転職活動での企業選びにおいて、応募先の平均勤続年数をチェックするケースも見受けられます。平均勤続年数が長いと優良企業で、短いとブラック企業といったイメージをもつ人もいるでしょう。
しかし、平均勤続年数だけで、一概に「会社の良し悪し」は判断できません。
そこで当記事では、平均勤続年数の捉え方・企業選びのポイント・企業情報を解読する方法などについて解説します。転職活動での企業選びを成功させたい人は、ぜひ当記事をお役立てください。
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平均勤続年数の目安はどれくらい?
国税庁の発表によると、令和2年度の平均勤続年数は「12年4か月」です。そのうち、男性の平均勤続年数は「13年9か月」で、女性の平均勤続年数は「10年1か月」といった結果になっています。
引用元:国税庁_民間給与実態統計調査
上記のデータによると、平均勤続年数が「12年4か月」を上回れば平均勤続年数が長い企業であり、下回れば平均勤続年数が短い企業だと言えます。しかし、「平均勤続年数が長い企業=よい」「平均勤続年数が短い企業=悪い」と判断するのは時期尚早であり、大切なポイントを見失う可能性があります。(会社の良し悪しの判別方法は、後述します。)
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平均勤続年数は自分で調べられる?
意外に思う人もいるかもしれませんが、企業の平均勤続年数は、自分で調べることが可能です。気になる企業があるものの、平均勤続年数が見当たらない場合には、自分で調べてみるとよいでしょう。
ここでは、自分でできる「4つの調査方法」について紹介します。
有価証券報告書
有価証券報告書とは、株式を発行する企業が「企業情報を開示」するものです。投資の判断材料として活用されることを、目的としています。有価証券報告書における平均勤続年数のチェックは、相手が上場企業の場合に適した方法だと言えます。有価証券報告書に掲載されていない企業の平均勤続年数を知りたい場合には、以下の方法を試すとよいでしょう。
就職四季報
就職四季報とは、東洋経済新報社が作成する「企業情報を集約した」書籍です。企業のホームページなどでは確認できない「平均勤続年数」や「離職率」が確認できます。就職四季報に掲載されている企業は比較的大きな会社が多いことから、小規模の企業やスタートアップの平均勤続年数を知りたい場合には、以下で紹介する2つの方法がオススメです。
OB・OGに質問する
気になる企業で働く先輩(OB=Old Boy/OG=Old Girl)を訪問し、仕事内容や会社の雰囲気などを教えてもらいます。インターネットではわからないようなリアルな情報に触れながら、社員の平均勤続年数なども確認できるでしょう。OBやOGは、知り合いのツテやさまざまな人脈から探します。
転職サービスの担当者に聞く
一番簡単で早い方法は、転職サービスの担当者に聞くことです。紹介先である企業の内情に詳しいため、有価証券報告書や就職四季報に掲載されていないような企業であっても、平均勤続年数を把握しているケースが見受けられます。また、気になる企業の「働きがい」や「入社するメリット」についても質問できるでしょう。
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平均勤続年数が短いと悪い会社なのか?
