転職活動を行う中で重要視したい指標の一つに年収が挙げられます。この記事では日本の平均年収をはじめ、年収が高いことによる具体的なメリット、年収が高い業界の種類や特徴、これらの業界で高額の年収がもらえる理由などについて説明していきます。
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日本の平均年収は?
まず日本の平均年収を見てみましょう。
下記は国税庁の民間企業給与実績に関する調査結果です。この調査では平成23年から令和3年までの平均給与データが公表されています。データを見ると約10年で日本の年収は409万円から443万円にアップしていますが、給与のアップ率で計算してみると、10年でわずか8%の伸びに留まっていることがわかります。
<国税庁資料より「民間給与実態統計調査-調査結果報告 令和4年9月」>
上記平均年収のボリュームゾーンについても見ていきましょう。
下記は年収ゾーン別の占有率を表したデータです。この表を見ると年収100万円~500万円のゾーンがほとんどを占めており、一般的に「年収が多い」とされる年収800万円以上の層は全体の10%にも満たないことがわかります。
昨今、高い税負担や物価高は当たり前になりつつありますが、依然日本の年収は厳しい状況が続いていることがお分かりいただけるでしょう。
引用:民間給与実態統計調査-調査結果報告 令和4年9月 国税庁長官官房企画課
業種別の平均年収
国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査結果によると、業種別の平均給与は以下の通りです。
業種 | 平均給与 |
建設業 | 529万1000円 |
製造業 | 532万7000円 |
卸売業、小売業 | 384万円 |
宿泊業、飲食サービス業 | 268万2000円 |
金融業、保険業 | 655万7000円 |
不動産業、物品賃貸業 | 456万9000円 |
運輸業、郵便業 | 477万1000円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 747万2000円 |
情報通信業 | 632万4000円 |
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 544万1000円 |
医療、福祉 | 408万5000円 |
複合サービス業 | 506万2000円 |
サービス業 | 376万5000円 |
農林水産・鉱業 | 336万6000円 |
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年収が高いメリットとは
高い年収を得ることは生活の質を大幅に向上させたり老後を豊かに過ごせるなど、さまざまなメリットをもたらします。
<年収が高いメリット>
・生活に余裕が生まれる
・子どもに教育費をかけられる
・老後の心配が減る
生活に余裕が生まれる
年収が高いと、日々の生活にゆとりが生まれます。2022年6月に日本銀行が行った「生活意識に関するアンケート調査」によると「生活に余裕が出てきた」と回答した人の約65%が「生活に余裕ができたのは収入が増えたから」と回答しています。
生活を豊かにするのはお金だけではありませんが、それでも先立つものがないと精神的にも余裕がなくなり、趣味を楽しむことさえ難しくなってしまいます。
子どもに教育費をかけられる
年収が高いと、子どもの教育に必要な費用も確保しやすくなります。日本政策金融公庫の「教育費に関する調査結果」によると、高校入学から大学卒業までに必要な子ども一人あたりの教育費用(入学・在学費用)は 942.5 万円となっています。
現状、日本では最終学歴や正規・非正規雇用など雇用形態による所得の格差が生じているのが実態です。高年収を得て子どもに十分な教育を受けさせることで、将来子どもの年収も増え、結果的には日本全体の経済成長に寄与できるのかもしれません。
老後の心配が減る
現役時代の年収が高ければ、老後も安定した生活を送れる可能性が高くなります。「老後2,000万円問題」が叫ばれるようになり、老後の生活資金に関する不安はますます高まっています。
年収が高いと老後に向けた貯蓄も容易になりますし、厚生年金など公的年金の支給額もアップします。
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高年収の業界に共通する特徴とは?
