転職にも役立つ!IR情報の見方と見るときの注意点をご紹介

転職をするとき、企業とのミスマッチをなくすために企業研究は必要不可欠です。企業研究を円滑に進めるために、企業の財務状態やミッション・ビジョン、事業の特徴などがまとまったIR情報を活用することがおすすめです。この記事では、転職の際にIR情報を見る目的や、情報を読み解く際のポイントをご紹介します。

目次[非表示]

  1. IR情報とは?
  2. IR情報を見る目的は?
  3. IR情報でチェックするべきポイント
  4. IR情報が見つからない場合のチェック方法
  5. まとめ

IR情報とは?

IR(Investor Relations)情報とは、直訳すると「投資家向け広報」という意味です。株主や投資家が投資する際の判断材料となる情報や、企業の情報提供の活動そのものを指す言葉です。

IR情報には、企業の財務状況が詳細に公開されています。資本市場での評価を知る資料として、投資家や取引先、競合企業、一般の方など多くの人が閲覧する資料となっています。

IR情報を見る目的は?

IR情報は投資家向けの資料で専門用語が多く、読み解くのは難しいものの、転職活動での企業分析に非常に役立ちます。転職活動中の求職者がIR情報を見る目的についてご紹介します。

会社発信のデータから正しい情報を知るため

転職活動の際にIR情報を見る目的の一つ目は、会社の正しい情報を知ることです。

IR情報は企業の一次情報であり、資本金や売上高、営業利益をはじめ、事業の活動状況が事細かく記載されています。一般的な転職サイトや企業ホームページの情報は、IR情報から引用して書かれている場合も多いため、企業研究をするときは最初にIR情報を確認するのがおすすめです。

近年、多くの方が利用するSNSや口コミサイトなどは、発信元の信憑性が低いものもあります。誤った情報で転職先を判断しないためにも、一次情報であるIR情報を確認するのが望ましいでしょう。

事業内容を理解するため

転職活動の際に事業内容を深く理解することも、IR情報を見ることの目的です。IR情報は、企業の役員陣のプロフィール、事業内容、ミッション・ビジョン、決算の概要などが網羅的にまとまっています。

転職サイトや採用ホームページよりも、IR情報の方が利益率や企業課題などが事実ベースで記載されることが多いため、事業そのものを真正面から理解するのに適した資料です。

将来の展望や経営計画を確認するため

転職検討先の企業が、今後どのような方向性で進んでいくのかを確認することもIR情報を読む目的です。IR情報は、現在の企業状況だけでなく、将来の展望や中長期的な経営計画も公開しています。自分の今後のキャリアプランと、企業の将来に重なる部分があるのか、確かめるためにも目を通す必要があるでしょう。

求める人物像を把握するため

転職サイトや求人票に記載のある「求める人物像」は、企業のほんの一部の情報に過ぎません。IR情報にある企業の課題や市場の状況、中期経営計画、ミッション・ビジョンなどを読み込み、「企業が求めている人物像」を自分なりに想像してみることも大切です。

IR情報でチェックするべきポイント

続いて、IR情報で見るべき項目をピックアップして紹介します。

企業の安定性

まずは、企業の安定性を見るために、貸借対照表を確認しましょう。貸借対照表とは、「資産」「負債」「純資産」といった言葉で企業の財務状況を表した資料で、バランスシートとも呼ばれます。
貸借対照表には複数の項目がありますが、まずは深く考えずに、シンプルに純資産が多いかどうかを確認するだけでも良いでしょう。純資産が多ければ多いほど、安定性が高いと解釈ができます。

数年前からの経営成績

次に確認すべきポイントは、数年前からの経営成績の推移です。貸借対照表の純資産が多かったとしても、数年前から比べて純資産が目減りしている企業は要注意です。過去からの変化については、過去数年分の売上高や営業利益をグラフでまとめている財務ハイライトのページを確認すると良いでしょう。
折れ線グラフや円グラフなどで視覚的に理解しやすく、会計や投資知識が少ない一般の方でも読みやすい情報です。

事業別の売上高

企業全体の売上高や利益率などを確認したら、続いて事業別(セグメント別)の数値を見てみましょう。どの事業に最も力を入れているのか、不採算事業はないかなど事業ごとの動きを見ることで、企業の強み・弱みを分析できます。

平均年収

IR情報の中にある有価証券報告書を見ると、従業員の平均年収や平均勤続年数を確認することができます。IR情報から平均年収が読み取れない場合は、厚生労働省が定期的に実施している「賃金構造基本統計調査」を見ると、産業別の平均賃金を確認することも可能です。

社内制度や事業以外の活動

財務状況や平均年収といった数値データに加えて、社内制度や事業以外の活動報告にも目を通しましょう。CSRの取り組みやSDGsを意識した活動をはじめ、多様な人材活躍の推進や働き方改革など、企業ごとに力を入れているテーマは異なります。事業以外の活動内容から、社風や企業の価値観を知ることができるでしょう。

中期経営計画

中期経営計画(または中長期経営計画)を見ると、企業が直近3~5年間に掲げている目標や達成のための計画、ビジョン、組織の強化すべき項目などが分かります。長期経営計画は10年程度、中期経営計画は3~5年程度の期間を指します。

IR情報が見つからない場合のチェック方法

IR情報は企業の広報活動の一環であり、公開するかどうかは任意となっています。IR情報を探しても見つからないときの企業情報のチェック方法を3つご紹介します。

決算公告を調べる

決算公告とは、企業の決算情報を告知することで、株式会社には公開の義務があります。株主や債権者など相手に企業の財務状態を明らかにすることで、安全な取引を行うことを目的としています。決算公告には、次の3つの方法があります。

・官報に掲載する

・日刊新聞紙に掲載する

・電子公告

IR情報が見つからないときは、「企業名+決算公告」でネット検索をしてみてください。

会社四季報で調べる

IR情報が見つからないときは、代わりに会社四季報で企業情報を調べる方法もあります。会社四季報とは、1936年に創刊して以来、中立的な立場で上場企業の情報をまとめてきた情報誌です。四季報の情報は次の12ブロックで整理され、網羅的に企業情報を発信しています。

1.業種

2.社名・事業内容・本社住所・仕 入先・販売先等

3.業績記事・材料記事

4.業績数字

5.前号比矢印・会社比マー ク

6.配当

7.株主

8.役員・連結会社

9.財務

10.資本異動・株価推移・特集企 画・業種・時価総額順位・比較会社

11.株価チャート

12.株価指標

会社四季報は、東洋経済新報社の公式サイトや書店などで購入が可能です。

民間調査会社のデータから調べる

IR情報の代わりに参考となるのは、民間の調査会社が公表しているデータです。企業間取引の参考情報を調べるために、市場調査やリサーチ・マーケティングを行っている民間企業が存在します。
ただし、民間調査会社の提供している情報を見るときは、いつ・誰に対して行った調査なのか、一次情報は何か、どのような調査方法をとったのかなども確認するよう注意しましょう。

まとめ

IR情報は本来、投資家や株主向けの情報ですが、企業の財務状態や事業の強み・弱み、今後の事業計画などを知ることができるため、転職の際の企業分析に役立ちます。IR情報で公開されている中期経営計画とご自身のキャリアプランを重ね合わせて、転職先選びの判断材料にすることもできるでしょう。

IR情報だけでは把握することが出来ないような詳しい企業の内部状況を知りたいと考えている人は、プロの目線でアドバイスをくれる転職サービスを利用するのがおすすめです。

まずはBNGパートナーズの転職サポートに登録して、経験豊富なキャリアアドバイザーにキャリアの相談をしてみてはいかがでしょうか?