「CxO(シーエックスオー)」とは「Chief ○○○ Officer」と呼ばれる役職のこと。CEOやCFOがその代表格です。この記事ではCxOの主な種類や、代表取締役社長など従来の日本企業の役職との違いについて説明します。
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そもそもCxOとは?
CxOとは「Chief=組織の責任者」+「x(エックス)」+「Officer=執行役」の3語から構成される経営用語です。「シーエックスオー」と読み、日本語に訳すと「最高○○責任者」。
「x」の部分には業務や役割を示す単語の頭文字が入り、「CEO=Chief Executive Officer=最高経営責任者」「COO=Chief Operating Officer=最高執行責任者」といったように使用します。
CxOは、これまでは主に欧米の企業で導入されてきた役職であり呼称ですが、近年は日本の外資系企業のほか、グローバル化に積極的な日本企業でも導入が進んでいます。
日本企業の役職との違い
CxOと日本企業の役職の違いですが、そこには法律が関係しています。代表取締役社長や常務取締役、専務取締役といったように「取締役」の付く日本の役職には、会社法上の裏付けがあります。法律により、定義や役割が定められているのです。
一方、CxOには法律上の裏付けがありません。企業が適切な業務を執行するために設置する独自の役職であり、業務内容には企業ごとに多少の差があります。
会社組織内での役割
では、具体的にはどのような役割を担うのか。CxOの役割について大まかな目安を示すと、「CEO=会長もしくは社長」「COO=副社長」であることが多いようです。
また、CxOと事業部長の違いに関しては、事業部長が「各部門の取りまとめ役」というニュアンスを強く持つ一方、CxOは「自身が管轄する部門のプロフェッショナルとして、全社に対して責任を負う」というニュアンスが強まります。
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CxOポジションを設置する企業側の期待効果
CxOを導入する日本企業が増えてきた背景には、過去のバブル崩壊があります。バブル崩壊に見舞われた1990年代の日本企業では経営悪化のみならず、不祥事が続発しました。こうした事態から脱却すべく注目されたのが、アメリカ型のコーポレート・ガバナンスです。
コーポレート・ガバナンス(Corporate Governance)は「企業統治」と訳され、組織の不正や不祥事を防止し、企業経営において公正な判断・経営がなされるよう、監視・統制する仕組みのことです。「会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方に基づいています。
コーポレート・ガバナンスの仕組みで特徴的なのが、取締役とは別に、業務執行にあたる役職を置く「執行役員制度」です。繰り返しになりますが、CxOという用語を構成する単語のひとつである「Officer」は「執行役」を意味します。つまりは、CxOの設置です。
取締役は経営に関する重要事項を決定する立場にあるため、取締役とは別に執行役を置くことは「経営と業務執行の分離」を意味します。すると、取締役は経営に専念でき、CxOは自身が任された業務の執行に専念できます。
このように互いの役割分担が明確になり、結果的に適切な経営判断と迅速な事業執行が可能になります。また、明確な役割分担により、CxOは任された業務に集中して注力でき、自身が持つ専門的な能力やノウハウを最大限に発揮しやすくなるのです。
各CxOの責任範囲を明確化できる
技術の最高責任者であれば「CTO=Chief Technical Officer」、人事の最高責任者であれば「CHRO=Chief Human Resource Officer」といったように、CxOは、あらゆる業務や役割の最高責任者に応用できる呼称です。
業務や役割ごとに細かく最高責任者を設定できることから、責任の所在が明確になります。すると、社内のみならず、顧客や取引先に対しても責任の所在を明示でき、CxOを設置することは、社外からの信用を得るという意味でも効果的に働きます。
各部門の専門性が高まり組織が健全化される
CxOに求められるのは、「x(エックス)」に代入される業務や役割に対するプロフェッショナルな知見です。特定の業務や役割に特化した人材がリーダーを担うことにより、各部門の専門性が高まります。
また、CxOは経営者と各部門を結ぶ、橋渡しの役目も担います。経営者は、広く企業全体を見渡しながら意思決定を下します。それを実現するためには、自身がCxOを務める部門では何をすべきなのか。CxOは経営者の意思決定を深く理解し、それを各部門に適した言語に変え、正確に、なおかつわかりやすく伝える能力が求められます。
反対に、各部門における現場の声を深く理解し、それを経営者に伝えるのもCxOの役目です。CxOが橋渡しとして機能することが社内における情報の集約や指揮系統の強化につながり、組織全体の健全化を図ることがで期待できます。
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CxOの転職は可能?
