スタートアップ/ベンチャーのフェーズとは?社員数や資金調達規模の目安を解説

似たイメージを持たれやすいスタートアップとベンチャー。その成長フェーズにも違いがあります。この記事では、スタートアップやベンチャーのフェーズを社員の数や資金調達規模を目安にご紹介いたします。

目次[非表示]

  1. スタートアップとは?
  2. スタートアップの成長フェーズとは?
  3. ベンチャーの成長フェーズとは?
  4. スタートアップで陥りやすい課題とは?
  5. まとめ

スタートアップとは?

スタートアップとは、核心的なビジネスモデルをもち、急速な成長を遂げながらIPOを目指す創業2~3年程度の企業を指します。

ベンチャー企業との違いは「創業年数の長さ」「社会にイノベーションを起こすような革新的なビジネスモデルを有しているか」といった点にあると言えるでしょう。

スタートアップとベンチャーの違いが気になる方はこちら

スタートアップの成長フェーズとは?

スタートアップの成長フェーズは下記に分けられます。

・シード期

・アーリー期

・ミドル・グロース期

・レイター期

以下では、各フェーズについて詳しく解説します。

シード期

シード期は、社内で生まれたビジネスアイデアを市場に展開するかどうかを検討するフェーズです。よって、アイデアがあるものの製品・サービスが完成していない、またはプロトタイプのみが完成している状態の企業を指すことが多く、従業員も3〜5人程度と小規模です。

このフェーズでは、ビジネスアイデアを市場へ展開するかどうかを検討している時期であるため、事業計画書の作成や市場調査などがメインの業務になります。

また、具体的な成果や実績がないことから資金調達が難しい時期でもありますが、資金を必要としないケースがほとんどなため、資金調達を行わない企業も多いです。起業主の自己資本や周囲からの援助で切り盛りするケースもあります。

アーリー期

アーリー期は、会社の運営ができる程度の利益を得るために、必要最小限の商品・サービスを開発・販売しているフェーズです。顧客からフィードバックをもらってビジネスモデルを改善しつつ、今後の事業戦略をより強固なものにするフェーズでもあります。従業員の規模は大体5〜20人ほどです。

自社の商品・サービスを認知してもらうためにホームページを作ったり、SNSを運営したりするのが主な業務です。

アーリー期では、事業を動かすために100〜1,000万円規模の資金調達を行う企業が増えます。まだまだ大きい額ではありませんが、事業が本格化していないため資金調達が難しいでしょう。なお、アーリー期では個人投資家やシートアクセラレータなどから融資してもらうケースが多いです。

ミドル・グロース期

ミドル・グロース期は、改善によりビジネスモデルが強固なものとなり、収益が安定しはじめるフェーズです。

成長フェーズに入った段階をミドル・グロース期と呼ぶこともあり、拡大に力を入れるため20人以上の規模になる企業もあります。

ミドル・グロース期に入ったスタートアップ企業は、無料で提供していたプロトタイプを有料に切り替えたり、無料プランに有料オプションを追加したりといった戦略をとる企業が多いです。急激な売上増加により、収益が数倍以上になる企業もあります。

ミドル・グロース期になるとビジネスモデルもしっかりしているため、VC(ベンチャーキャピタル)や投資家から出資の打診を受けることが増えます。事業をグロースさせるために攻めの投資を行う段階でもあるため、5,000万〜1億円規模の資金調達を行う企業が大半を占めます。

レイター期

レイター期は、事業が軌道に乗り、収益が安定しはじめたフェーズです。黒字状態が続き、予算も潤沢になるため、新たな事業を展開したり、海外展開したりする企業も増えます。このフェーズにくると、従業員30人以上の規模になる企業がほとんどです。

またレイター期のスタートアップ企業は、実績と認知度があるため、資金調達も非常にしやすくなります。しかし、さらなる事業拡大に向けてIPO(株式公開)を行うフェーズであるため、数十億円規模の資金調達を必要とするケースが多いです。

ベンチャーの成長フェーズとは?

ベンチャーの成長フェーズも、スタートアップ企業と同じく下記に分けられます。

・シード期

・アーリー期

・ミドル・グロース期

・レイター期

スタートアップ企業の成長フェーズとは異なる部分もあるため以下にて解説します。

シード期

ベンチャーのシード期は、ビジネスアイデアはあるものの、まだ商品・サービスができていない、もしくはプロトタイプのみが完成しているフェーズです。シード期では、プロトタイプのフィードバックをもらって改善を行ったり、市場調査をしたりするのが主な業務になります。

フェーズや主な業務内容はスタートアップ企業とほとんど変わらないため、資金調達も数百万程度と小規模になるケースが多いです。調達方法は自己資金、身内や親戚からの支援などがメインになります。

アーリー期

アーリー期は、必要最低限の商品・サービスを開発しては顧客からフィードバックをもらい、改善を繰り返していくフェーズです。事業拡大の糸口を見つけるためのマーケティング活動も本格化しはじめますが、まだまだ赤字の状況は続くでしょう。

