BtoBマーケティングや営業活動プロセスに関する分業体制「THE MODEL(ザ・モデル)」。部門の枠を越えて連携することによって営業効率の向上や売上増大に繋げられると近年注目を集めています。この記事では、概要から導入する目的、メリットをご紹介します。
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The Modelとは?
The Model(ザ・モデル)とは、ある世界的なCRMツールを提供している企業が「優れた顧客体験を一貫して提供するため」に活用してきた営業プロセスモデルのことです。
一企業の営業プロセスモデルが、なぜ注目されるようになったのでしょうか?その理由について詳しく見ていきましょう。
注目される理由
The Modelが注目されるようになったのは、主に2つの理由があります。
1つ目は、インターネットの発達によってサービスや商品などの検討をする主導権が「企業側」から「消費者」に移ったことです。あるサービスや商品を購入する際に、インターネットなどで口コミや評価をあらかじめ確認することは、消費者にとって当たり前の習慣となっています。
消費者が常に購入前の調査を行う時代になったため、営業が消費者に対して与える影響も少なくなりました。
2つ目は、サブスクリプション型のサービスやSaaS企業などを筆頭に仕組みやインフラを構築して継続的に収益を上げていくビジネスモデルを用いるサービスが増えていったことです。つまり商品を売ってからがビジネスの始まりになったということです。
サブスクリプション型を筆頭としたサービスは、消費者が利用して満足しなければ契約が終了してしまいます。
そのため企業はあらゆる手段を尽くして、サービスの導入支援から継続的なフォローを行い消費者を満足させなければならない時代となったのです。
こういった時代の変化によって、古くから行われていた「顧客となる会社を自分で探して提案、交渉からアフターフォローまで営業が自分自身で行う」といったやり方が通用しなくなり、多くの企業で営業方法の見直しを迫られるようになりました。
そこに現れたのが「The Model」という新時代の営業プロセスモデルです。
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The Modelの特徴
時代の変化で営業方法の見直しを迫られるようになった現代社会において、The Modelは新時代の営業プロセスモデルとして多くの企業に注目されるようになりました。
The Modelの考え方として特徴的な点は以下の3点です。
・営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する ・各段階を担当する部門間が連携することで、顧客満足度の向上を図る ・カスタマーサクセスを重要な営業プロセスと捉える |
それぞれの特徴について以下で詳しく見ていきましょう。
営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する
企業の営業は、次のようなプロセスで行われます。
【企業の営業プロセス・流れ】
・リード(新規顧客)の開拓 ・電話やメールなどを使ったコミュニケーション ・アポイント ・商談 ・受注・契約 ・契約後のアフターフォロー |
従来の営業方法では、新規顧客の開拓から契約後のアフターフォローまで営業マンが1人で行うことがほとんどでした。
しかしThe Modelでは、上記プロセスに対して営業部門を4つに分けます。そしてそれぞれの部門の担当者が、分業で効率的に営業を進めていくのです。
The Modelによる営業プロセス4つの部門分けと、各部門の役割・目的は以下のとおりです。
【The Modelによる営業プロセス4つの部門と各部門の役割・目的】
営業プロセス4つの部門
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各部門の役割
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各部門の目的
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1.マーケティング部門
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・主にリードの獲得を担当。 ・確度の低いリードに対しては、担当者によるメールのやり取りや様々なコンテンツを用いた顧客育成も行う。 |
・見込み顧客の獲得など
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2.インサイドセールス部門
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・ある程度有望なリードとのコミュニケーションを担当。 ・リードを営業に対してパスできるかどうかの見極めも担当。 ・訪問営業などは行うことなくインターネットや電話でのコミュニケーションを行う。 |
・見込み顧客を商談までつなげる
|
3.フィールドセールス部門(営業)
|
・受注確度の高いリードの営業を担当。 ・商談を行い受注を目指す部門。 |
