「3年で会社を10倍に」挑戦し続ける組織の作り方

テモナ株式会社 佐川 隼人 氏

佐川 隼人 氏

佐川 隼人 氏

テモナ株式会社 代表取締役社長

テモナ株式会社 代表取締役社長 佐川隼人氏。1980年生まれ。18歳で最初の起業後、留学やシステムエンジニアなどの経験を経て、大阪から東京へ上京。4度目の起業でテモナを設立した。「すべてのビジネスをサブスクリプションに転換させたい」という信念のもと、事業者・生活者と「共にある企業」を目指し、奮闘する。日本サブスクリプションビジネス振興会代表理事。

「事業者のビジネスと、生活者の暮らしをてもなく(簡単に、たやすくする)」という理念を掲げ、サブスクリプションに特化したサービスを提供するテモナ。2017年に東証マザーズ上場、そして2019年4月に東証一部上場を果たし、成長を加速させる。代表取締役社長の佐川隼人氏は、挑戦し続けるための組織をどのように作ってきたのか。創業期の失敗、採用におけるこだわり、人材育成など話を伺った。

失敗を乗り越えて4度目の起業、テモナ拡大の変遷

現在約100人のメンバーを抱えるテモナ。実は創業期に、採用した15名中14名が辞めてしまうという失敗を経験している。なぜ大量離職が起こってしまったのか。そして危機を乗り越え、どのように立て直しを図ってきたのか。メンバー集めのストーリーを伺った。

ー 創業期のメンバー集めは、どのように行っていたのですか。

佐川氏:もともと大阪で起業していたのですが、その会社が続けられなくなってしまったんです。お付き合いがあった東京のクライアントに相談をしていたら、場所を提供してくださることになり、メンバー2名と2008年に上京。テモナを設立しました。

当初は労働集約型の受託開発という事業からはじめました。リーマンショックの影響もありとにかく会社は不安定で、今月の売上が立つのか、立たなければ会社がつぶれてしまうというギリギリな状態で、ストレスも大きかったです。そこで、自社のビジネスモデルをサブスクリプションにし、お客様にもサブスクの支援商品を提供することを考えました。

2009年9月に、 サブスク専門のカート付き通販システム 「たまごカート」をリリース。当時はどこにもないサービスだったので、お客さんにも喜んで頂きました。自社の収益も積みあがっていき、採用活動ができるようになるのは、そこからですね。メディアに掲載し、中途採用で15人が集まりましたが、結果から言うと、そのうち14人は3か月以内で辞めてしまうんです。

ー 14人が辞めてしまった原因は何だったのでしょうか。

佐川氏:それまでは創業メンバーでやっていたので、忙しくてもツライと感じることはなかったし、楽しかった。でも、後から入ってきたメンバーたちは、同じ熱量で働くのは難しかったのだと思います。15人も採用したにも関わらず、14名が辞めてしまうという悲惨な結果で、会社も危機に陥りました。

クライアントは増えているのに生産性は上がらず、クレームは増える。コストばかりかかりお金も無くなっていく。なぜこんなことになってしまったんだろうと、切羽詰まって考え、先輩の経営者に話を聞いたり、経営の本を読みまくったり。そこではじめて気づいたんですよ。そうか、この会社には理念がないと。

会社がなぜ存在していて、どこに向かっていきたいのか。どういう価値観を大事にしているのか、どういう人に来てほしいのか。そういう理念経営が重要なんだと、その時腹落ちしました。そこでホテルに3日間こもって、自分が大事にしている想いをとにかく書き出して、言語化し、理念を作りました。そこから、会社の立て直しをはかっていきました。

出典:テモナホームページより

ー その後の採用は、どのように進めましたか?

