最高管理責任者「CAO」の役割は?目指すためのスキルやキャリアパスをご紹介

最高総務責任者の意味をもつCAO(Chief Administrative Officer)。経理など総務に関する業務執行を統括するのはもちろん、内部監査の結果を分析し改善する役割を担っています。この記事では、CAOの役割や他の役職者との定義の違いから、求められる資質までをご紹介します。

目次[非表示]

  1. CAOとは?
  2. CAOの仕事内容
  3. CAOに求められる資質とは?
  4. CAOを目指すためのキャリアパスとは?
  5. まとめ

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CAOとは?

CAOとは、”Chief Administrative Officer”の略で、日本語では「最高管理責任者」または「最高総務責任者」となります。CAOの主な役割は、企業の総務、経理、営業といった各部門を横断的に取りまとめること。全社の業務を管理して従業員にとって働きやすい環境をつくり、パフォーマンス向上を図ることもあります。

ときには内部監査を中心となって行い、結果に応じて企業の体制を見直すのも仕事の一つ。CAOはバックオフィスから企業をサポートする縁の下の力持ち的な存在です。

企業によってはCAOを「Chief Analytics Offcer(最高分析責任者)」と訳す場合もありますが、本記事では「Chief Administrative Officer(最高管理責任者)」として解説いたします。

CAOと役職者の違い

CAOと総務部長は混同されることが多いですが、厳密には異なります。総務部長とは、企業を経営していく中でうまれる、多種多様な業務を取りまとめる部門(総務部)の長を指します。幅広い業務をこなし、全社をバックアップするという点はCAOと同じです。

しかし、CAOは業務のバックアップだけでなく、内部監査、経営企画、財務管理など、経営の根幹に関わる仕事にも携わります。そのため、CAOには総務部長が担う役割に加え、専門性の高い知識や視野の広さなど、さらに高度なスキルが求められるのです。

CAOと財務部長の大きな違いは「経営に関わる業務を担当するかどうか」にあると言えるでしょう。もちろん財務部長が経営に関わる業務を兼任する場合もありますが、CAOはさらに高いレベルで経営に関する知見を求められます。

CAOの仕事内容

CAOの主な仕事は次の通りです。

・株主総会や取締役会などの手続きを議事録に記録

・保管が義務づけられている文書や書類などの管理

・内部監査の実施および分析と改善案の作成

それぞれの仕事内容について解説します。

株主総会や取締役会などの手続きを議事録に記録

CAOは、株主総会や取締役会などの手続きを議事録に記録する役割があります。株主総会では、社内で行われる会議での議事録とは違い、さまざまな知見が求められます。

たとえば、議事録を作成する際は、株主総会や取締役会で取り扱われる表題を事前に理解しておかなければなりません。議事や決定事項などの要点をまとめる際には、表題や経営に対する理解度も求められます。

また、議事録は鮮度が重要であるため、マルチタスクをこなしながら業務の優先順位を決め、速やかに書類を提出する業務スピードも必要となります。

保管が義務づけられている文書や書類などの管理

保管が義務づけられている文書や書類を管理するのもCAOの仕事です。

保管が義務づけられている書類とは、たとえば「取引に関する帳簿」「決算に関する書類」などが挙げられます。先ほど紹介した株主総会や取締役会の議事録も保管義務があります。

近年では、ペーパーレス化の推進もあり、紙で発行された書類をデータ化して保存する場合もあるでしょう。その際は、電子帳簿保存法に則り、正しく保存することが求められます。

日々変化している外部環境や法律に適応し、柔軟に社内システムを変化させていくこともCAOの大切な仕事です。

内部監査の実施および分析と改善案の作成

CAOは、内部監査の実施、および分析に基づいた改善案の作成を担う場合もあります。

内部監査は、経営目標を達成するために行われる業務であるため、企業の経営方針や経営戦略への理解が必須。そのうえで、企業を客観的に見て公平な判断をくだします。

内部監査には、内部統制に関する専門性の高い知識に加え、閲覧力や質問力、監査結果を正確に表現する文書力も求められるでしょう。

内部監査を実施したあとは、調査結果、評価、提案などの内容をもとに改善案を立案し、経営改善へとつなげるのもCAOの役割です。

CAOに求められる資質とは?

CAOに求められる資質は次の通りです。

・資質1:総務をはじめ、人事や法務、財務などの専門知識

・資質2:コーポレート部門全体の内部統制を推進する実行力

・資質3:DXをはじめとした戦略構築・事業企画能力

CAOになるために必要な知識・スキルについて見ていきましょう。

資質1:総務をはじめ、人事や法務、財務などの専門知識

CAOには、総務をはじめ、人事、法務、財務などの専門知識が求められます。「CHRO(最高人事責任者)」「CFO(最高財務責任者)」が設置されている企業であれば、フォロー程度の役割になりますが、設置されていない場合は、CHROやCFOが行う仕事を担当します。

CAOは企業が抱えるリソースや経営目標を考慮したうえで、必要な業務全般を担当する役割もあります。

資質2:コーポレート部門全体の内部統制を推進する実行力

CAOには、コーポレート部門全体を巻き込み、内部統制を推進する実行力が求められます。また、内部統制を実行する際に必要なプロセスを構築するスキルも必要です。

内部統制では「業務の効率性・有効性」「財務報告の信頼性」「試算の安全性」など、あらゆる面を考慮したうえで社内システムに業務を取り込みます。このプロセスを的確に構築するためには、経営の基礎知識を超えた専門性の高い知見が求められます。