・商談から契約・受注を目指す
|
4.カスタマーサクセス部門
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・サービス導入から利用後のアフターフォローまで顧客のコミュニケーションを担当する
|
・契約した顧客の継続利用やクロスセルを目指す
|
各段階を担当する部門間が連携することで、顧客満足度の向上を図る
The Modelに基づいた営業方法では、各段階を担当する部門間が連携して顧客満足度の向上を図ります。
たとえば、4つの部門が連携することによって、次のような形で見込み顧客から契約を取り顧客満足度の向上を図っていきます。
1.マーケティング部門がインターネット広告やオウンドメディアを利用して新規リ ード(見込み顧客)を獲得する 2.インサイドセールス部門が見込み顧客とやり取り、場合によっては育成を行う 3.見込み顧客のニーズや課題が顕在したタイミングでフィールドセールス部門につ なげる 4.フィールドセールス部門が商談を行い受注・契約をする 5.契約した顧客に対してカスタマーサクセス部門がアフターフォローや、クロスセルなどを行い顧客満足の向上を図る |
このように見込み顧客の各部門がコミュニケーションをとりながら見極めて、一定の条件に達した段階で次の部門に受け渡していくのがThe Modelによる営業プロセスの特徴です。
カスタマーサクセスを重要な営業プロセスと捉える
ここまで解説してきたように、The Modelは従来の営業プロセスを細分化しているだけなので、契約に至るまではこれまでの営業方法とほとんど変わりがありません。
しかし従来の営業プロセスともっとも違う点は、カスタマーサクセスを重要な営業プロセスと捉えていることです。
従来の営業方法のように、営業マンが一人で全ての営業プロセスを行おうとすると、契約後の顧客に対するサポートがしにくい状況に陥ってしまいます。新規顧客を開拓して契約を受注すればするほど、一人でカスタマーサクセスまで担当することはできません。
The Modelでは、従来の営業方法ではおろそかになりがちだったカスタマーサクセスも重要な営業プロセスと捉えています。
カスタマーサクセスが既存顧客のアフターフォローやサポートを行うことによって、新規顧客を獲得するだけではなく既存の顧客にサービスを長く利用し続けてもらうことが可能となるのです。
このようにThe Modelは従来の営業方法とは異なり、カスタマーサクセスも重視することによって、新規顧客を獲得しつつ既存顧客にもリピートし続けてもらえるための仕組みと言えるでしょう。
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The Modelの仕組み
The Modelの仕組みについて、それぞれの営業部門でどのようなことを行うのか詳しく見ていきましょう。
マーケティング
見込み顧客の獲得を目的とするマーケティング部門では、獲得する見込み顧客の数をゴールとして設定することになります。
・母数:ホームページへの来訪者数 ・成功率:来訪者の獲得率 ・ゴール:潜在顧客から見込み顧客にすること |
このように「来訪者数×獲得率=見込顧客数」と考えて、獲得率を高めるためのマーケティング方法を打ち出していくことがマーケティング部門の主な役割です。
インサイドセールス
インサイドセールス部門が担う役割は、見込み顧客の育成と案件の発掘です。主な業務内容は、マーケティング部門が発掘した見込み顧客に対して営業を行うことになります。
メールや電話など顧客ごとに適切なアプローチを行い、購買意欲が高まった見込み顧客を外勤営業に繋げることがインサイドセールス部門の目標です。
外勤営業
外勤営業の目標は、見込み顧客から案件を受注して契約を達成することです。
インサイドセールスから引き継いだ情報をもとに、顧客に対して商品やサービスの提案や説明を行い、契約まで結びつけます。そのため従来の企業における「営業」のイメージに近いのが外勤営業と言えるでしょう。
インサイドセールスとは異なり顧客と直接対面して営業活動を行うのが一般的ですが、最近ではオンライン営業も増えつつあります。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセス部門が担う役割は、契約後の顧客がどれくらいサービスの利用を継続しているか定着率を追うことです。
契約した顧客に対して積極的にサポートやコミュニケーションを行い、顧客満足度を向上することがカスタマーサクセス部門の目標となります。
顧客とのコミュニケーションを通じて、新しい案件の発掘や別サービスの提案などのきっかけを作るケースも多いです。
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The Modelを導入するメリット
The Modelを導入した場合、次の4つのメリットがあります。
・営業プロセス内の弱点を可視化できる ・専門性を高められる ・The Modelを社内連携が高まる ・失注の掘り起こしができる |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業プロセス内の弱点を可視化できる