佐川氏:失敗から「理念」を作ったので、理念に深く共感してくれる人が欲しかった。そこで、3期目から中途採用は一切やめて、新卒採用に絞ったんです。新卒の子たちは、想いや価値観に共感して入社してきてくれるので、私らもすごく楽しくて、定着率も上がりました。

ただ、新卒メンバーには教育コストがかかりました。やる気はあるし、行動量は多いけれど、経験やスキルはない。教えないとできないことが多いので、最初はカオスでしたね(笑)。

人数が少ないときは手取り足取り教えてあげられたのですが、30人まで増えると、目が行き届かないところもある。上場準備をはじめていたこともあり、きちんと組織を作っていかなくてはと思うようになりました。

二度の上場で組織はどう変わったか

テモナは2017年4月に東証マザーズ、2019年4月に東証一部上場を果たした。一度目の上場では「組織づくりで失敗があった」と、佐川氏は振り返っている。どのような事態が起き、どう乗り越えてきたのだろうか。

テモナのエントランスには上場通知書や記念の木槌などが飾られている。

ー 場で組織はどのように変わりましたか。

佐川氏:私が一番後悔していることは、一度目の上場の際「上場のための組織」を作ってしまったことです。たとえば受験は合格がゴールではなく、大学に入ってから何を学ぶかが大事ですよね。それと同じように、上場はそれ自体がゴールではありません。私らは成果を出し続け、挑戦し続ける組織を目指していたはずだったのですが、いつの間にか、会社は「上場のための組織」に変わっていました。

挑戦していない、わくわくしていない、成果が出ない。実際に社員たちも、ベンチャーっぽくないと言っていました。経営することと、上場することはまったくイコールではない。私の中では、失われた2年だったと思います。

ー 組織を変えるために、その後どんなことに取り組みましたか。

佐川氏:何のための上場だったのか、何のために事業をやっているのか、足りないものは何か、話し合いを重ねて考えました。そして、「3年でこの会社を10倍大きくする」という大きな目標を掲げたのです。挑戦するための目標が高ければ高いほど、やり方を変えていかないといけない。そういう環境を作っていったのです。

例えば、1か月で100万円集めるというミッションと、1か月で1億円集めるというミッションがあったとします。時間は一緒ですが、質が全然違いますよね。

私はこれが本質だと思っています。「3年で10倍」にするという目標を掲げたとき、最初はほんとにできるのかなとみんなが思っていました。でも、達成のために逆算して事業や戦略を考え、必要な人材採用を続けていたら、そういう人たちが入ってくるようになるんです。1年経ったらみんなが、「この目標絶対行ける」に変わっていました。

また、採用に関しては新卒から中途にシフトしました。新卒メンバーの視点を変え、急成長を促すためには、まったく違う環境でやってきた人を投入する必要があったからです。新卒のメンバーは、とても会社に対する愛情が強いし行動力もありますが、経験値は少ない。経験のある人が戦略を実行していく背中を、新卒のメンバーに見せながら、一緒にひきあげていくようにしました。

新卒と中途採用は、役割はそもそも違いますし、それが組織のあるべきバランスではないかと考えています。こうして、今やっとベンチャーらしい、挑戦できる組織ができたと思います。

課題を解決できるかどうかは本質的には自分次第。当事者として向き合える人がテモナの求める人材だという。

ー 他に、組織を強くするための取り組みはありますか。

佐川氏:初期のころからやっている「ぶっちゃけ大会」という制度があります。3か月に1回、アジェンダを出し社内でぶっちゃけ合うというもので、課題解決のために当事者意識をもって行動するための仕組みです。

私は「思っていることを居酒屋で言うな」と良く言います。ただの愚痴は生産性がゼロだからです。不満や不平を解決するのは、会社でも上司でもなく、本質的には自分の役割だと思っているんです。だからこそ、ネガティブなことでもぶっちゃけて合い、意見をもらったり、支援を得たり、解決する方法を見つけていく場が必要で、それが「ぶっちゃけ大会」です。