CxOの役職に就いている人は、その肩書きのまま転職できるのでしょうか?ここではCxOの転職が可能かどうか、一般職と比べて有利か、不利かについて見てみましょう。
まずCxOであっても転職は可能です。そのような転職は「エグゼクティブ転職」とか「ハイキャリア転職」と呼ばれています。
ただしCxOの転職は一般職に比べ、ハードルが高いのも事実です。最大の理由は「転職先の企業に同等のポジションがない」もしくは「あっても人が足りている」ことでしょう。またCxOへの期待値は高く、転職後はすぐに活躍することが求められます。
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CxOの主な種類10選
CxOには主にどのような種類があるのでしょうか。すでにお伝えしたとおり、CxOには法的な裏付けがなく、企業によって業務や役割に多少の差が生じますが、ここでは代表的な10種の役割について解説します。
CEO
CEOは「Chief Executive Officer」の略称。「最高経営責任者」を意味する役職です。企業経営にかかわる全責任を負うと同時に、最終的な経営判断を下します。日本では代表取締役社長や代表取締役会長などが、CEOを兼務するケースが多く見られます。
COO
COOは「Chief Operating Officer」の略称。「最高執行責任者」を意味する役職です。CEOに次ぐ“組織のNo.2”の地位として扱われることが多く、CEOが策定した経営戦略を実行に移すことへの責任を負う立場にあります。
具体的には、CEOが全体的な企業戦略を立て、COOはそれを実行するための業務オペレーションを構築する、といった役割分担がなされることが一般的です。
詳しくは以下の記事で説明しています。
CFO
CFOは「Chief Financial Officer」の略称。「最高財務責任者」を意味する役職です。取締役が決定した方針に基づき、予算やコスト管理、資金調達といった企業経営における財務面の戦略を立て、実行し、その責任を負う立場にあります。
そのため、財務や会計に関する専門知識のみならず、経営の視点から財務戦略を構築し、企業価値を向上させる能力や、高度なコミュニケーションスキルが求められる役職でもあります。
詳しくは以下の記事で説明しています。
CTO
CTOは「Chief Technical Officer」の略称。「最高技術責任者」を意味する役職です。製造技術・科学技術・IT技術・研究開発技術といった専門技術を要する部門のトップであり、技術面において競争優位性のある戦略を構築、実行し、その責任を負う立場にあります。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)への注目が高まる昨今。その高まりに応じ、技術に関する高い専門スキルを持った人材への注目も高まる一方です。
CHRO
CHROは「Chief Human Resource Officer」の略称。「最高人事責任者」を意味する役職です。人材の採用・育成・活用などに関する戦略を構築するとともに、適切な雇用制度の設計・運用を行い、企業価値の向上を図る役目とその責任を負う立場にあります。
従来型の役職である「人事部長」との違いとしては、人事のトップとしての視点だけでなく、経営幹部としての視点を持ち合わせながら、人事にかかわる業務を執行していく点が挙げられます。
CMO
CMOは「Chief Marketing Officer」の略称。「最高マーケティング責任者」を意味する役職です。マーケティングにかかわる業務の統括者として、市場調査や顧客調査の舵取りのほか、マーケティング戦略の構築、実行も担い、その責任を負う立場にあります。
CMOの設置は、アメリカにおいて顕著です。反対に日本では、CMOの導入があまり進んでいない傾向にあります。しかし、IT技術の発展によってマーケティングにかかわるデータ解析の技術も進化し、さらには企業のブランディングも重要視される昨今。CMOへの注目は、日本国内でも高まりつつあります。
CSO
CSOは「Chief Strategy Officer」の略称。「最高戦略責任者」を意味する役職です。経営陣と共に企業の戦略を立て、それを確実に実践するためのプロセスを構築し、責任を負う立場にあります。
CSOは事業単位の戦略にとどまらず、全社横断的、なおかつ中長期的な戦略も担い、各事業や部門を通じたシナジー効果の獲得も図ります。そのため、CSOには幅広い知識とスキルが求められるのと同時に、スピーディーな判断力も必要となります。
なお、「x(エックス)」に代入される単語の頭文字が同じであることから、「CSO」といっても、別の役職を示すことがあります。その一例は下記のとおりです。
Chief Scientific Officer=最高科学責任者
Chief Standardization Officer=最高標準化責任者
Chief Security Officer=最高セキュリティ責任者
Chief Sustainability Officer=最高サスティナビリティ責任者
CIO
CIOは「Chief Information Officer」の略称。「最高情報責任者」を意味する役職です。企業の情報戦略を構築し、実行し、その責任を追う立場にありますが、ここで「情報戦略」が意味するのは、主に企業のIT化に向けた戦略のことです。CIOは社内の情報管理システムを構築し、機能させるための舵取り役を担います。
似ている職種として、先にお伝えした「CTO=最高技術責任者」が挙げられますが、CIOは技術分野のなかでもIT技術に特化した役職です。また、CIOは企業の経営理念に即した情報戦略を構築・実行することが求められるため、ITの専門知識や能力のみならず、競争優位性を高めるための経営視点を持ち合わせる必要があります。
CCO
CCOは「Chief Customer Officer」の略称。「最高顧客責任者」を意味する役職です。企業経営に不可欠な顧客を第一に考え、ユーザーファーストなビジネス戦略立てて実行し、企業利益を最大化する役割を担います。
なお、「x(エックス)」に代入される単語の頭文字が同じであることから、「CCO」といっても、別の役職を示すことがあります。その一例は下記のとおりです。
Chief Communication Officer=最高コミュニケーション責任者
Chief Compliance Officer=最高コンプライアンス責任者
Chief Creative Officer=最高クリエイティブ責任者
Chief Commercial Officer=最高商務責任者
CAO
CAOは「Chief Administrative Officer」の略称。「最高総務責任者」を意味する役職です。経理や総務といった管理部門のトップとして業務を執行し、その責任を負う立場にあります。
“CEOの右腕”として目されることが多く、具体的には株主総会や取締役会の手続きを記録するほか、保管が義務づけられた文書や書類の管理、内部監査の実行と結果に基づいた改善業務の舵取りを担うこともCAOの役目です。
なお、同じ略称を用いる役職に「Chief Analytics Officer=最高分析責任者」がありますが、これはアナリティクス、つまりは統計的・定量的な手法によるデータの分析・活用を軸に、より優れた戦略立案をサポートする部門のトップのことを指します。
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経営者と現場の垣根を取り払う役割を担えるCxO
お伝えしてきたように、CxOは自身が持つ専門的な能力を最大限に生かしながら現場を統括し、同時に経営者との橋渡し役も担います。「最高○○責任者」という言葉どおり、非常に責任ある立場ですが、そのぶん、大きなやり甲斐があります。
それだけにキャリアアップのハードルが高いイメージがありますが、企業は転職希望者が持つ専門的なスキルに目を光らせています。CxOは、自身が歩み、磨いてきた得意分野を存分に生かせる役職といえるのです。
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