市場調査とは?調査の手法から事例まで紹介

現在の市場の動向や実態・ニーズなどを把握し、マーケティング戦略に役立つ情報を収集する市場調査。この記事では市場調査の手法から注意点などをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 市場調査とは?
  2. 市場調査の種類とは?
  3. 市場調査をする際の注意点
  4. 市場調査の進め方
  5. まとめ

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市場調査とは?

市場調査とは、アンケートや街頭調査などにより、市場の動向やトレンドなどを調査することです。自社商品の認知度や顧客ニーズを分析する際に用いられることもあります。

市場調査の目的

市場調査を行う主な目的は次の通りです。

・マーケティング施策の精度を向上させるため

・自社の強みを見つけて競合他社と差別化するため

・顧客がもつニーズを分析して客観的に理解するため

市場調査を実施することで、上記のような目的を達成することが可能です。

特に、コストがかかるマーケティング施策を実施する際は、市場調査が重要になります。市場調査を行うことでマーケティング施策の費用対効果を向上できるためです。

Web広告やキャンペーンを打ち出す際は、積極的に市場調査を実施しましょう。

マーケティングリサーチとの違い

市場調査は、現状を把握するためのリサーチであるのに対し、マーケティングリサーチは、現状と未来を把握するためにリサーチを行います。

たとえば、市場調査では、競合他社の市場占有率を調査し、現状の把握に努めます。一方のマーケティングリサーチでは、他業種から参入する可能性がある競合他社を調査し、将来的な市場占有率を把握します。

したがって、市場調査は、マーケティングリサーチの一部とも言えるでしょう。

市場調査の種類とは?

市場調査は、下記の2種類に分けられることもあります。

・定性調査

・定量調査

以下にて詳しく見ていきましょう。

定性調査

定性調査とは、数値化しづらいデータを分析するための調査手法です。

たとえば「なぜ白色ではなく青色の商品を手にとったのか」「接客を受けた際にどういった印象を抱いたのか」といった質問をし、回答を集めるという調査方法があります。

定性調査のメリットは、「人の行動原理」「人の感情」といった数値化が難しいデータから共通するポイントやインサイトを把握し、それをマーケティング活動に活かせることです。

具体的な調査方法には次のような種類があります。

調査名
内容
グループインタビュー・座談会
消費者を一カ所に集めてインタビューや討論を行ってもらい、その対話の内容からデータを収集する手法。
デブスインタビュー(面接法)
調査員と消費者が一対一で対話し、データを収集する手法。一対一であるためニーズを深堀りできます。
ミステリーショッパー(覆面調査)
調査員を雇い、消費者として店舗に訪問してもらい客観的なデータを収集する方法。

定量調査

定量調査とは、数値化できるデータを収集するための手法です。たとえば、消費者の年齢、利用日時、人数などが挙げられます。

定量調査では、基本的に「はい」「いいえ」の2択で回答を収集するため、結果を明確に把握することが可能です。

ただし回答した人の心理や感情などを把握できないというデメリットがあります。そういった定量調査で見えてない感情や心理といった部分は、前述した定性調査と照らし合わせることで把握することが可能です。

よって、定性調査と定量調査をうまく使い分けることが重要であると言えます。

基本的な定量調査の手法は次の通りです。

調査名
内容
ABテスト
AとB、2つのパターンを用意し、
どちらがより良い結果を得られるのか計測する手法。
主にWeb広告やホームページなどで利用されます。
アンケート調査
インターネットや該当アンケートなどを通じて顧客に質問し、
回答を集計・分析する手法。低予算で効率的に調査を行えます。

市場調査をする際の注意点

市場調査をする際の注意点は次の通りです。

・仮説を立てる

・目的を明確化する

・調査ターゲットがブレないようにする

それぞれの注意点について解説します。

仮説を立てる

市場調査を実施する際は、事前に仮説を立てておきましょう。仮説を立てることで、問題意識をもって調査できるうえに、マーケティング戦略の立案や改善を効率的に行えるためです。

たとえば「仕事終わりに外食する人は、既婚者より独身者のほうが多いだろう」「20代の会社員は、InstagramよりTwitterを利用する機会が多いだろう」といった仮説が考えられます。

こういった仮説を事前に立てることで、結果に応じたマーケティング施策をスムーズに展開することが可能です。

目的を明確化する

市場調査の目的を明確化しておくべき理由は次の通りです。

・適切な調査手法を選択しやすくなる

・売上や集客につながるマーケティング戦略の立案や改善をしやすくなる

たとえば「自社の製品に興味をもつ人の属性を把握したい」という目的を設定することで「年齢層を知るための調査」「男女比率を知るための調査」など、調査の内容を細分化することが可能です。

また、前述の通り、調査の手法はアンケート調査や覆面調査など多岐にわたります。そのため、事前に目的を明確にしておかなければ、適切な調査手法の選択を誤ってしまう可能性があります。よって、目的を明確にしておくことは非常に重要だと言えるのです。