「率先してぶっちゃけ合う」というのは、テモナの行動指針のひとつであり、価値観ですね。

BNGパートナーズを利用し、幹部人材を採用

ー 幹部の採用について教えてください。

佐川氏:先ほど話した通り、3期目からは新卒採用のみで人材を集めていました。しかし、上場準備での組織づくりや、新卒メンバーを教育していくためにも、幹部人材の組閣が必要だと感じていました。BNGさんとのお付き合いは、その頃からになります。これまでにCFO、COOなどを紹介していただき、採用しています。

これは個人の感覚なんですが、エージェントが連れてくる方は、いい意味でも悪い意味でも「丸っこい人」が多いような気がしているんです。尖っていない、バランス型の方が多い。

組織にはまりやすいけど、突き抜けていない人材というイメージです。でも、BNGさんから紹介頂く方は、突き抜けた人材が多いので、うちが求めている人材にフィットしていると思います。

非連続な変化と成長で、テモナが目指すもの

佐川氏は、東証一部上場を「甲子園に行くようなもの」と社員に話し、ワクワクを共有しながら社員と一体となり進んできたという。今、そのステージに立ち、社員の士気は高い。これから取り組みたいこと、そして成長意欲の高いメンバーたちへの想いを語っていただいた。

経営者として共感するのは京セラの創業者 稲森和夫氏だという佐川氏。テモナの経営にも「すべてを定量化する」手法を取り入れている。

ー ここから先、採用や人事の体制はどのように変わっていきますか。

佐川氏:採用では、現在100名の従業員数を今年中に倍くらいまで増やす計画です。リファラル、ダイレクトリクルーティング、エージェントなどたくさん使っていますが、市場も流動的なので、スピード感は重視していきたいですね。

さらに人事チームの体制強化も必要です。現在は人事は4名だけですが、会社が中拡大期に入っているので、採用はもちろん、入社後の早期戦力化、人材開発もしなくてはならない。ここから先のステージは、今まで以上に人事の重要度が高まってくると思います。

ー 人材育成において、取り組みたいことはありますか。

佐川氏:これまでは、組織や事業の在り方にバリエーションがなかったので、ミスマッチが起きてしまうと、その人材を活かせないということが起きていました。
でも、最近は新規事業がどんどん生まれ、グループの中でもキャリアの活かし方が多様化しています。それぞれの思考や能力に合った昇華のさせ方ができるステージになりました。もっと個人を成長させ、活躍させてあげられるような場づくりをしていきたいですね。

また、成果が出てどんどん新しいチャレンジができる、それを実行する優秀な上司がいて、その背中を追う部下がいる。これこそ最大の教育だと私は思っています。正しい競争環境の中で、評価し、成長させていく。その環境づくりには気を使っていきたいですね。

ー ワークライフバランスを重視する人も増えています。テモナの新卒メンバーはどのような働き方をしていますか。

佐川氏:テモナでも、いろいろな働き方をしている人がいますが、みんな行動力があり、成長への意欲は高いですね。私は残業が嫌いですし、最小限の労力で最大限の成果を出したいので、働き方改革の流れは大賛成ですね。

でも重要なのは、ワークライフバランスも、働き方改革も、できないやつの言い訳にしてはいけないということだと思うんです。限られた時間の中で成果を出す、自立して物事を解決する能力を身につける、仕事と生活を豊かにする、これって全部自分の能力の話なんです。

国が進める働き方改革は、それを会社に押し付ける論調になっていますが、本質は自分自身がそう変わらなければならない。労働人口が減り、GDPも下がり、労働時間も削られていくという環境ですが、AIなど効率化できるツールも増えています。

こうしたツールなどを使って、生産性のレバレッジを効かせて、少ない労力で高い成果を得たり、単純労働から知的労働へシフトすることで、バリューにレバレッジがかかると思うんです。
それをせずに、ただ時間を削って生産性を落とすというのはあり得ないし、その尻ぬぐいを企業がするという構造は悪循環ですよね。本質を見極めなくてはならない。本質をとらえた話ができるかという点は、テモナの採用でも大事にしている部分ですし、社員にも大事にしてもらいたいですね。

(撮影:山田健司 /取材・文:安住久美子)

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