取締役と執行役員の違いとは?役割と責任の違いを解説

2025/03/31

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企業の組織図を見ると、「取締役」と「執行役員」という役職が並んでいることがあります。しかし、それぞれの違いについて正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。どちらも会社の経営に関わる立場ですが、担う役割や責任の範囲には明確な違いがあります。

本記事では、取締役と執行役員の違いを整理し、それぞれの役割や責任について詳しく解説します。企業の意思決定や業務執行の仕組みを理解することで、経営の全体像をより深く知ることができるでしょう。

 

 

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取締役とは?

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企業経営において、「取締役」と「執行役員」はともに大切な役職ですが、それぞれの役割や責任には明確な違いがあります。特に、取締役は会社法で定められた役員であり、経営の意思決定に深く関与する立場です。一方、執行役員は経営判断を実行する役割を担い、企業の業務遂行を支える存在となります。では、まず取締役について詳しく見ていきましょう。

 

取締役の基本的な定義とは?

取締役とは、会社法によって定められた「役員」のひとつであり、企業の経営方針を決定する重要な立場です。企業の運営に関する重要事項を決める役割を担い、取締役会の一員として経営戦略を策定します。

取締役は、株主総会で選出されることが一般的であり、株主から経営を託される立場にあります。そのため、企業の利益を第一に考え、適切な経営判断を行う責任を負います。

 

取締役の役割とは?

取締役の重要な役割は、企業の方向性を決め、経営の意思決定を行うことです。そのため、次のような業務を担当します。

  • 経営戦略の立案と意思決定
    企業の中長期的な成長戦略を策定し、持続的な発展を目指します。市場環境の変化を踏まえ、競争力を維持するための方針を決定します。

  • 取締役会を構成し、会社の重要事項を決定
    企業の経営に関する重要な事項(新規事業の立ち上げ、大型投資、合併・買収など)を取締役会で審議し、意思決定を行います。

  • 代表取締役や社長の選任
    企業のトップである代表取締役や社長の選出を行い、組織のリーダーシップ体制を整えることで、経営の安定化を図ります。


取締役は、企業の方向性を決める立場であるため、単なる業務執行者とは異なり、経営全体の視点を持つことが求められます。

 

取締役の責任とは?

取締役は、企業の経営方針や重要な決定に関わるため、法的に重い責任を負います。具体的には、以下のような責任があります。

1. 善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)

 取締役は、会社の経営を担う立場として、専門的な知識と経験を活かし、適切な経営判断を下さなければなりません。例えば、経営判断を誤ったことで企業の業績が悪化した場合、その責任を問われることがあります。

2. 忠実義務 

会社の利益を第一に考え、誠実に職務を遂行する義務があります。これは、取締役が個人的な利益を優先したり、会社の利益を損なう行動をとったりしないようにするための規定です。例えば、競合企業との不適切な取引や、不正な利益供与が発覚した場合、忠実義務違反として責任を問われる可能性があります。

3. 経営判断の責任 

取締役は、経営の意思決定を行う立場にあるため、その決定によって会社に損害が発生した場合、株主代表訴訟の対象となることがあります。例えば、不適切な投資判断や経営の怠慢が原因で企業の価値が大きく毀損した場合、株主から訴えられる可能性があります。

また、取締役には会社法上の「責任免除制度」も存在しますが、これを適用するには一定の要件を満たす必要があるため、安易な経営判断は許されません。

取締役は、企業の経営方針を決定し、大切な意思決定を行う役職であり、会社法上の厳格な責任が伴います。そのため、経営戦略の策定や重要事項の審議において、慎重かつ的確な判断が求められます。また、株主からの信任を受けて経営を任される立場であるため、善管注意義務や忠実義務を果たし、企業の利益を第一に考えた経営を行うことが必要です。

 

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執行役員とは?

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企業における「執行役員」という役職は、近年多くの企業で導入されています。しかし、「取締役」との違いが分かりにくいと感じる人も少なくありません。執行役員は、企業の経営に関わるものの、取締役とは異なる役割を担います。ここでは、執行役員の定義や役割、責任について詳しく解説します。

 

執行役員の基本的な定義とは?

