2020.1.14

「人事は事業成長のためにある」Missionを全社員が議論するSansan流マネジメントとは

Sansan株式会社
CHRO 大間祐太
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「出会いからイノベーションを生み出す」というMissionのもと、法人向けクラウド名刺管理サービス Sansan 、個人向け名刺アプリ Eight を提供しているSansan株式会社。2019年6月に東証マザーズに上場し、従業員数は500名を超えた。規模が拡大する中でどのような採用活動を行っているのか。また、人事が果たすべき役割について、CHRO(最高人事責任者)大間祐太氏に話を伺った。
(撮影:山田健司 /取材・文:安住久美子)

【プロフィール】
新卒で人材系ベンチャー企業に入社し、営業として採用コンサルティング事業の立ち上げを経験。その後独立し、取締役として採用メディア、採用コンサルティング領域のベンチャー企業の立ち上げに携わる。2010年2月にSansanへ入社。営業マネジャー、人事部副部長・人事部長を経て、2018年12月にCHROに就任。

非連続に成長を続けるSansan採用の変遷

創業から13年目を迎えた2019年6月、Sansanは東証マザーズに上場した。またCEO寺田氏は年頭ブログで2019年を「革新期」と表現している。新たなフェーズへ差し掛かり、世界を見据え、Sansanは非連続な成長を続けていく。戦い続けるための組織はどのように作られたのか。CHRO大間氏に、これまでの採用の変遷、採用で注力していることについて聞いた。

メディアでの採用で苦戦した創業2期目

ー創業時からの採用活動について教えてください。
大間氏:
私がSansanに入社したのは2010年ですが、実は創業の2007年から、採用コンサルタントとして関わっていました。
創業1期目は大きなコストをかけて採用するフェーズではなかったので、リファラル採用のみ。本格的な採用活動を始めたのは、社員が15名を超えた2期目からです。

メディアを活用した採用をはじめたものの、ここで壁にぶつかりました。メディアの運用は求める人材にリーチできる確率が低く、リーチするまでに相当な時間がかかる。応募数は増えても求める人材には出会えず、採用に苦戦しました。

そこで、メディアから人材紹介会社へシフトしていくことになります。余計な工数を減らし、質の高い候補者に会う時間を優先し、採用を軌道に乗せていきました。

採用ブランディングを強化した理由

ー採用で力を入れて取り組んでいることは何ですか。
大間氏:
候補者・採用マーケットに対し、Sansanがやりたいことはどういうことで、それが実現した先にどんな世界が待っているのか、ストーリーを訴求することを大事にしています。

当社は「出会いからイノベーションを生み出す」というMissionを掲げていますが、そもそもはじめから「名刺管理サービス」自体に興味がある、開発したいと思う人はそんなにいないですよね。

採用の局面において重要なのは、「名刺管理」というこの事業が持つ可能性や魅力、その先にどんな世界があるのかを伝えること、そこに魅力を感じてもらうこと。名刺は「生きたデータ」であり、そのデータとテクノロジーを掛け合わせることで、出会いの価値を最大化できる、大きな可能性を秘めたものなのです。
(出典:Sansanホームページ)
2014年からMission、つまり当社が「出会い」にかける思いを伝えるための採用ブランディングとして、動画の制作や採用ページ、コーポレートサイトでのブログなど、発信を強化しています。これによりホームページからの直接採用は、15%程度増加し、採用力も強化できたと思います。

本気になれるフィールドがここにあるか

ーエグゼクティブや幹部候補の採用で重視するポイントは何ですか。
大間氏:
エグゼクティブ層なので、スキルや経験は前提としてあります。そのうえで、個人として実現したいことが、当社のMissionと重なるか。重なる範囲が広い人ほど、活躍できる可能性があると思っています。

極端な話ですが、ビジネスシーンにイノベーションを起こしたいとか、社会的に大きなことを描いていなくてもいい。「本気になれるフィールドがSansanにある」と思えるかどうかが重要ですね。

BNGパートナーズは「Missionドリブンの企業にマッチする」

ー幹部採用でBNGパートナーズを利用されています。率直な感想をお聞かせください。
大間氏:
BNGさんから紹介していただく候補者は、スキルだけではなく、Missionへのマッチ度も高いです。BNGさんが掲げている「志」という考え方に共感して利用している方なので、Missionに対するマッチ度が高いのかもしれませんね。
意思決定のサポートも丁寧で、双方にほぼ毎日のようにコミュニケーションをとってくださるので、信頼してお任せできます。BNGさんを通して入社いただいた方は、入社後活躍してくれています。

