのチームビルティングはどのように行っていますか?
中野:仕事の始まりは人間関係構築です。しかし、リモートだとなかなか人となりを理解するのが難しいので、リッチなスタッフプロフィールをイントラネット上に作りました。
業務内容や得意なこと以外にも、「人生で大事にしていること」や「休日は何しているのか」など、LIFEの部分が想像できる情報や写真を載せてもらいました。
それに加えて、入社時に自分をプレゼンテーションしてもらっています。パワポ1枚程度ですが、個人的なことを全社員の前で話してもらう形で、これはすごく効果的でしたね。
リモート勤務がメインになることで採用要件は変化するか?
Q:リモート勤務がメインになったことで、セルフコントロールやセルフマネジメントがより一層求められていると感じていますが、現在もしくは今後、採用要件を変更する予定はありますか?
大間:採用要件の変更については、現状予定していません。なぜなら、弊社の採用要件の中には、「セルフドライブ(自走)できる人間」というのが元々強く盛り込まれているからです。リモートはあくまで手段であり、セルフドライブ、セルフマネジメントできるかどうかは、働き方には影響しないことだと考えています。
楢崎:弊社も採用要件の変更はないですが、今後はどこの会社でも「自分自身で声を上げること」が求められるだろうなとは考えています。ジョブ型採用が増えてきて、よりスキルの部分を見られるようになっていますよね。プロフェッショナルであることの一端として自分から発信していく必要はあるのかなと。
弊社に限った話ではなく、「自分の状態をきちんと言えること」というのは、人材要件に盛り込まれていくんじゃないでしょうか。
リモートで失われがちなアイデアの想像性をどのように担保しているのか?
中野:リモートベースで仕事をやっていると、新しいものが生まれる瞬間が減っているように感じています。新規事業のアイデアだったり、人と人が関係性をグッと深める瞬間だったり。そういったものを、会社としてどう担保していけばいいのか、もし工夫していらっしゃることがあれば知りたいです。
大間:常に弊社の経営会議の議題にも上がっています。その場にいることで聞こえたり見えたりするものがあって、そこからクリエイティブでイノベーティブなものが生まれることって結構ありますよね。
今後の実現方法としては、企業それぞれが真剣に考えて、その取り組みをシェアすることで変わるんじゃないかと思います。今日私もインプットすることが多く、早速実践してみたいと思うことに巡り合えたので、こういう取り組みを重ねていくことで良くなっていくのかなと思いましたね。
楢崎:これはMITでも研究されていることですが、一番成果を出すチームは、全員の能力が高いチームではなく、お互いの気持ちが分かり合えているチームらしいです。
オフラインでそれが実現できるのは、仕草や表情で相手の意思が伝わるからだと思うんですよ。イノベーションって、実は話すこと以外での非言語情報の交換から生まれるものだという研究もあって、それらをどう担保するのかが重要だと考えています。
僕は、フルリモートは今の日本と相性が良くないと思っていて。空気を読むという文化があって、雇用形態も海外のようなジョブ型雇用なら別ですが、メンバーシップ型雇用がメインの現段階では、まだ早いかなという印象です。なので、イノベーションのときはオンライン/ジョブ型のときはオフラインなどとそのときによって使い分けることが重要なんじゃないかと思います。
中野:「このトピックはオンラインに向かない」というのが明文化されているだけで、変わるかもしれませんね。
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コロナによって導入せざるを得なかったリモートワークという新しい働き方。導入して見えてきた「コミュニケーションの稀薄化」という課題に対して、オフライン環境と同等のパフォーマンスを上げるためには、まだまだ課題は多いですが、「コミュニケーション(非言語・非主体的なものを含む)総量の担保」が解決の糸口になりそうです。
また、採用者の今後のパフォーマンスを左右する、ひいては企業成長の最初の要である「オンボーディング」において、コロナ禍でもうまくスタートダッシュを切る方法は「ビジョン・ミッション・バリューズの理解や浸透」と「人間関係の構築」が重要なカギを握ることが分かりました。
イベントを通して、コロナやリモートワークとどう付き合っていくべきかを模索する方法が見えたのではないでしょうか?本イベントが、今後の企業成長を伴う意思決定のきっかけや材料となると幸いです。