年収が高い業界には、それぞれ共通する特徴があります。「これから高年収を狙うために転職したい!」「新しい業界でチャレンジしたい!」と思う方は、高年収の業界の特徴などを理解しておきましょう。
高年収の企業ではどのような実力が問われるのかなど、あらかじめチェックしておけば自身のキャリアプランをより具体的に描けます。
仕事の専門性・希少性が高い
高い給与がもらえる業界は、一般的に専門的な知識や技術を必要とするケースがほとんどです。下記は経済産業省が出した「企業の雇用状況等に関する調査研究」の結果ですが、調査結果のなかに業界ごとの給与ベースアップの予定に関するデータが含まれています。
回答数が多かった業界で比較すると「給与を増加する予定」と回答したのは、非製造業では情報通信が 65.5%ともっとも高く、続いて商業 61.3%、銀行やノンバンクが 50.0%という結果となりました。
どの業界も専門的な知識を必要としますし、希少性が高い職種が多いのが特徴です。
<経済産業省「企業の雇用状況等に関する調査研究」※給与ベースアップの予定について>
引用:経済産業省公式資料「令和3年度企業の雇用状況等に関する調査研究報告書」
企業の規模が大きい
規模が大きい企業は、一般的に平均年収が高い特徴があります。
企業規模が大きくなるとブランド力も上がり、高収益体質が保てることから従業員に対する給与や福利厚生が手厚いのが一般的です。
ただ、「大手だから」「年収が高いから」といった理由だけで転職先を決めるにはリスクがあります。中途入社で大手企業に転職し高い年収をもらうには、社会経験や人脈、特定のスキルが必要になる場合がほとんどです。
<厚生労働省資料「令和4年賃金構造基本統計調査の概要」より>
年功序列ではなく実力主義
また、高年収を得られる業界の多くは、実力主義の文化が確立しています。
例えば、人事評価の仕方をみても、低収入の企業では年功序列型の文化がいまだに残っているケースがある一方で、高い年収が得られる企業では、実績に応じて昇給率や賞与が決まる成果報酬型の給与体型を採用している傾向が強いです。ただし、成果報酬型の企業の場合、パフォーマンスが低い社員は昇給しないばかりか、逆に給与が下がっていくことも多いようです。
特にベンチャー企業やスタートアップ企業では急成長が求められるため、実力主義の報酬制度が採用される場合があります。
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高年収の業界ランキング10選
では、どの業界の年収が高いのか、実際の調査結果などを見ていきましょう。
下記は厚生労働省が出した調査結果で、産業別の賃金に関する表です。特に転職ニーズの高い20歳~34歳までのゾーンを見ると、もっとも年収の高い業界が電気ガスで279.8万円、同じ額で学研究・専門サービス業の279.8万円、そして情報通信業の279万円と続きます。
<厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の概況>
ここからは下記のランキングに限らず、比較的転職ニーズの高い業界の特徴や転職するメリット、デメリットを詳しく解説します。
第1位:金融
高い年収を得られる業界のなかには、銀行や証券会社など金融関連の企業が多く含まれます。
金融商品の売買にはリスク管理などの専門的な知識を必要とし、高度なスキルを持つ社員には大きな報酬も与えられます。しかし報酬が高い反面、過酷な労働時間が求められるなど、高いストレスを感じてしまうことも少なくありません。
第2位:メーカー
メーカーのなかでも、特に自動車や電機などの大手メーカーは企業規模も大きく市場シェアを占有していることから、高い報酬が得られるのが一般的です。
ただ「大企業だから」と安心してしまい向上心の薄れた社員は淘汰される傾向もあります。
日本はもちろんグローバル市場で戦うためには、日々変わりゆく技術に対応する知識も求められるため、絶えず学び続ける意識が必要となります。
第3位:総合商社
総合商社は多様なビジネスを手掛けておりグローバルで活躍する社員も多く、年収が高い会社として有名です。大手商社ともなれば30代で年収1,500万円を超えることも珍しくはありません。
ただし、海外赴任も多いため家庭を犠牲にしてしまうケースが多いのも実状です。また海外で活躍するには語学力も求められます。
第4位:IT・通信
IT通信業界は高度な専門知識を必要とすることも多く、高年収が得られる企業が多いのが特徴です。
特に昨今のDX化の推進など、企業や民間が求めるITツールへの期待は大きなものです。しかし、技術の進歩が早くスキルの陳腐化を防ぐために、常に最新の知識を探求する意識が求められます。また、企業によっては長時間労働を強いられることも少なくありません。
第5位:建設・プラント・不動産
建設、プラント、不動産業界は大規模なプロジェクトに関わることも多く、高収益体質の企業なら高い給与が期待できます。ただし、現場で働くスタッフは案件によっては長期の出張を余儀なくされたり、物理的にハードな仕事が多いため、身体的に負担が大きいというデメリットがあります。
第6位:インターネット・広告・メディア
インターネット、広告メディア業界では、クリエイティブなアイデアや最新のテクノロジーが重要視され、特定スキルを持つ人は高い報酬を得られる傾向があります。
特にWebエンジニアなどは常に人材不足が続いている業種です。高いスキルがあるエンジニアは高収入を得られることも多いため、正社員でなくとも高い給与が得られるケースもあります。
ただ、Webや広告業界は新しいビジネスモデルやサービスが次々に生まれており、競争も激しい業界のため、転職する際には、その企業が提供しているサービス内容や今後の事業展望等をしっかりと調査する必要があります。
第7位:専門商社
専門商社では、特定の業界に対する深い知識とネットワークが求められます。これらの専門性が評価され、 高い報酬が支払われる一方、商社特有の長時間労働や出張の多さなど、生活スタイルに影響を及ぼす可能性もあります。
第8位:メディカル
メディカル業界は、特に専門的な知識とスキルが必要とされ、その専門性が高い報酬につながります。しかし、医療従事者の働き方改革が進んでいる一方で、長時間労働やシフト勤務など、厳しい労働環境も指摘されています。
第9位:サービス
サービス業界は、人間関係を構築するスキルや顧客対応力が報酬に直結します。自身のスキルによっては高い年収が期待できますが、反面、顧客対応のプレッシャーや長時間労働がデメリットとなることもあります。
第10位:小売・外食
小売・外食業界は高い関係構築力と顧客ニーズを的確に把握し、それに対応する能力が高く評価される業界です。特に大手チェーンや高級ブランドでのマネージメント職は高収入が見込まれます。しかし、高い報酬の一方で過重労働や顧客対応に起因するストレスなど、生活リズムやメンタルへの負担には注意が必要です。
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年収が高い業界で活躍するためには?
