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パーソナルAI開発の
オルツ流・採用術
「個人の力を最大化するのが使命」

株式会社オルツ 米倉 千貴 氏

米倉 千貴 氏

株式会社オルツCEO

株式会社オルツ代表取締役。アルバイトで入社した株式会社メディアドゥで、23歳で事業責任者を経験。独立後の2006年、株式会社未来少年を設立。2014年に全事業をバイアウトし、2014年11月にオルツを設立した。オルツが掲げるのは「ラボ―ロ(Lavoro・労働)」からオペラ(Opera・アーティスティックな営み)へ」というテーマだ。すべての人が自分のデジタルクローンを持つことによって労働から解放され、オペラに没頭できる社会を目指し、パーソナル人工知能(P.A.I.)の開発などを行っている。

P.A.I.(パーソナル人工知能)の開発を行う株式会社オルツは、2014年の創業以来、研究開発に特化した経営を進めてきた。2019年4月、研究開発の過程で生まれた対話エンジン等の要素技術をソリューションとして幅広く提供するため、新会社オルツテクノロジーズを設立。今まさに拡大フェーズに入っている。オルツCEO米倉千貴氏に、新会社設立の経緯や、事業への想いなどについて話を伺った。また5月には、BNGパートナーズを通じて、営業とエンジニア経験のある人材が、アーキテクトとしてオルツへ入社。米倉氏の採用へのこだわり、BNGサービスを利用しての率直な感想についても語っていただいた。

「個人」を対象にしたAIへの想い
そしてAIプラットフォーム「 Altgo.com(オルツゴー) 」とは

P.A.I.(パーソナル人工知能)の研究・開発を行うオルツは、シリアルアントレプレナーの米倉氏が2014年に立ち上げた会社である。どのような想いをもって、オルツの事業に取り組んでいるのか。また新会社設立の経緯と、新しいプラットフォームについても教えていただいた。

ー 事業を行う上で、もっとも大事にしていることは何でしょうか?

米倉氏:「個人の力の最大化」は、僕の使命だと思っています。僕は社会に出るまで、会社に行くとすべての人がものすごく考えて、会社の成長のために、全力で働いていると思い込んでたんです。実際はそんなことはないわけですが…(笑)。

でも思い込んでいたので、自分はとにかく考えて、自分で実行して実現させるのが当たり前で、ストレスは一切ありませんでした。逆に、やらされ仕事になった瞬間に、すごくストレスがたまりますよね。そういう生き方って、すごく非効率だと思うんです。没個性化し、没個性化するロジックを作り、それでまた非効率な社会を作り上げていく。

経験から効率の良い生き方を知ったことで、「個人の力の最大化」は、僕の一番の関心事になりました。オルツが研究・開発を行うP.A.I.(パーソナル人工知能)は、これまで人間だけでは手が回り切らなかったようなことを、自分自身の意思を持ったデジタルクローンにさせるAIです。非効率から抜け出し、個人の力を最大化すれば、社会の力も倍増すると信じています。

ー 新会社の役割やプラットフォーム構想について、教えてください。

米倉氏:オルツはもともとP.A.I.(パーソナル人工知能)の研究・開発を主軸にした会社で、設立から4年間は完全に研究開発だけを行ったきたのです。
その過程で出てきた対話エンジンなどの要素技術や、機械学習による個人モデル構築などのノウハウを、将来のクライアントとなる会社と一緒に進めてきました。それが実用段階に入ってきたので、展開していくことになったのが経緯です。
役割分担としては、オルツは研究開発、クライアントとの窓口はオルツテクノロジーズです。オルツは、デジタルクローンの研究開発が重要なアイデンティティなので、ビジネスに寄り過ぎないよう、あえて窓口を分けました。
オルツテクノロジーズはインターフェイス部分の開発や、クライアントの環境に合わせた開発、他のAI企業などとも連携し、サービスの拡充をはかっていく予定です。

ー 世界最大規模のAIプラットフォームとして発表された、「Altgo.com(オルツゴー)」。どのような構想ですか?