SansanのようなMissionドリブンの会社には、フィットするサービスだと思います。

人事は「事業成長のためのコミュニケーションエンジン」

近年、これまで後方支援的だった人事の役割を見直す企業が増えている。採用や人材マネジメントの強化が事業成長を加速させると考えているからだ。Sansanは早い段階から戦略的な人事を実践し、現在はCHRO大間氏を中心とした人事チームを構築している。CHROとしての仕事、人事部の体制強化のために取り組んでいることなどを聞いた。

「Missionを全社員が本気で議論することが、Sansanの強みになる。」Sansan流のマネジメントについて語る大間氏。

CHROや戦略人事を置くことは目的ではない

ーCHROという役職を置いた経緯を教えてください。
大間氏:
私がCHROに就任したのは、2018年です。上場を見据え、バックオフィスの部分も組織として強化していくために、CFO(最高財務責任者)、CBO(最高ブランド責任者)と同じタイミングで置くことになりました。

しかしCHROになったからといって、それまでやってきたことが大きく変わったわけではありません。うちはMissionドリブンの会社なので、「この会社のプロダクトがあったから世界のビジネスシーンが変わった」と言ってもらえる世の中を、全部門が本気で目指しているんです。その中で、Mission実現のために人事として何をやるべきか、常に考えてきました。

戦略人事を意識して導入したというよりは、やってきた中に戦略人事があったというほうが正しいかもしれません。
ー戦略人事を導入したい企業は増えていますが、まず何からはじめるべきなのでしょうか。
大間氏:
戦略人事の導入が目的になることはありえないですよね。何のために戦略人事をすすめるのか、まず事業の方向性が定まっていないとうまくはいきません。もしそれが定まっていないとしたら、まずは自分たちのMission、何を実現するために事業を展開しているのかなどを、ピン止めすることからはじめるべきだと思います。

次にそれを実現するための人事戦略を推進する人材が必要です。外部からそれを推進できるような人材が採用できればベストですが、難しい場合は人事以外の部門からアサインしても全く問題ないと思っています。

たとえば、戦略人事のテーマが人材採用だとするならば、そこにアサインすべきは営業担当でもよいと思います。できれば強い営業担当が望ましい。営業は顧客の課題をヒアリングし、課題の解決策を提案する、提案がマッチすれば受注という流れですよね。

人材採用も同じで、候補者の現職および前職における課題は何で、今回なぜ転職しようと思っているのかをまずヒアリングします。そして、その候補者が転職先で実現したいことが何かを把握する。それが実現できるフィールドがSansanであるということを提案し、魅力を感じてもらわなくてはなりません。営業と業務フレームは似ているので、マッチすることが多いです。

営業で成果をあげている人間を人事に連れてくると、一時的に売上が落ちることにはなる。しかし、言わずもがなですが、長期的な視点で考えれば優秀な人材を採用し現場に送り込むことは事業にとって間違いなくプラスになります。

人事の役割を明確にした「人事部のカタチ」

ー現在の人事部のチーム体制と強化のための取り組みを教えてください。
大間氏:
人事部門は約30名で、中途採用Group、新卒採用Group、ES(Employee Success)Group、労務チーム、戦略人事Group、Global HR Groupに分かれています。戦略人事で考えてフレーム化したものを、運用していくのがES Groupです。

当社ではMissionやValues、Premiseを総称したものを「Sansanのカタチ」と読んでおり、カタチの見直しを全社員で議論する「カタチ議論」という取り組みを行っていますが、人事部内でも同じように「人事部のカタチ」について2017年に議論する機会を設けました。
Sansanという会社の強みは、Missionがピン止めされていること。そこで、会社が目指すべきものを実現していくために、人事としてやらなければならないことは何なのか。この会社の人事部は何のために存在しているのか、ということを人事部全員でピン止めしようという目的です。

そこで決まったのが「事業成長のための最高のコミュニケーションエンジンになる」という人事部のカタチでした。(※現在は「可能性を広げる」に刷新済み)
事業成長を圧倒的に加速させるため、自ら主体的に動きながら経営と現場をつないでいく存在。これをピン止めすることで、人事としてやるべきことがより明確になったと思います。

会社としても、事業成長のために人事が確信を持って提案したことに対しては、前向きに後押しする姿勢があります。

全社員で議論するSansanの「カタチ」とは

ー全社で行われている「カタチ議論」とはどのようなものですか。
大間氏:
自分たちが今目指している方向は正しいのか、自分たちのやるべきことは何か、全社員が参加して議論するというのが「カタチ議論」です。

2016年の第1回目は、Valuesに「自分事にする」という一文を入れるかどうかがテーマで、当時の従業員180名を30チームにわけ、30チームが1時間の議論を3回以上行い、その後全社で丸二日間かけてプレゼンする。1年間の中で、トータル3,000時間以上は議論に費やしました。