高年収を得るためには、単に「給料が高い企業に転職する」だけではなく、それなりの努力が求められます。特に専門知識や語学力がある人は、転職でも有利です。
専門知識をつける
高年収の業界では専門知識が必要となる場合がほとんどです。たとえば収入が高い金融業界では会計知識はもちろん、投資・保険・企業分析・営業など、さまざまな知識やスキルが求められます。これらの知識は金融業界でなくとも重宝されることも多いため、転職前に習得していても損はないでしょう。
資格を取得する
特定の業界で活躍するためには、業界固有の資格が必要となることもあります。IT業界では情報処理技術者試験やPMP(プロジェクトマネージメントプロフェッショナル)などの資格が重要視されます。また資格ではありませんが、最近話題のChatGPTを活用するための「プロンプトエンジニア」なども注目されています。
最新の技術を活用するためのスキルや資格、経験をもっていることが重要になってきますが、転職をする際には自分が企業に対してどんな価値を提供できるのか具体的に考えをもっておく必要があります。
グローバルスキルを身につける
グローバル化が進む現代社会では、異文化間コミュニケーション能力や外国語スキル、海外でのビジネス経験が重要視されます。グローバルスキルは、総合商社やメーカー、IT・通信業界など、国際的なビジネスを展開する業界で特に求められ、高年収を得るための重要な要素です。なお、業務で英語を使うのであれば、最低でもTOEIC800点以上のスコアが必要です。
スタートアップのCxO転職の面談とフォローのリアル
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今後年収が上がっていく業界・企業は?
今後、自分の年収を上げたいのであれば成長が期待される業界や企業をチェックしておきましょう。
近年、各企業がIT化やDX化の波に乗るなか、特定の業界や企業では年収アップが見込まれます。ITツールやAI関連の業界はもちろん、急速に成長を遂げているスタートアップ企業やベンチャー企業もその一例です。
ITツール関連業界
企業のDX化には、ITツールの導入は必須です。そのため、ITツール業界で働く人々の年収は、引き続き上昇すると見込まれています。特にITツール業界にはベンチャー企業やスタートアップ企業が多く、幅広い仕事を任せてもらえる一方で、成果次第では高い年収が期待できます。
AI関連業界
AI関連業界もまた、大きな成長を遂げている業界のひとつです。OpenAIが開発したChatGPTのような進化したAI技術が注目を集める一方で、それらの技術を活用した新たなビジネスの創出も期待されています。
総務省が発表したデータによると、AI関連の市場は2025年には1,200億円に達すると予想されており、ますます成長の期待が高まる業界です。
スタートアップ企業・ベンチャー企業
近年のスタートアップ企業やベンチャー企業は、革新的な技術やサービスにより急速な成長を遂げています。これらの企業では新たな挑戦に期待する人材募集が多いのが特徴で、実績次第では高額な年収が支払われることもあります。
また、ストックオプションの権利がもらえることもあり、企業の成功による株価上昇などから得られる報酬も大きな魅力です。
野村総合研究所が実施した「大企業からスタートアップ企業への転職経験に関する調査」でも、転職者の90%以上は「仕事の自由度がアップした」、そして30%は「年収がアップした」と回答しています。大手企業とは違い、ベンチャー企業やスタートアップ企業には、仕事と報酬の両方の夢がかなえられる可能性があるといっても過言ではありません。
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まとめ
転職を検討する中で、高い年収が期待できる業界への転職を検討している方も多いでしょう。急成長しているスタートアップ企業やベンチャー企業、ITツールやAIなど新興分野への飛び込みは、将来的に高額な年収を得る大きなチャンスを秘めています。
ただし、これらの機会を掴むには最新の情報を得ることとリスク管理が必要です。
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