米倉氏:Altgo.comは、様々なAI技術をウェブ上で気軽に利用可能にするAPI群を備えたAIプラットフォームです。
オルツが主軸にしている技術は[alt Stack(オルツ・スタック)]と[alt Emeth(オルツ・エメス)]と言います。

alt Stackとalt Emethについて説明する米倉氏(お台場のTech Lab)

P.A.I.(パーソナル人工知能)で個人を復元するためには、非常に重要な分散型個人情報ネットワーク、つまり記憶に等しいようなデータを集めて保管するのがalt Stackです。
そして、人工知能の学習に必要な大規模な演算処理能力の確保を、セキュアで安定的に可能にする仕組みがalt Emeth。
alt Stackとalt Emethというインターフェースを使ってもらうためには、また別のインターフェースが必要です。これをAltgo.comのプラットフォームで、提供させていただこうということなんです。
Altgo.comのプラットフォームの中には、我々がつくった要素技術だけではなく、他社がつくった良いAIのモデルなどもどんどん投入していきたい。そこを、我々が持っているaltStack・alt Emethのインフラにつなげていこうという構想です。今年度中に、AI技術のパートナー企業を100社、ユーザー側は10万人の会員を獲得することを目指しています。

才能を信じるられる人か否か。オルツ流の採用術とは

2014年当初5名だった従業員数は、現在グループ全体で約40名まで増えたオルツ。採用で大切にしてきたこと、課題とはどんな点なのか。また、BNGパートナーズのサービスを利用し、5月に一名の入社が決定。その経緯についても伺った。

米倉氏は、オルツの採用には「パーソナリティ」が重要だと語る。

ー 採用の際に、米倉さんが大切にしていることは何ですか?

米倉氏:弊社の場合は、採用は「パーソナリティ」に寄っていきます。
「才能が存在する」と信じていない人が、実はたくさんいるんですよ。才能は訓練によって出てくるものと、生まれながらにして持っているものもありますが、それが社会的に不必要だと思っている人ってものすごく多い。
そして才能を信じていない人は、自分の才能も、他人の才能もつぶしてしまいます。
僕は全員もれなく才能はあると信じていますが、その才能が社会の中で開花するかどうかは、その人が触れている社会と時間、環境によってすごく差が出ると思うんです。
そこに集中する、大事にできる人かどうかという点は、採用の中で大切にしています。だから、オルツはすごく個性的な人が多いのかもしれません(笑)。

ー これまでの採用における課題は何でしたか?

米倉氏:ご説明したとおり、かなり難しいことをやっていますので、対応できるエンジニア、技術者、研究者の数が少ないんです。日本だとほとんどいない領域も多いので、基本的に海外も含めて探しています。
必要な人材を探すために、研究者が論文を読んで直接連絡するとか、私や副社長などビジョンを深く理解している人が直接アタックしていくとか。そこをスケール化できないのが課題です。
言語化と仕組み化が必要で、ここが非常に難しい。でも、それができればとても強い会社になれると思っています。
最近では、メディアの利用やスカウトに加え、10社くらいはエージェントさんにもご紹介をお願いしています。でも、その中でも自社のカルチャーにマッチする人材は1割程度しかいないのが現状です。

ー ベンチャーでは、転職希望者に自社のカルチャーを理解してもらうのが難しい、という課題をよく聞きます。オルツでカルチャーを理解してもらうために工夫していることはありますか。

米倉氏:昔のフランスの格言で「プリンの味は食べてみないとわからない」という言葉があります。僕はいつもそれを意識しています。
説明してわかる人など、ほとんどいないということなんですよ。説明してわかる人は1%で、その1%の人は採用側からするとダイアモンド。ものすごく大事にしないといけない特別な人だと思うんです。
でも、残り99%の人は説明しても伝わらない。だとしたら、食べてもらわなくちゃいけないんです。とにかく実際に見せる、中に入ってもらう、ということは大事にしていますね。

ー さまざまなエージェントを利用する中で、BNGパートナーズを利用されての率直な感想を教えてください。

米倉氏:BNGパートナーズさんからの紹介で、5月に1名入社が決定しました。エンジニアですが、営業の知識もあるということで、アーキテクトというポジションでの採用です。
先ほど「見せるのが大事」と言いましたが、カルチャーを理解してもらうために、この方には弊社の実際の打合せに参加してもらいました。他のエージェントさんではやっていないので、柔軟に対応してもらえたことは良かったと思います。
面接にもすべて同席してくださったので、その際に細かい要件などを毎回すり合わせてできました。相談ベースで話ができるのが、BNGサービスの使いやすさですね。