執行役員は、企業内部で任命される役職のひとつであり、会社法上の「役員」には該当しません。取締役は株主総会で選任されるのに対し、執行役員は企業独自の基準で任命されます。

取締役会は企業の経営方針を決定する役割を担いますが、その決定を具体的な業務として実行するのが執行役員の役目です。そのため、執行役員は経営判断を業務レベルで実行し、企業運営を支えるポジションとされています。
また、企業によっては、執行役員に特定の事業部門を統括させることもあります。近年では、取締役と執行役員の役割を明確に分離し、経営の意思決定と業務執行の効率化を図る企業も増えています。

執行役員の役割とは?

執行役員の主な役割は、企業の経営方針を実行に移すことです。取締役会が決定した方針を現場に落とし込み、業務を円滑に進める責任を負います。
具体的には、以下のような業務が挙げられます。

• 事業部門の統括と業務遂行
• 経営戦略の実行と業績向上
• 市場環境に応じた業務改善や新規プロジェクトの推進

企業によっては、執行役員が特定の部門を直接指揮し、事業の成果責任を負う場合もあります。また、一部の企業では、執行役員から代表取締役に昇進するキャリアパスが設けられていることもあります。

関連記事:【2025年版】執行役員の平均年収(企業規模別)

執行役員の責任とは?

執行役員は法的な「役員」ではないため、取締役のように会社法上の責任を直接負うことはありません。しかし、企業の業務執行を担う立場として、経営に対する大きな責任を持つことになります。
執行役員に求められる主な責任は以下のとおりです。

  • 業務遂行責任:企業の経営方針に沿って業務を進め、目標を達成する責任
  • 部門の業績管理:担当する事業部門の成績を向上させるための戦略立案と実行
  • コンプライアンスの徹底:企業方針や法規制を遵守し、不祥事を防ぐ


企業によっては、執行役員に経営判断の権限を一部委譲するケースもあり、その場合は重要な意思決定に関わる責任も伴います。そのため、執行役員は単なる業務執行者ではなく、経営戦略の実行者としての意識が求められます。

執行役員は、経営と現場をつなぐ役割を果たし、企業の成長に貢献する重要なポジションです。

 

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取締役と執行役員の違いを一覧で比較!選任方法・責任・役割の違い

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取締役と執行役員は、企業の経営に関わる大切な役職ですが、それぞれの立場や責任には明確な違いがあります。以下の表では、選任方法や役割、責任範囲などの観点から両者を比較し、違いを詳しく解説します。

項目

取締役

執行役員

会社法上の位置づけ

会社法に基づく正式な「役員」として位置づけられる

企業が独自に設置する役職であり、会社法上の「役員」には該当しない

選任方法

株主総会で選出される

取締役会や社長によって任命される

主な役割

企業の経営戦略や重要事項を決定し、意思決定を行う

取締役会の決定をもとに、具体的な業務を実行し、現場を統括する

責任範囲

善管注意義務・忠実義務などの法的責任を負い、経営判断の結果に対しても責任を持つ

企業の業務遂行に関する責任を持つが、法的な役員ではないため、経営判断に対する法的責任は負わない

取締役会への関与

取締役会の構成メンバーとして議決権を持ち、企業の方向性を決定する

取締役会に出席する場合もあるが、議決権は持たないため、経営判断には直接関与しない

 

取締役は、会社法上の役員として、企業の経営全般に関わる大切な意思決定を担います。そのため、株主総会で選任され、株主の利益を守る役割も果たします。また、取締役会に参加し、経営方針の決定や会社の重要事項に関する議論を行います。そのため、経営判断に誤りがあった場合には、法的責任を問われることもあります。

一方で、執行役員は、取締役会の意思決定を実行する役割を担い、企業の業務を円滑に進めるためのリーダー的なポジションです。取締役のように株主総会で選任されることはなく、企業内部で任命されます。業務の実行に責任を持ちますが、取締役のような法的責任は負いません。

取締役は「企業の方向性を決定する立場」、執行役員は「決定された方針を実行する立場」として機能している点が大きな違いです。企業経営を理解するうえで、これらの役職の違いを正しく把握しておくことが大切です。

 

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企業における取締役と執行役員の役割分担の重要性とは?