結論から述べると、平均勤続年数が短いからといって、一概に悪い会社やブラック企業だとは言えません。同様に、平均勤続年数が長い会社なので、よい会社とも言い切れないでしょう。なぜなら、平均勤続年数が「短い会社」「長い会社」にはそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットも異なるからです。自分にとってよい会社は、人によって異なります。
ここからは、「平均勤続年数が短い会社」と「平均勤続年数が長い会社」について、それぞれの特徴を解説します。自分にはどちらが合うかを考えながら、チェックしてみてください。
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平均勤続年数が短い企業の特徴
平均勤続年数が短い企業とは、在籍している社員の勤続年数が、全体的に短い企業を指します。冒頭からの繰り返しになるものの、平均勤続年数が短い企業だからといって、必ずしも悪い企業やブラック企業だとは言えません。
ここでは、平均勤続年数が短い企業の特徴について紹介します。
事業を拡大している
事業が軌道にのり、業績アップなどを果たし「上昇気流にのる企業」は、事業拡大に応じて多くの人材が必要です。また積極的な新規事業開発などに取り組み、意図して事業拡大をすすめている企業も、多くの人材を採用する傾向にあります。多くの人材を採用すれば、新入社員の数が多くなることから、必然的に在籍期間が短い社員の割合が増えるでしょう。
以前から在籍するベテラン社員の在籍期間が非常に長くても、ベテラン社員以上に新入社員の数が増えれば、企業の平均勤続年数が少なくなるのは致し方ありません。
創立から日が浅い
ベンチャー企業やスタートアップ企業など、創立から日が浅い企業は、平均勤続年数が短くなる傾向にあります。たとえば創立から1年の企業は、創業時から在籍しているメンバーであっても、勤続年数は1年です。こうしたケースで平均勤続年数を算出すると、1年に満たないでしょう。平均勤続年数が極端に短い場合には、企業の創立日を確認することが大切です。
また他社と合併したケースでも、平均勤続年数が短くなる傾向にあります。なぜなら、吸収される側の会社からやって来る社員は、全て新入社員としてカウントされるからです。
若手社員の割合が多い
20代・30代の若手社員が多い企業は、平均勤続年数が短くなる傾向にあります。特にベンチャー企業やスタートアップ企業など、勢いにのってこれから成長をする段階の企業は、若手社員の割合が多いでしょう。
歴史がある老舗企業や大手企業の場合にも、積極的に新卒採用を行うなど、若手社員を採用する機会が多ければ平均勤続年数が短くなります。新規事業開発に力を入れる場合にも、新たな風やアイデアを導入すべく、採用を強化することがあります。その結果として、平均勤続年数が短くなるケースもあるでしょう。
急速にスキルアップできる環境がある
急速にスキルアップできる環境が用意されていると、平均勤続年数が短くなることもあります。教育体制や各種制度などが整備されている企業では、着実かつスピード感をもってスキルアップできます。急速にスキルアップできる環境に惹かれ、入社を希望する人が増えれば、多くの新入社員を獲得することにつながるでしょう。多数の新入社員を採用すれば、必然的に平均勤続年数は短くなります。
またIT業界やコンサル業界など、「スキルアップをすると、ほかの企業に転職する人」が多いような業界でも、平均勤続年数は短くなりがちです。
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平均勤続年数が長い企業の特徴
平均勤続年数が長い企業は、平均勤続年数が短い企業とは異なる特徴があります。業績が安定していることや、福利厚生が手厚いといった特徴です。
ここでは、平均勤続年数が長い企業の特徴について解説します。
業績が安定している
業績が安定していれば、急な退職などがない限り、急いで人を補填する必要がありません。人を採用する機会が少なくなるため、平均勤続年数も長くなりやすいと言えます。また安定的な環境に魅力を感じ、長く働きつづける人も多いでしょう。
ほかにも、生活必需品である「ガス」や「電気」に関する企業は、常に需要があることから、業績も安定する傾向にあります。そのため、平均勤続年数も伸びやすくなります。
ベンチャー企業の場合にも、基盤が確立されてくるミドルステージやレイターステージでは、平均勤続年数が長くなりやすいでしょう。
創立から日が経っている
創立から日が経っている企業は、社員一人ひとりの在籍期間が長い傾向にあり、企業の平均勤続年数も長くなりやすいでしょう。長きにわたり歴史を重ねるなかで、会社の基盤を強固にすべく、社員を育てるための教育プログラムや研修制度などを整備する企業も見受けられます。
古くからの文化も確立される傾向にあり、組織のやり方や価値観に慣れた社員が、長く定着する事例も多いでしょう。加えて、人を大切にする社風や、良質な職場体制が完備されていれば、定着率アップによってさらに平均勤続年数も長くなります。
ベテラン社員の割合が多い
若手社員よりベテラン社員の割合が多ければ、平均勤続年数が長くなりやすいでしょう。たとえば、新卒採用を実施せず、中途採用のみで対応する企業は、積極的に新卒社員を採用する企業と比較すると平均勤続年数が長くなる可能性もあります。
また昔ながらの年功序列制を用いており、年齢や社歴があがるごとに「給与条件がよくなる」「出世のチャンスがある」などの企業でも、ベテラン社員の割合が多くなる傾向にあります。製造業といった熟練の技術が必要な世界も、ベテラン社員の割合が多くなり、平均勤続年数が長くなる業界の1つです。
福利厚生が手厚い傾向
「資格取得のサポート制度」や「各種手当などが充実している」など、魅力的な福利厚生を用意している企業では、退職をとどまる社員も多いでしょう。福利厚生が手厚い傾向にある企業は、社員への安心感や満足度向上などから、平均勤続年数が長くなることもあります。
また昨今の「共働き世帯が多い点」に着目し、産休・育休制度や、子育て中の社員への支援制度を整備および強化する企業も増えています。子育て世代の離職をとどまらせる要素となり、平均勤続年数が高くなる要因になり得るでしょう。
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会社の良し悪しは平均勤続年数ではない!会社選びで大切なこと
会社の良し悪しは、平均勤続年数だけでは判断できません。大切なのは、自分に合う会社かどうかを正確にジャッジすることです。
また、自分に合った会社を選ぶ際には、ポイントを押さえるとよいでしょう。会社選びで大切なポイントは、以下のとおりです。
自分の目的と一致するか?