成長する組織、組織の中の「個人」
AIは転職や自己の成長を支える存在に

「個人の力」、「パーソナリティ」を大切にするオルツ米倉氏。組織としての成長、そしてその中での「個人」の成長について、どのように考えているのだろうか。

米倉氏は「個人の成長が倍になれば、社会の成長も倍になる」と語る

ー オルツが目指すのは、どんな組織でしょうか。

米倉氏:僕は自分の起業や、いろいろな会社の起業にも携わってきましたが、イノベーションを起こそうとすると必ず反発が出るんです。
そこで折れずに、会社のコアの部分を大事にしていくのはすごく難しい。でも、ここで粘れるかどうかが重要です。
これを捨ててしまうと、どの会社でも変わらない。この会社である必要がない、大企業でもいい、もっと言えばAI・ITの世界では、日本である必要すらなくなってしまう。
日本でイノベーションやろうというのは、無理を言っているに等しいと思っているんですよ。だからこそ、日本でやるならば、コアのアイデンティティを大事にしなくてはいけない。オルツがテーマのひとつにあげている「真のイノベーション」というのは、そういう意味なんです。

ー 個人の力を高めるために組織としてやっていることはありますか?

米倉氏:オルツの場合は研究者が多いので、やりたいことが明確な人が多く、採用時とのブレは生じにくい環境だと思います。
ただ、みんな成長していきますので、やってみたいことは増えていきます。その幅をキャッチアップして、その幅に合わせたポジションに変えていけるよう、会社としては心がけています。
また、個人の視点をあげていくための取り組みとしては、社内で研究発表会をしています。タスクとしてやっている研究を発表するのですが、みんなで他人の研究についてもどんどん気づいたことを言っていく、その場でアイディアを出し合う。
実はこの会がものすごく効いています。そこからどう発展させていくのか、仕組みづくりはできていますね。
さらに、個人のモチベーションとコミット感を高めることに、一役買っている社内ルールもあります。
研究の中で新しい要素技術が出てきたときに、これまで世の中にないものなので、名前がないんです。ですから、その企画者に必ず名前をつけてもらいます。それが世に出るときに、ずっと残っていく名前となるんです。
Googleとかを意識して、めちゃくちゃ変な名前なんですけどね。最近だと、トランスフォーマーとかありました(笑)。

ー オルツの技術は、どう使われていくのでしょうか。

米倉氏:僕はP.A.I.をぜひシミュレーションにも使って頂きたいと思っています。
例えば、この買い物をしたほうがいいのか、あっちを買ったほうがいいのか、買ってみないとわからない。でも、この先自分がどう変化していくのかをシミュレーションさせると、必要なのはどちらかがわかる。買い物がしやすくなりますよね。
それに転職市場にも、シミュレーションが必要だと思っています。
転職を決めるときには、さまざまな情報を見て判断をしますが、それが人生にどんな影響を与えるか、その先まではわからない。皆さん、そういう前提で動いていますよね。
実は転職者だけではなく、会社もそうです。そこのシミュレーションがなされないままに人生を決めていく、人生の大きな決断をするのはどうなのかと、僕は思っているんです。
ですから、手軽にどんどんシミュレーションしていける環境は、絶対必要だなと思っています。

デジタルクローンで起こりうる未来を目を輝かせながら語る米倉氏は、仕事でも「楽しみ方」を積み重ねていく。

米倉氏の「働き方」は「楽しみ方」
もっと楽しくする方法のスキルをあげていきたいんです

ー 米倉さんご自身は、どんなことを突き詰めていきたいですか。

米倉氏:「働き方」っていうと、僕はものすごくカッコ悪いと思うんですよ。だから「楽しみ方」と言いたいですね。個人として「楽しい」という感覚を、積み上げていく。もっと楽しくする方法のスキルをあげていきたいんです。
僕はバスケが好きなんですけど、うまくなるだけが楽しくなる方法ではないですよね。もっと楽しくする方法があると思う。
それを常に考えていて、普通の人が楽しくしたいと思っているレベルの10段階くらい上にいる状態になりたい。そうすれば、そのスキルをみんなに広める意味があると思うんです。
自分の姿をそのまま投影しているデジタルクローンと対話して、楽しみ方のスキルをあげていく、なんてことがあるかもしれない。そう考えると、わくわくしませんか。

(撮影:山田健司 /取材・文:安住久美子)

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