2018年の第2回目は、フェーズの変化と組織の拡大により多様な価値観が存在するようになり、MissionやValuesを見直す必要があるかということがテーマでした。前回議論に参加していない直近増えた200人を40チームに割り、チームから部門に持ち帰り、部長陣、そして役員で議論しました。

この議論により、Missionを「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」から「出会いからイノベーションを生み出す」に進化させ、Valuesもこれまで7つあったものが5つになり刷新されました。

従業員は、常にMission・Values・Premise が書かれたプレートを携帯している。

これまでValuesの中に「逃げずにやりきる」という言葉がありました。しかし、ときには意図して撤退しなければならない局面も出てくる中で、この言葉が事業成長を阻害する可能性はゼロではない。これから非連続に成長していかなくてはならないフェーズで、今回のタイミングでは無くしておこうと議論し、この言葉はValuesから外しました。

こういう議論を、1年間かけて本気でやっているんです。一見無駄な時間だと思われるかもしれませんが、これがSansanにとって圧倒的な強みになりますし、マネジメントの強化につながっているのです。

出会いからイノベーションを生み出す、Sansanが目指すもの

現在クラウド名刺管理サービス「Sansan」は、名刺管理サービスシェア約82%、契約数は約6,000件にのぼる。技術者採用においては、世界でもトップクラスのデータサイエンティストを多く採用することに成功している。採用の秘訣や、これからの組織について伺った。

名刺データから何がわかるのか?

ー名刺データを研究することで、具体的にどんなことができるのでしょうか。
大間氏:
過去の名刺情報を見ていけば、その人のキャリアがわかります。そこから逆算し、例えば今ベンチャーでCFOとして活躍している人のキャリア傾向を分析することで、これからCFOになりたい人にそれを示すことができるかもしれない。

また、名刺交換履歴を研究すると、「この人はよく営業職の人と名刺交換をしているから、こういうニーズがある人なんじゃないか」「こういう人に会いたいんじゃないか」ということが推測できる。

これからあなたはこういう人に会いたいのではないですか、と出会いのきっかけそのものを提供できるのです。すでに、Sansan上では「スマートレコメンデーション」という機能として利用されはじめています。

その出会いからイノベーションが生まれた時「我々の事業は世のビジネスシーン全体を変えた」と言えると思っています。

データサイエンティストの採用も強化

ー優秀なデータサイエンティスト採用の秘訣を教えてください。
大間氏:
データサイエンティストの採用で一番初めに取り組んだのが、Kaggle(カグル)の人材にアクセスすることでした。

Kaggleは世界のデータサイエンティスト約40万人が集まっている機械学習コンペディションです。その中でも評価が高いトップ80人はGrandmaster(グランドマスター)という称号が与えられていて、日本人はそのうち数名しかいません

その下のマスターという称号を持つ日本人を含め、一人ひとり調べ、地道にアタックをしていきました。現在、日本人グランドマスターがSansanで働いてくれています。

彼らには、名刺管理でなぜイノベーションが起きるかについて、データ観点から話をしていきました。先ほども言ったように、我々がお客様からお預かりしているデータとプラットフォームを研究し、できることは非常に大きい。

研究結果がビジネスシーンに大きな影響を与えるのではないか、本当にこの会社は世の中を変えるんじゃなかろうか。データサイエンティストたちは、そう思ってジョインしている。

これはデータサイエンティストだけではなく、うちにジョインするメンバー、うちで働いているメンバー全員に共通している想いです。全員がこれを信じているので、実現させていきたいですね。

エントランスには上場を祝う花が多数届けられていた。しかし社内では「上場はあくまでも通過点」が共通認識。Sansanが目指すのは、その先にある大きなイノベーションだ。

非連続な成長を加速させる、Sansanのこれから

ー事業や組織の今後の展望を教えてください。
大間氏:
まずは既存事業のSansanとEightを力強く伸ばしていくこと。

そして、データ活用にも力を入れていきます。ビジネスデータ領域では、M&Aなども視野に入れ、相乗効果による成長を目指します。2019年に入り、新規事業室も立ち上げました。既存事業の成長があり、Missionに通じる新規事業で幅を広げていく。そのためにも、引き続き優秀な人材を集めていきたいです。

また組織として大きくなるほど、Missionの浸透が薄まったり、歪みが生じたりしてしまう可能性は想定できますので、そこへの投資は惜しみません。2018年のカタチ議論では3,000時間以上を費やしました。その時間をもし通常業務にあてていたら、あらゆる成果をあげることができたでしょう。それでも、やる。それ以上に大事なことがあるからです。必要があれば「カタチ」はいつでも見直していきます。

今後も、人事としてはより「カタチ」の浸透を強化していきます。メンバーコミュニケーションの中でも、どういうValuesを出していくか、Sansanらしさを出していくか。マネジメント教育にも力を入れていきたいですね。

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