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企業の経営において、意思決定と業務執行のバランスを適切に取ることは大切です。そのため、多くの企業では「取締役」と「執行役員」を明確に分け、それぞれの役割を整理しています。この役割分担がしっかりと機能することで、企業経営の効率化や意思決定の迅速化が期待できます。

 

取締役と執行役員のバランスが企業経営に与える影響

取締役と執行役員の役割を明確に分けることで、企業の経営体制はより安定し、スムーズな運営が可能になります。具体的には、次のようなメリットがあります。

  1. 1.意思決定と業務執行の分業化
  • 取締役が経営方針や戦略を策定し、企業全体の方向性を決める
  • 執行役員がその決定に基づき、業務の実行を担当する
  • それぞれの役割を分けることで、責任範囲が明確になり、経営判断の質が向上する

 

  1. 2.経営のスピードアップ
  • 取締役会での意思決定を執行役員が迅速に実行することで、経営のスピードが向上
  • 取締役が現場の業務遂行に関与しすぎることなく、経営の大局を見据えた判断が可能になる

 

  1. 3.リスク管理の強化
  • 取締役会が戦略的なリスクを管理し、執行役員が日々の業務リスクに対応することで、経営の安定性が向上
  • 取締役が監督者の立場として機能し、業務執行の適正性を確認できる


取締役と執行役員の役割を明確にすることで、企業はより効率的な経営を実現できます。特に企業規模が大きくなるにつれて、この役割分担はより大切になります。

 

取締役会設置会社と執行役員制度の導入メリットとは?

企業が取締役会を設置し、執行役員制度を導入することには、多くのメリットがあります。この制度は、経営の意思決定と業務執行を分離し、それぞれの役割を明確にするために採用されるケースが増えています。

1. 経営戦略の策定と実行の分離による効率化

取締役会が企業全体の経営戦略を決定し、その実行を執行役員が担当することで、経営の意思決定がより迅速になります。例えば、新規事業の立ち上げや組織改革など、企業の成長に関わる重要な決定を取締役会が行い、その方針を執行役員が現場レベルで実行する形になります。

2. 取締役の負担軽減と専門性の向上

取締役会が業務執行まで細かく関与すると、意思決定が遅くなるだけでなく、取締役自身の負担が大きくなります。しかし、執行役員が実務を担うことで、取締役は経営戦略の立案や企業全体の方向性の策定に専念できるようになります。結果として、専門性の高い意思決定が可能になります。

3. 大企業における導入が進む理由

特に大企業では、経営の複雑化に伴い、取締役がすべての業務に直接関与するのが難しくなっています。そのため、取締役会は経営の全体像を見ながら戦略を立て、執行役員がその戦略を実行する体制が一般的になっています。経営の透明性が向上し、組織の意思決定の流れも明確になります。

取締役会と執行役員制度を導入することで、企業経営の効率性やスピード感が向上し、変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できるようになります。特に、経営の第一線で迅速な対応が求められる現代においては、こうした役割分担の重要性がますます高まっています。

 

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まとめ|取締役と執行役員の違いを理解し、キャリアアップを目指す

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取締役と執行役員は、企業の経営において異なる役割を持っています。取締役は会社の方向性を決定し、経営判断を行う立場にあり、会社法上の役員として法的責任を負います。一方、執行役員は取締役会で決定された方針を業務レベルで実行し、現場のマネジメントを担当します。

取締役と執行役員の役割を明確に分担することで、企業の経営スピードが向上し、より効率的な運営が可能になります。特に、大企業では取締役会と執行役員制度を組み合わせることで、経営戦略の決定と業務遂行を分け、それぞれの機能をできる限り活用する体制を整えています。

また、経営層へのキャリアアップを目指す方にとって、この違いを理解することは大切です。BNGパートナーズでは、CxOクラスの転職に特化したエージェントサービスを提供しており、取締役や執行役員として活躍したい方を支援しています。経営層へのステップアップを考えている方は、こうした専門的な支援を活用しながらキャリアを築いてみてはいかがでしょうか。

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