調査ターゲットがブレないようにする

調査ターゲットがブレないよう、調査の条件やターゲットを具体的にしておくことも大切です。

たとえば「40代以上が使っているスキンケア商品を調査する」という内容では、50代・60代の調査結果が含まれるため、結果にバラつきが生まれやすくなります。

そのため、調査条件は、調査の目的に応じた具体的な内容にすることが大切です。スキンケア商品の例であれば「40〜49歳の女性が週に1回以上使っているスキンケア商品の調査」といった内容が望ましいでしょう。

市場調査の進め方

市場調査は下記のステップで進めましょう。

1.調査目的を明確化

2.調査期間を決定

3.調査予算を決定

4.情報を収集

5.調査方法を選択

6.調査を設計

7.調査を実施

8.調査結果の分析

9.分析結果をもとに意思決定

各ステップごとに詳しく解説していきます。

調査目的を明確化

調査目的の明確化は、市場調査を行ううえでもっとも重要になります。調査目的が曖昧な状態で市場調査をすると、予算や時間を無駄にしてしまう可能性があるためです。

また「調査結果を何に活用するのか」を決めておくのもポイントとなります。調査結果の活用パターンを明確にすることで、スムーズな意思決定につながるためです。

たとえば「自社製品Aの売上が停滞している原因を明確化する」という目的の場合、「原因を明確にし、4月からスタートさせるマーケティング戦略に反映させる」といった活用パターンが考えられます。

調査期間を決定

市場調査は、経営やマーケティング戦略で意思決定を行う際に活用するものであるため「いつまでに分析結果があればよいか」という視点から逆算し、調査期間を決定します。その際に、市場調査の期間を区切るのもポイントです。

たとえば、インタビュー調査の場合、次のように調査期間を設定します。

・設計準備→1週間

・対象者の選定と実施→2週間

・結果の分析→1週間

調査期間を区切ることで、事業全体の遅延を防ぐことにもつながります。

調査予算を決定

市場調査は、予算をかけずに行うこともできますが、調査会社に依頼する場合はそれなりの費用がかかります。

「とりあえず調査会社に依頼しよう」などと大雑把なやり方をしてしまうと、必要以上の費用がかかってしまうことがあるため注意しましょう。

調査予算の設定は、市場調査に得られる効果をどのくらいに見積もるかがポイントとなります。

情報を収集

知りたい情報がある際はまず、各調査会社や国(厚労省や交通省など)が公表していないかをチェックしましょう。これをデスクリサーチと言い、欲しかった情報を無料で手に入れられることもあります。

ただし、インターネット上の情報を参照する場合は「データ元を信用して良いか」という視点をもつことが大切です。

調査方法を選択

次に調査方法を選択しましょう。

調査方法を決める際はまず、定量調査と定性調査のどちらが適しているのかを決めます。

定量調査と定性調査については、前述した『市場調査の種類とは?』で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。

調査を設計

調査方法を選択したあとは、調査目的を達成するための調査設計を行います。

調査設計で決めたいポイントは次の通りです。

・誰にヒアリングするか(調査対象者)

・どれくらいの規模で調査するか(対象人数)

・どのようなテーマを設定するか(聴取内容)

分析することをイメージしながら設計を行うことで、必要事項を漏れなく反映できます。

調査を実施

実施の前に、調査したい内容を具体化しましょう。

たとえば、インタビュー調査であれば質問内容を決め、アンケート調査であれば設問や選択肢を決めます。

調査内容を具体化する際の注意点は次の通りです。

・専門用語や業界用語を入れない

・誘導的な質問や設問を入れない

・誰でも回答できる選択肢を用意する

・質問の順番によって回答バイアスがかからないようにする

具体化した内容は、一度ほかの従業員に見てもらうなどして客観的な視点で添削してもらいましょう。

調査結果の分析

市場調査を実施したあとは結果を分析します。

定量調査の場合は、数値を集計して傾向を分析します。定量調査の場合は、対象者の言動や発言を書き出し、内容ごとに分類して分析しましょう。

また、丁寧に分析することは大切ですが、細分化しすぎると全体像を見失うリスクがあります。そのため、全体の傾向を捉えることと、個々のデータを掘り下げること、この2つの視点をもつことが大切です。

分析結果をもとに意思決定

分析結果が出たらすぐに意思決定を行います。また、共有すべき人に結果を見てもらい、具体的なアクションに落とし込む作業も必要です。

分析結果を活かし、調査目的を達成するための糸口を探しましょう。

まとめ

本記事では「市場調査の意味や種類」「市場調査のやり方」などを紹介しました。

市場調査の実施には、手間や費用がかかりますが「売上の向上」「売れる商品の開発」などの糸口になる効果的な手段の一つです。

市場調査を実施する際はしっかりとした事前準備を行い、無駄なく効率的に進めていきましょう。