赤字の状況は続くものの、商品・サービスをブラッシュアップするための人件費や研究費がかかるため資金調達が重要になります。とはいえ、実績がないため調達が難しく、中々まとまった資金が手に入りません。そのため、補助金や助成金といった国からの支援金を得て資金に充てるベンチャー企業も多いです

ミドル・グロース期

ミドル・グロース期は、商品・サービスに顧客がつきはじめ、成長が加速していくフェーズです。ユーザー数の増加に伴い、売上も大幅に拡大します。

しかし、営業や研究開発、雇用やオフィスの拡充に必要な予算も非常に多くなるため、赤字を背負う企業も少なくありません。そのため、ミドル・グロース期では厳格な現金管理を行い、破産を避ける努力が必要になります。もちろん出費を抑えるだけでは運転資金が足りなくなるため、VCや銀行などから資金調達を繰り返すこともあるでしょう。

また、ミドル・グロース期では、増えた従業員を統制するための人事制度を確立したり、企業文化を醸成させたりすることも重要になります。

レイター期

レイター期は、損益分岐点を超え、単月での黒字が続く安定したフェーズです。具体的には50人以上の従業員を抱え、売上高30億円を超えるようなベンチャー企業がこの段階にいます。

大手企業と協業する機会が増え、世間への露出度も上がるため、いわゆる「ベンチャー企業」ではなく「ひとつの企業」として見られるようになるでしょう。

レイター期に入ると、IPOを通じてさらに事業を拡大させる動きも出てきます。そのため、大手VCや証券会社を通じ、数億円の資金調達を行う企業も多いです。

スタートアップで陥りやすい課題とは?

スタートアップで陥りやすい課題を下記4つに分けて紹介します。

・顧客編

・予実管理編

・人材リソース編

・資金調達編

以下では、スタートアップが直面しやすい課題とその時期について解説します。

顧客編

シード期のスタートアップは、顧客が獲得できないという課題に陥りやすいです。資金調達が難しく、集客にコストをかけにくいのが主な要因だと考えられます。そのため、シード期では限られた資金の中で顧客を獲得しなければなりません。

顧客を獲得するためには、商品の改善とマーケティング活動を同時進行させる必要があります。具体的には、SNSやWebサイトを活用したコンテンツマーケティングなど、低コストで成果につながる施策を実施しつつ、顧客からのフィードバックをもらって商品の改善を進めます。

また顧客の獲得に加え、企業を存続させるために必要な費用を考慮しながら活動を続けていくことも大切です。

予実管理編

アーリー期では、予実管理に課題感をもつ企業が増えます。シード期よりも売上は伸びますが、その分、商品開発や人材の採用にかかるコストも急増するため予実管理の重要性が増します。予実管理ができていなければ運転資金が底を尽きるため、企業の存続に関わるでしょう。

そのため、自社の売上だけで事業を運営できない場合などは、銀行による融資や投資家からの支援を得る必要があります。とはいえ、やみくもに資金調達をしても延命措置にしかならないため「返せる目途はあるか」「2〜3年先を見通していくら必要なのか」を明確化することが大切です。

人材リソース編

ミドル・グロース期では、人材リソースに課題をもつ企業が増えます。事業の拡大に伴い、必要な人材が増えるためです。

また従業員が増えると、企業風土の醸成や社内ルールの設定などが必要になります。人材を他社に流出させないための公平公正な評価制度の設定も求められるでしょう。社内環境が安定すると成長フェーズであるレイター期へスムーズに移行できます。

しかし、公平な評価基準の設定や企業風土の醸成は難しいです。設定が上手くいかなければ他社へ流出する人材が増え、採用コストを無駄にしてしまうことになります。そのため、ミドル・グロース期では、人事業務の遂行に長けた人材を登用するなどして、しっかりとした基盤を構築することが大切です。

資金調達編

レイター期では資金調達面での課題を抱える企業が増えます。さらなる事業拡大や海外進出などに向けて多額の資金が必要になるためです。

また、資金調達に向けてのIPOでさまざまな課題が顕在化するケースもあります。たとえば「勤怠管理をずさんに管理していたせいで多額の残業代が未払いになっていた」「コンプライアンス意識の統制がとれていなかったため監査結果が悪かった」など、さまざまな課題が出てくるケースは多いです。IPOに向けた社内制度の変革に納得できず、優秀な従業員が外部へ流出してしまうこともあるでしょう。

こういった課題や失敗を避けるためにも、スタートアップ企業は、早い段階からIPOを意識することが大切です。とくに給与面、会計、必要書類などの管理は重要になります。

まとめ

本記事では「スタートアップ企業の成長フェーズ」「スタートアップが抱えがちな課題」などを紹介しました。スタートアップは、事業の急成長に伴い、各フェーズでさまざまな課題が顕在化します。そのため、各フェーズの課題ごとにスペシャリストを迎え入れ、課題解決につなげようとしている会社が多くあります。

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