CAOはそういった専門性の高い知見や社内の現状を嚙み砕いて全社に共有し、改善案を実行していく推進力も必要です。

資質3:DXをはじめとした戦略構築・事業企画能力

CAOは、DX(デジタル技術の登用による変革)をはじめとした戦略構築・事業企画能力も求められます。

たとえば、DX化を進める際は、社内リソースと中長期的な運営による費用対効果を計算し「どういったデジタル技術を登用するか」を考えることからはじめます。全社でDX化に取り組む場合は、部門の垣根をこえた横断的な推進が必要になるでしょう。

また、戦略構築・事業企画能力の面では、人事、経理、マーケティングといった多角的な視点から経営戦略の立案に参画します。場合によってはCEOが立案した経営戦略に対し、成功の一助となるアドバイスを求められることもあるでしょう。

CAOを目指すためのキャリアパスとは?

CAOを目指す際に必要となるキャリアパスは次の通りです。

・転職を通じたキャリアアップ

・成果を出して出世する

・取引先などからヘッドハンティング

CAOになるためにはどういったキャリアや経験が求められるのでしょうか。以下にて見ていきましょう。

転職を通じたキャリアアップ

CAOへの道としてもっともポピュラーなのが転職を通じたキャリアアップです。

総務、人事、法務での経験を積み、キャリアアップする形でCAOに転職するケースなどが該当します。その他に、財務、経理、経営企画といった経営ベースで経験を積んだ人が、人事や法務に幅を広げる形でCAOになるケースもあります。

いずれにしても、総務での経験や事業の立ち上げに携わった経験などは必要不可欠になると考えてよいでしょう。

ただ注意点として、CAOを含むCxO人材の求人は、一般的な転職サイトで扱っていない点に留意しておかなければなりません。

CAOに転職する場合は、ハイキャリア向けの求人を専門に取り扱うBNGパートナーズのような転職エージェントを利用するのが一般的です。BNGパートナーズは、ハイキャリア向け求人の中でも、CAOを含むCxO求人を豊富に取り扱っており、その求人数は2,000件以上にもなります。CAOへのキャリアアップや転職を考えている人はぜひ活用してみてください。

参考までにCAOへのキャリアパス事例についてご紹介します。

Aさん 43歳

スポーツ関連企業 店舗マネージャー

教育ベンチャー CAO

経歴:マネージャーの経験を経た後ジェネラリストとしての強みを活かした総務、労務関連のキャリアを形成し教育ベンチャーのCAOへ。

Bさん 47歳

大手IT企業 カンパニー部長

Webマーケティング企業 CAO

経歴:大手企業の総務、労務領域でキャリアをスタートさせ企業合併やファンド対応等カオスな環境を取りまとめる推進力を活かしてWebマーケティングのCAOへ。

成果を出して出世する

成果を出して出世し、CAOになる方法もあります。総務部長や管理部門などでの経験を経て、内部統制を実行し、経営目標の達成に導くなどの成果を上げれば、CAOへの出世も見えてくるでしょう。

ただし、CAOの普及はまだまだ進んでいないため、企業によってはそもそもCAOが設置されていないケースも多いです。CAOが設置されていない場合は、転職によるキャリアアップが一番の近道になります。

十分な経験と実績がある人であれば、CAOとして転職できる可能性があるため、CxOの求人を取り扱う転職エージェントなどに相談してみるとよいでしょう。

ちなみに、CAOには下記のようなスキルが求められることが多いようです。

【スキル・条件】

・上場企業での業務経験

CEOの側近として経営に参画した経験

・大手企業の管理部門で統括業務に従事した経験

・部門の最高責任者としてバックオフィスを統括した経験

上記の例はあくまで一例となっていますので、参考程度に見ておきましょう。

取引先などからヘッドハンティング

取引先などからヘッドハンティングを受けてCAOになるケースもあります。

内部監査をはじめ改善案の立案・実行を務めた経験」「社内システムの改善や経営戦略の実施を横断的に推進した経験」などの実績が認められればヘッドハンティングを受ける可能性が高まります。

ただし、ヘッドハンティングは運の要素もあるため注意が必要です。実績を積む中で、良いご縁があればそのままCAOとしてキャリアをスタートできますが、必ずしもそうなるとは限りません。CAOになりたい場合は、事前にキャリアプランを構築しておくことが大切です。

「どんなキャリアプランを構築するべきか分からない」という人は、業界や経営層との深いつながりをもっている転職エージェントに相談することをおすすめします。

まとめ

本記事では「CAOの仕事内容」「CAOに求められる資質とキャリアパス」などを紹介しました。

CAOは、バックオフィスから全社を支えるスペシャリストで、その業務内容は多岐にわたります。さまざま経験やスキル、知見が求められるため一足飛びでの転職は難しいかもしれません。ただし、CxO人材の求人を専門的に取り合うBNGパートナーズに相談すれば、CAOへのキャリアを開ける可能性が大いにあります。

これまでジェネラリストとして多岐にわたる業務をしてきたが自分のキャリアアップ軸が分からない」という疑問や不安をもっている人は、2,000件以上の求人をもっているBNGパートナーズに相談してみてはいかがでしょうか?