会社選びで大切なのは、自分の目的と一致する部分があることです。つまり、自分の理想像を叶えられるか否かだと言えます。
たとえば、経験やスキルを習得したうえで、30代の若いうちに独立・起業したいと考えているとします。早くに独立したいケースでは、「短期間で効率的にスキルを習得できる環境」や「経営者の近くで、経営のノウハウを学べる環境」が理想的です。その場合、安定的で各部門が独立しているような大企業よりも、マルチタスクが求められ、経営者との距離が近い「スタートアップ」や「ベンチャー企業」の方が適するでしょう。
やりたい仕事ができるか?
組織全体の平均勤続年数が長く、安定的な会社だとしても、やりたい仕事ができなければなかなかモチベーションがあがりません。平均勤続年数の長さを重視するあまり、業務内容などの細かな部分に着目できなかった結果、後悔する例も見受けられます。たとえば、ひとくちに営業職といっても、既存顧客を相手にする「ルート営業」と、新規顧客を獲得する「新規開拓営業」では、仕事内容もやりがいも異なります。
満足できるビジネスライフを過ごすには、平均勤続年数にとらわれず、やりたい仕事ができるかもチェックすることが大切です。
社風や企業理念が合うか?
社風や企業理念は、自分との相性を判断する重要な要素です。社風は企業が培った文化であり、企業理念は企業の価値観だと言えます。双方ともに共通する部分は、「会社の雰囲気」を表すことです。会社の雰囲気が合わなければ、違和感が生じる可能性も高く、働いていても楽しさややりがいを感じにくいでしょう。
たとえば、「スーツ着用が基本でルールに厳格な会社」と「ラフな私服も可能で、自分達でルールをつくり上げる会社」では、雰囲気が異なります。企業を選ぶ際には、社風や企業理念のチェックもかかせません。
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現在の会社でキャリアを積んできて、そろそろ転職したいと思っているそこのあなた、スタートアップ幹部への転職を検討してみませんか?スタートアップのCxO/幹部にキャリアアップした成功者5名の実例から、スタートアップでの成功に必要なスキルや考え方、そして克服すべき課題などを学びましょう!
まとめ:平均勤続年数はあくまで目安!大切なのは自分との相性
平均勤続年数は、その長短で良し悪しを判別できるものではなく、あくまで目安だと言えます。企業選びでは、「平均勤続年数の長い企業」「平均勤続年数の短い企業」の特徴を捉えたうえで、どちらが自分に合うかを考えることが大切です。
自分と相性がよい企業を見つけたい場合には、転職支援サービスを活用するとよいでしょう。より高みを目指したい場合には、ベンチャー企業やスタートアップのハイクラス転職に強みをもつ「BNGパートナーズ」の転職支援サービスがオススメです。経験豊富な担当者が、多くの企業から、最適な転職先をご提案します。候補先の平均勤続年数が気になる場合にも、詳細をお伝えすることが可能です。
よりよい転職先をお探しの場合には、BNGパートナーズをぜひご検討ください。
将来はCxOで活躍したいと考えている方へ
監修者
人事コンサルタント
髙橋弘樹
約10年の人事労務・採用経験を持ち、製造業や自動車メーカーのグループ企業など4社で活躍。キャリアアドバイスや人事・労務・採用の幅広い実績をもつ。現場での第一線の経験を活かし、充実したキャリアの構築を支援している。