The Modelを導入した場合、営業の各部門ごとに目標を設定して業務を行っていきます。
そのため営業プロセス内のどこに弱点があるのか、従来の営業方法よりもより明確に可視化することが可能です。
洗い出された弱点に対してしっかりと対策をすることにより、営業全体の業務効率の向上を図ることができます。
専門性を高められる
従来の営業方法では、新規顧客の開拓からアフターフォローまで1人の営業マンが担当していました。
しかしThe Modelを導入することによって、各部門が専門性を高めて業務を行えるようになります。
マーケティングや問い合わせに対する対応など、各部門のスペシャリストが顧客に対応することができるようになるため、1人の営業マンが営業を行っていた時よりもより効率的に業務を行うことができるでしょう。
社内連携が高まる
The Modelを導入したい場合、社内連携が高まり何かあった時も営業部門全体で対応できるようになるというのもメリットと言えるでしょう。
従来の営業方法では、営業マンが一人抜けてしまうだけで、それまでの営業ルートが途絶えてしまったり、顧客との関係を一から構築しなければならなかったりといった問題がありました。
しかしThe Modelに基づいた営業プロセスでは、部門ごとに業務を行うため、仮に誰かが退職したとしても、従来の営業方法のように営業が機能しなくなるといった心配がありません。
失注の掘り起こしができる
マーケティング部門によって発掘された潜在顧客の全員が、自社のサービスや商品を利用するようになるというわけではありません。
しかしThe Modelに基づいた営業プロセスでは、マーケティング部門による継続したマーケティング活動やインサイドセールス部門による長期的な顧客との関係構築によって、失注していた案件を掘り起こすことができます。
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The Modelを導入する時の注意点
The Modelを導入する場合、次のポイントに注意する必要があります。
・責任範囲を数値で明確化する ・KPIを正しく設定する ・部門同士の対立を防ぐため、ルールを設定する ・体制を整えるためのコストを算出する |
それぞれの注意点について以下で詳しく見ていきましょう。
責任範囲を数値で明確化する
The Modelではマーケティング部門のゴール数値がインサイドセールス部門の母数、インサイドセールス部門のゴール数値が外勤営業部門の母数と連鎖しています。
そのためある部門で成果が出ない場合、他の部門にも悪い影響が出てしまいます。成果が出ない際に、部門ごとで責任のなすりつけ合いが起きることを防ぐためにも、各部門の責任範囲を数値で明確化しましょう。
またチーム同士が対立して組織が分断することを防ぐためにも、同じ目標に向かっていることを意識させることが重要です。
インサイドセールス部門が得た情報を外勤営業部門に対して詳細に伝えるなど、部門を超えた目標のために協力し合うことによって対立を防ぎ業績を上げていくことができます。
KPIを正しく設定する
各部門が設定するKPIは、部門ごとの努力次第で達成できる現実的な数値を設定することが重要です。
現実離れした目標を設定してしまった場合、無理な目標を達成するために検討外れな施策を立案・実行してしまう恐れがあります。
また達成するのが現実的に不可能な目標は、部門全体のモチベーションを低下させてしまうでしょう。
The Modelの効果を最大限発揮させるためにも、各部門が確実に達成できる目標を設定して、次の部門へ、バトンタッチできるようにするのが重要です。
体制を整えるためのコストを算出する
The Modelを導入する場合、営業を部門分けして体制を整える必要があります。
特に従来の方法で営業を行っている企業の場合、インサイドセールスやカスタマーサクセス部門を新たに創設しなければならないケースが多いです。
また各部門が密に連携をするためにも、MA・SFA・CRMツールなどを導入する必要があります。
・MA(マーケティングオートメーション)…マーケティング活動の自動化や効率化ができるツール ・SFA(営業支援システム)…商談管理や顧客管理など営業の効率化や評価ができるツール ・CRMツール(顧客関係管理)…顧客管理を効率化してコミュニケーションをスムーズにとることができるツール |
このように新部門の創設や業務効率化のために欠かせないツールの導入などが必要なため、どれくらいコストがかかるのか正確に算出する必要があります。
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まとめ
The Modelは、営業プロセスが効率化し企業の業績が格段に向上する可能性を秘めている営業モデルです。
時代の流れに即した営業モデルであるため、今後多くの企業でThe Modelに基づいた営業が主流になっていく可能性もあります。
「先進的な営業プロセスを体験してみたい」「時代の流れに即した営業方法を習得することで個人としてのスキルを身につけたい」とお考えの方は、すでにThe Modelを導入している企業に入社するというのも1つの選択肢です。
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